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日本国内レース

  • 2022/10/12
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箕輪が2戦連続の逆転劇を演出。今度の舞台は馬の背

10月8日、宮城県のスポーツランドSUGOでロードスター・パーティレースⅢの北日本シリーズ第3戦が開催されました。出場11台のNDシリーズはオープニングラップで上位6台の順位がすべて入れ替わる波乱の序盤から、中盤以降は2台のトップ争いが白熱。第2戦に続いて20歳の若武者、箕輪卓也が逆転での2連勝を達成しましたが、その舞台はなんとバックストレート先の馬の背コーナーでした。


秋を迎えて不安定な天候が続く日本列島ですが、この週末の宮城県も例外ではありませんでした。前日の金曜日は午前中から雨。ただし朝一番の練習走行枠だけはドライ路面で走れたとのことです。北日本第3戦のエントリーはNDシリーズクラスに11台、NDクラブマンクラスに4台で合計15台でした。


公式予選は10時55分からの15分間。朝一番はフルウエットだったSUGOでしたが、他のレースの予選もあったためにコース上は全面がドライに回復。ピットでの計測では気温17℃/湿度62%/路面温度31.8℃というコンディションで走行が始まりました。

全車がアタック1周目を終えてトップに立ったのは、今回が参戦54戦目となる91号車の沢崎祐一。その時点では唯一の47秒台となる1分47秒537をいきなり叩き出します。続いて地元の宮城県から参戦している47号車の岩崎 魁がアタック2周目に1分47秒548で肉薄。すると、今季は開幕から3位→2位と入賞して現在ポイントリーダーの34号車・菊池 仁が、アタック3周目に1分47秒045で逆転に成功します。

予選も半ばを過ぎてピットに戻るマシンも多く、ここで一度タイムが膠着状態に入りました。菊池→沢崎→岩崎というこの時点でのトップ3に、第2戦で3位に入ってランキング3位の16号車・上田純司が1分47秒721で4番手、第2戦で優勝してランキング4位の35号車・箕輪卓也が5番手、開幕戦2位入賞でランキング2位の32号車・横田 剛が6番手という状況のため、まったく予断を許しません。

残り3分を切ったあたりから、多くのマシンが最後のアタックに入ります。ここで見せたのが第2戦で最年少優勝記録を塗り替えた20歳の箕輪。ラップモニターのセクター1とセクター2をともに赤い色の全体ベストで走り抜けると、チェッカーと同時に1分46秒634で最上段にジャンプアップ。これで北日本シリーズでは2戦連続のポールポジション獲得となりました。

結局、予選2位から5位までは菊池→沢崎→岩崎→上田の4名が前述のタイムで残り、ここまでが1分47秒台。そして3列目の最後となる6番グリッドには、今日がまだ2戦目という27号車・大越海斗が最後のアタックで1分48秒145まで削って滑り込み、ランキング2位の横田は7番グリッドからのスタートを余儀なくされました。


予選の後のSUGOの天気は晴れ時々曇り。決勝レースの直前には、それまで太陽にかかっていた雲がいなくなるという状況でした。スタート前のコンディションは気温19℃、湿度50%、路面温度29.6℃に。予定よりわずかに遅れた15時09分に、上下2連10灯のレッドシグナルがブラックアウトして9ラップの決勝が始まりました。

と、いきなり大きな波乱がスタートで起きました。ポールポジションの箕輪は明らかに反応が遅れてしまい、2番グリッドの菊池がやすやすと先頭で1コーナーに進入していきます。さらに2列目の沢崎は岩崎に、3列目も上田が大越にパッシングを許してしまいます。つまりイン側の偶数グリッドの選手が、ひとつずつ順位を上げたのでした。

とくに勢いがよかったのは菊池→箕輪→岩崎の上位3台で、SPコーナーでは4位以下との間に大きなギャップが生じていました。ところがこの直後、岩崎が最終コーナーでテールをスライドさせて後退。1周目こそ3位でコントロールラインを通過するものの、2周目の1コーナーで沢崎と大越とのスリーワイドとなって挟み撃ち状態に。ここで沢崎には先行を許してしまいます。

この後、沢崎を先頭に岩崎→大越→上田の3選手はもちろん、横田に171号車の野村 充、31号車の和光博紀までの7台が、それぞれ前車とは1秒以内という数珠つなぎ状態となります。最初は岩崎を追う大越の勢いが勝っていましたが逆転には至りません。次に6周目に大越がバックストレートで3速から6速にミスシフトしたことで上田が大越に急接近。こうして4位から6位を争う3台がバトルしたことで、3位を走る沢崎が少し楽な展開になったことは確かです。

いずれにしても箕輪と沢崎のギャップは2周目で早くも2.4秒、4周目には3秒を超えてしまい、優勝争いは2台に絞られました。先頭を行く菊池と箕輪の差は2周目と3周目は0.5秒台でしたが、4周目以降は0.2〜0.3秒という僅差になります。まずは5周目のヘアピンで箕輪がインを差して一瞬だけ横並びになりますが、ここは自重。再び動いたのは8周目の馬の背でした。レインボーの立ち上がりから菊池をロックオンした箕輪が、バックストレートでのスリップを利用してイン側から並びかけることに成功。そこで先頭が変わりました。

もちろん、菊池もあきらめません。0.073秒の僅差で最終となる9周目に入り、その1コーナーでアウトからの横並びを仕掛けますが、わずかに膨らんでしまって勝負あり。箕輪が第2戦に続く北日本シリーズ2連勝を達成しました。菊池も2戦連続の2位に入賞。そして3位にはキャリア50戦を超える沢崎が初めて表彰台に立ちました。以下、4位には岩崎、5位には大越、6位には上田の順でゴールしましたが、規定により大越までが入賞。岩崎は今回が初めての入賞となりました。


箕輪は「スタートは回転も低すぎました。さらに2周目の1コーナーでもリアをスライドさせてしまいました。ただそこからは自分の速いところを探しました。最初は3コーナーかなと思ったのですが、リスクを考えた結果、あそこでの勝負になりました。菊池さんは今回も自分にスペースを残してくれました」と、バトルの相手へのリスペクトを示しました。


第3戦を終えて、北日本NDシリーズのポイントリーダーは依然として菊池です。ただ若干有利になったのはランキング2位に浮上した箕輪の方で、仮に菊池が最終戦に優勝しても、箕輪は2位なら逆転チャンピオンとなります。さらにランキング3位と4位の横田と上田にも可能性が残っていますが、現実的には限りなく上位2名に絞られました。


なお、出場4台だったNDクラブマンクラスは、今季ともに複数回の優勝経験を持つ松原泰世と荒川 豊の2名が予選・決勝を通じて緊張感あるバトルを展開。ただ最後は松原が初めてのサーキットに見事アジャストし、2週間前の富士ジャパンツアーシリーズの反省も活かして今季4勝目を達成しました。


北日本シリーズの最終戦はここSUGOで11月13日(日)の開催を予定。またロードスター・パーティレースⅢの次の戦いは10月30日(日)に、茨城県の筑波サーキットで行われる東日本シリーズの最終戦となります。



Text by T.Ishida, Photos by B Sports

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