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日本国内レース

  • 2023/11/01
  • RPR

RPR東第4戦 クラッシュを乗り越え、鷲尾拓未が最年少勝利を更新

2023年のロードスター・パーティレースⅢも、フィナーレの時が近づいてきました。10月29日には東日本シリーズの最終となる第4戦が、茨城県の筑波サーキットで開催されました。参加23台のNDシリーズクラスを制したのは2号車の鷲尾拓未。予選アタックの最後にスピンを犯してウォールにヒットしてしまいましたが、チームメンバーの修復作業で決勝に臨むと見事な独走劇を披露。20歳5カ月という最年少での勝利記録を更新しました。


当日の第3レースとして行われたNDシリーズ公式予選は、9時45分からの15分間で争われました。エントリーは25台でしたが、2台が欠場して23台がアタック。ちなみに予選が終了する10時の段階で気温12.4℃/湿度91%/路面温度15.8℃というコンディションです。まずは先日の富士ジャパンツアーのクラブマンクラスを制した2号車の鷲尾拓未が1分19秒397でトップに立ち、デビュー戦の105号車・深谷諄が1分19秒431で続きます。どうやら上位グリッドには19秒台がマストのようですが、開始6分の段階ではランキング2位で臨んでいる16号車・上田純司と、238号車の宮應政宗までの4名だけが20秒を切っていました。

これに動きが出たのが、予選も半ばを過ぎた8分頃。まずは第3戦を鮮やかに制した54号車の加藤達彦が1分19秒291で一気に上位に浮上。また11分を過ぎてから、49号車の石川祥吾も1分19秒906で20秒を切ると、その3周後には19秒557まで削り込むことに成功しました。もっと凄かったのは鷲尾。4周目に唯一、1分18秒840を記録するとさらに加速。9周目には1分17秒956という素晴らしいタイムでポールを確定させました。ただし、さらに次の最終アタックのホームストレートで痛恨のスピン。内側のコンクリートウォールにヒットしてダメージを負いました。

2番グリッドを獲得したのは、最後まで走り続けた上田。少しずつタイムを削り込んで、10周目に1分19秒134を記録しました。以下、2列目は1分19秒169まで縮めたデビュー戦の深谷と、同じく1分19秒218まで更新した加藤。5番グリッドは最後に1分19秒302まで削ってきたランキング3位の281号車・宮園拓真で、6番グリッドは石川が前述のタイムで獲得しました。なお、ポイントリーダーの155号車・松原泰世は予選9番手という不本意な結果でしたが、もちろん決勝では挽回を狙っています。


第3レースのNDシリーズ決勝は13時53分にスタート。空が明るくなり、レース途中では太陽も顔を見せてくれました。14時のコンディションは気温18.6℃/湿度69%/路面温度25.1℃で、リザルトには「セミウエット」と記載されました。予選の最後にクラッシュした鷲尾ですが、幸いにしてサスペンション周りにはダメージはなかったとのこと。エンジンマウントのブラケット交換などを素早い作業で完了して、まさにピットクルーのお陰でポールポジションのグリッドにつくことができました。

2番グリッドの上田をはじめ、2列目の深谷と加藤までの上位4台は綺麗にスタートを決め、1周目から少し5位以下を引き離す展開になりました。一方で49号車・石川祥吾の背後には早くも281号車の宮園拓真が迫ってロックオン。2周目には宮園が先行して、その後は単独の5位走行に入りました。そして3周目からは石川を先頭にした238号車・宮應政宗/155号車・松原泰世/71号車・登坂紀という4台の集団が形成。さらに周を重ねると91号車の沢崎祐一など5台がこれに合流。まさにシリーズ最終戦という場に相応しい役者たちの大行列だと言えるでしょう。

鷲尾のリードは4周目までは1秒以内でしたが、5周目からは1秒台、7周目から2秒台、さらに11周目には3秒台と少しずつ拡大。逆に2位を争う上田→深谷→加藤の3台のギャップは最後までほぼ1秒以内という、超接近戦のまま。ひとつのミスも許されないハイレベルな戦いを演じ切りました。そして最後の入賞となる6位争いの大集団では、ポイントリーダーの松原が見せてくれました。9周目には宮應を捉え、14周目の1コーナーでは石川のサイドに並びかけることに成功。王座獲得への強い思いを感じました。

整理すると、20歳5カ月の鷲尾がNDシリーズ最年少勝利記録を更新(従来は箕輪卓也の20歳9カ月)。今年デビューの逸材が先日の富士ジャパンツアーでのクラブマン優勝に続く快挙を達成しました。また2位の上田は48ポイントとなり、松原と同点ながら最終戦での上位ということで、2年連続の東日本NDシリーズ王座獲得となりました。以下、デビュー戦の深谷もポディウムを獲得。加藤と宮園も入賞となりました。また昨年はクラブマンクラスで無敵を誇った6位の松原ですが、第2戦での優勝をはじめ、シリーズでも見事なパフォーマンスを証明したと言えます。

鷲尾は「自分が筑波に練習に来ると雨が多くて、今日はチャンスかなと思っていたのですが、まさか優勝とは。しかも決勝は無理だと思っていたのに、本当に皆さんに感謝しかありません」とコメントしました。また激戦の東日本NDシリーズでV2を果たした上田は「今年は1回も勝てなかったのですが、頑張ったご褒美なので嬉しいです。来年も今日みたいに、若い人たちの“壁”になりたいです」とスピーチして拍手を浴びました。


なお、参加24台のNDクラブマンクラスを制したのは18号車の平井将貴。今春に大学を卒業した若者が、デビュー戦から腕を磨き上げての初優勝。2位がキャリアハイだった父上の目前での快挙です。


参加15台のNCシリーズクラスを制したのは86号車の井尻薫。今季はわずか2戦のみの参戦にとどまりましたが、デビュー以来のポールtoウインの図式は不変。ライバルたちの取りこぼしに乗じて、自身もビックリの5度目の王座にも輝きました。


2023年のロードスター・パーティレースⅢも、残すところは2戦のみ。早くも次の週末となる11月4日の土曜日に、ジャパンツアーシリーズの最終戦とダブルタイトルの西日本シリーズ第4戦が、岡山国際サーキットにて行われます。



Text by T.Ishida, Photos by B Sports

MAZDA MOTORSPORTS ロードスター・パーティレースⅢ

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