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  • 2026/11/05
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IPS Rd.3 マツダの山川が2戦連続で表彰台を獲得も王座には届かず

富士スピードウェイを舞台に戦うインタープロトシリーズ(以下IPS)の今季最終となる第3ラウンドが、10月30日〜11月1日の週末に開催されました。55号車「人馬一体ドライビングアカデミー」で参戦したマツダの山川幸夫は10月30日決勝の第5戦で3位、同じく11月1日の第6戦でも2位に入賞。2戦連続で表彰台を獲得する活躍を見せました。

以下は繰り返しになりますが、IPSはレースウイークの2日間、アマチュアとプロが「kuruma」と呼ばれる競技専用車をシェアして予選と決勝を交互に戦うチーム戦で、アマチュアにとっては絶好のトレーニングの場にもなります。マツダが11年前に参戦を開始した理由もそこにあり、まさに「トップガン育成プロジェクト」としての位置付けです。
マツダの社員ドライバーは2年ごとの交代で、今年からクルマ開発本部車両実研部・実車信頼性実研グループの山川幸夫が務めています。プロも今季から野尻智紀を招聘。2021年から全日本スーパーフォーミュラを2連覇したトップドライバーです。実はIPSは昨年から年間のラウンド数がひとつ減ったために、山川にとっては厳しい環境になりました。先輩たちより少ないマイレージで、新たなスキルやマネージメントを学ぶことが要求されたからです。

今回のIPSのエントリーは11台。7台のジェントルマンクラスと、格上のエキスパートクラス4台というグループに分かれての戦いです。ルーキーの山川は前者のジェントルマンですが、5月の開幕戦でいきなり優勝という快挙を達成したほか、9月の第2ラウンドでも3位表彰台を一度獲得していて、ランキング3位でこの最終ラウンドに臨んでいます。かなり厳しいとはいえ、逆転チャンピオンの可能性も残されていました。
公式予選は10月31日9時からの20分間。リザルトでは路面ドライとなっていますが、実際にはウエットで始まり、徐々に乾いていく展開でした。山川も1分57秒台から、アタック3周目に1分49秒台に突入。さらに次の周に1分46秒612という総合でも暫定トップのタイムを記録。この時点でまだ予選が10分以上残っていたために、さらなる更新が期待されました。ところが13分過ぎに総合トップの座をエキスパートクラスの37号車・大蔵峰樹に奪われてしまい、さらに18分過ぎに同じく44号車の山口達雄にも抜かれます。一方で山川は自己ベストの更新はなりませんでした。
この結果、山川のベストタイムは総合でも3位。この日の午後に行われる第5戦の決勝では堂々のクラストップからスタートします。しかしながらIPSの予選では、2番目となるセカンドベストも重要。これで翌日の第6戦のスターティンググリッドを決めるルールだからです。このセカンドベストでもクラス違いとなるフロントローの2台は変わりませんが、山川のセカンドベストは1分47秒134。同じジェントルマンクラスの96号車・末長一範の1分46秒999には及ばず、第6戦は4番グリッドからのスタートになりました。

第5戦決勝
ジェントルマン第5戦の決勝12ラップはほぼオンタイムで、14時23分にローリング方式でスタート。天候は曇りですが、路面は完全に乾いてドライコンディションでの戦いになりました。3番グリッドの山川は順当にポジションをキープする一方で、4番グリッドだった同じクラスのライバル末長は明らかに出遅れて2台に抜かれ、オープニングラップで大きく後退。つまり、山川の後方には5番グリッドからスタートしたエキスパートクラスの32号車・永井秀貴と、6番グリッドだったジェントルマンクラスの8号車・中島 勲が続くことになりました。
これは山川にとっては願ってもない最高の展開でした。もしクラス違いの永井を間に挟んだまま最後まで走り切れば、開幕戦以来のジェントルマンクラス優勝となります。ところが今季は今ひとつ調子の上がらない永井が、一瞬の隙を逃さずに2周目のダンロップコーナーで山川をパッシング。これで総合4位となった山川の後方に、同じジェントルマンクラスの中島と末長が迫る展開になりました。山川ももう一度、有利な状況を作ろうとして、3周目の1コーナー進入で永井をアウトから抜きにかかりますが失敗。逆に大回りしたことで、後続の中島にテールtoノーズで迫られる展開に。さらにダンロップコーナーで1周前に永井にやられたのと同様に中島にインを奪われて逆転を許してしまいます。
そして事件が起こったのが、4周目のコカ・コーラでした。まずは前を行く中島がスピン。それを避けようとした山川もスピンアウト。この2台が大きく後退したことで、3番手だった末長が悠々とクラストップに浮上します。このアクシデントが、今シーズンのIPSジェントルマンクラスのチャンピオン争いに限りなく大きな影響を与えました。その後の末長はエキスパートクラス4番手のマシンを後続に従えたため、余裕を持ってジェントルマンクラスのトップを快走します。
一方でアクシデントで大きく遅れた山川も徐々に中島を追い詰めて、最後は0.182秒差まで追い詰めますが逆転には至りません(後に走路外走行で5秒のペナルティを受けたのでリザルトでは5.182秒差)。整理すると第5戦ジェントルマンクラスの優勝は末長。以下は2位に中島、3位に山川と続きました。この結果、チャンピオン争いは84ポイント(第5戦終了時点、以下同)の中島と81ポイントの末永の一騎打ち状態となり、3番手の山川が逆転するのは現実的には厳しい状況となりました。

第6戦決勝
一夜明けた11月1日の日曜日も晴天(リザルトは曇り)に恵まれ、ジェントルマン第6戦の決勝12ラップは8時58分にローリングスタートで戦いが始まりました。前述の通り、山川はクラス2番手の4番グリッドからのスタート。わずかひとつの違いですが、これが大きく明暗を分けることになりました。山川の加速は今ひとつで、1コーナーまでにエキスパートクラスの永井に抜かれて総合5位となり、2周目の最終コーナーでも中島に抜かれてポジションダウン。さらにエキスパートクラスの71号車・大山正芳にも先行を許す苦しい展開になりました。>br> 逆に3番グリッドからスタートした末長は絶好調。フロントローからスタートした37号車の大蔵と44号車の山口という格上の2台の背後に迫り、追い付いてきた永井にも隙を見せません。大蔵と山口とは1コーナー進入で3ワイドを披露し、その立ち上がりで姿勢を乱した大蔵を抜き去って、一時は山口に続く総合2位にまで浮上しました。その後はクラス違いの大蔵の先行を許しますが、永井と追い付いてきた大山という格上の2台は最後までシャットアウト。チャンピオン獲得を優勝という最高のカタチで演出しました。
さて一方、一時はクラス3番手かつ総合7位までポジションを落とした山川ですが、最後まで諦めない走りは見せてくれました。タイヤが苦しくなってきたライバルの中島に対して徐々に接近し、ストレートでロックオンした8周目の1コーナー進入でクリーンにパッシング。その後は引き離して、クラス2位で最終戦のチェッカーフラッグを受けました。またシリーズランキングでは末長と中島に続く3位を獲得しています。
戦い終えた山川は「どんなに仕事で走り込んでいても、全然違いました。生きているサーキット、周りにライバルがいる状況で、学ぶことだらけの1年でした。技量の面でも成長できましたが、混戦の中で自分の走りを発揮できないのが課題ですね。野尻さんの的確なコーチングで、今回ようやくエキスパートの皆さんが見えるところでスタートできましたが、最後までそこにいられなかったのが悔しいです」と振り返りました。

プロフェッショナルの野尻は今回、予選と第5戦の決勝で輝きを見せました。プロの予選はわずか15分間ですが、タイヤの美味しいところを狙って1周しかアタックしないのが基本の戦略。その大事なタイミングで野尻は32号車の小林利徠斗をキャッチアップ。絶妙な間隔を保って追走したことで、1分44秒425を記録してポールポジションを獲得しました。翌日の第5戦・決勝でもスタートダッシュを決めてトップチェッカー。ところが続いて行われた第6戦の決勝では振るわず、8位まで順位を落としてしまいました。

これで山川のIPS挑戦1年目は終了。筆者としては第5戦の決勝中に記録したファステストラップなどに成長を感じましたが、結果に結び付けることはできませんでした。来シーズンは「限られたレースウイークの中でどこまで¥レース運びを極められるか?」がテーマになるでしょう。

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Text & Photos by T.Ishida

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