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  • 2025/12/26
  • ROADSTERCUP

全世代ロードスターが師走の富士で激突。総合優勝は山本謙悟

富士スピードウェイ独自のローカルシリーズとして行われているロードスターカップ(RSC)。その2025年シリーズ最終戦が12月21日に開催されました。この季節としては想定外のウエットの戦いとなり、総合優勝は1.5オープンクラスの23号車・山本謙悟。ほかにも随所で素晴らしいバトルが展開されて、シーズンを締めくくるのに相応しい一戦となりました。これにて今シーズンは終了し、各クラスのチャンピオンも決定しました。


今回のエントリーは5クラス合計で54台と大盛況。残念ながら2.0チャレンジクラスは不成立となりましたが、パーティレース規定に準じた1.5チャレンジクラスは30台、それに若干のチューニングが許された1.5オープンクラスが12台を数えました。つまり現行ND型が大半を占めています。逆に3代目NCが主力の2.0オープンクラスが3台、2代目NB型が集まる1.8クラスが7台、初代NAが主力の1.6クラスは2台となり、いずれも少数精鋭の戦いになっています。


この日の富士はあいにくの空模様。路面は朝一番からウエットコンディションですが、雨は降ったり止んだりという不安定さです。10時ジャストから20分間の公式予選が始まると、なんと太陽が顔を出してきました。さらに午前中は風もほとんど吹かなかったために、寒さもあまり感じません。1台が欠場して53台のマシンがアタックに入りましたが、やはり予選後半にコンディションが良くなってからの勝負になりました。

総合トップとなる2分17秒228でポールポジションをゲットしたのは、前述の山本謙悟。一昨年の1.5オープンクラス全勝王者ですが、今年は開幕戦がS耐24時間と重なったために欠場。それでも第2戦では優勝して、ランキング3位で最終戦に臨んでいます。さらに総合2番手となる2分17秒999を叩き出したのが、2.0オープンクラスの999号車・星野暸太。以前にパーティレースには参戦経験がありますが、富士RSCには初参戦での快挙達成です。

以下、グリッド2列目と3列目は1.5オープンの実力者たちが鎬を削りました。第3戦終了時点でランキング2位の76号車・堀知海と同じく6位の7号車・茂木文明、さらにポイントリーダーの112号車・池島実紅と20号車・佐藤文昭という順で続きます。一方で星野と同じ2.0オープンの101号車・高橋裕史は総合7位、同じく77号車の長岡哲也は総合12位で予選を終了。間に複数の1.5オープンのマシンたちを挟んでの決勝スタートになりました。

エントリー7台の1.8クラスですが、今回は開幕3連勝中だった8号車の関野大志が都合により欠場。ただチャンピオンはすでに確定しています。予選トップは55号車の澤田 薫で、2分23秒142は総合では15番手。これに2号車の竹田幸一郎と91号車の神谷 誠が同じ23秒台で16番と17番グリッドを獲得。決勝でも接戦が期待されました。一方で参加2台の1.6クラスは明暗が分かれました。こちらも王座を確定している34号車の永野裕介が2分27秒751で総合24位となりましたが、27号車の野木強は32秒台で総合では40位。前年王者の野木ですが、この最終戦はマシンの仕上がりに苦しんだ様子です。

一番の激戦区、1.5チャレンジクラスは70号車の吉田恭将が2分26秒597でクラストップ。実はオーナーの北田辰男に代わって、急遽参戦というチャンスを活かしました。2分26秒993で続いたのは2024年にシリーズ2位だった147号車の石塚崇宣。クラス3番手は52号車の瀬川彰斗でタイムは2分27秒273。以下は28秒台で200号車のYOSHIKI、254号車の小野佳寿美、128号車の森村元紀までが入賞圏内で決勝に臨みます。


この日の富士は午後に風が吹き始めたために、少し冷え込んできます。マシンを破損した1台が欠けたものの、52台のロードスターが広い富士のグリッドに並ぶシーンは壮観でした。8ラップの決勝はほぼオンタイム進行で、14時28分にスタート。ここで輝いたのは3番グリッドだった堀で、逆転での王座獲得のために開幕戦以来の優勝が欲しいところでした。その目論見通り、フロントローの2台を抜き去って先頭に立つと、コカ・コーラでは大きくコースアウトしても執念で復帰して、先頭の座を譲りません。

この後、堀と山本の2台が早くも抜け出します。これに2.0オープンの星野を挟んで、茂木→池島→佐藤という順に上位6台が1周目を通過。つまり堀だけが2台抜きを達成しています。また後方では大きく順位の変動がありました。1.8クラスはグリッドでは上位3台が続いていましたが、澤田の後方に1.5チャレンジクラスの石塚が浮上してきて、竹田と神谷の前に割って入ります。そして2周目にはキャリアに勝る神谷が竹田を抜いてクラス2番手の座が変わりますが、ここから最後まで、澤田と神谷、神谷と竹田の間には必ずクラス違いのマシンを挟んでの展開になりました。

一方で総合トップの争いは、序盤からいきなり全開でした。1周目に0.400秒差だったギャップは2周目には0.002秒となり、山本が完全に堀をロックオン。3周目の100Rからヘアピンまでを異なるラインで追い詰めた後、300Rで横並びから前に出ることに成功します。この日のレースペースでは明らかに山本が勝り、すぐに1.824秒をリード。その後も2.939秒から3.797秒と差を広げ、6周目には5秒を超える大差となって勝負あり。山本は今季2勝目で、堀は2位。最終のランキングは後続の結果を待つことになりました。

そして、少し後方の1.5オープンクラスのバトルにも変化がありました。予選では総合10位に沈んでしまった10号車の国分 務がオープニングラップで7位までジャンプアップ。さらに差を詰めて、3周目には池島と佐藤を一気にパッシング。そこからは茂木とサイドbyサイドのバトルを延々と展開して、抜きつ抜かれつ。今シーズンのベストパフォーマンスと称賛できる、素晴らしいバトルを演じてくれました。最後は国分が先行してポディウムをゲット。以下は4位に茂木、5位に佐藤、6位に池島が入賞しています。

2.0オープンクラスの3台は前述の通り、グリッドの時点でバラバラでした。デビュー戦の星野が1.5オープンの3位争いの先頭になった国分と順位を入れ替えつつも、最後は総合3位のポジションでチェッカー。クラス2番手の高橋、同じく3位の長岡とは大きなギャップとなり、堂々のデビューウインとなりました。また1.6クラスの永野は決勝でも安定した走りを披露。今シリーズは第3戦の予選こそライバルの野木に先行されましたが、決勝では4戦全勝のパーフェクトを達成しました。

30台が鎬を削った1.5チャレンジクラスでは、18番グリッドからスタートした吉田と、20番グリッドからスタートした石塚のバトルが見応え十分。早くも2周目の途中から1秒以内のテールtoノーズ状態となりました。実力伯仲のふたりですが、2023年にフル参戦して最終戦で優勝している石塚の戦略が見事。最終コーナーを勝負どころと決めて、5周目から3周連続でイン側に飛び込むと見せてからの大外まくりが成功。7周目に先頭に立って、そのまま2年ぶりの勝利に繋げました。また中盤からはクラス3位以下の4台も直接対決に。ただし予選で3番手だった瀬川は生き残って表彰台をゲットしましたが、YOSHIKIと小野は序盤にポジションをダウン。4位に森村、5位に40号車の鈴木英吾、6位に195号車の中島優太までが入賞となりました。


1.5オープンクラスで今季2勝目を達成した山本は「スタートは上手くやられましたね。でも流れを見てと思っていたら、100Rにヒントを見つけた感じです。予想より早めに前に出られましたね」と振り返りました。なお同クラスは最終戦で2位の堀が61ポイント、山本が60ポイント、第3戦で優勝した池島が59 ポイントという大接戦で、デビューイヤーの堀がチャンピオンを獲得しました。


次に2.0オープンクラスで優勝した星野は長野県在住の29歳。「マシンは自分で作りました。富士のライセンスも取ったばかりで、雨は好きとはいえ、優勝できるとはビックリです」と喜びを語りました。ちなみにチャンピオンは長岡が3年連続で獲得しています。


1.8クラスは澤田が2019年の開幕戦以来、6年ぶりの優勝ですが、「いつ勝ったのか思い出せないけど、本当に嬉しいね。前は腕で勝つんだと空回りしていたけど、今年からセッティングにこだわったら、非常に乗りやすいクルマになったのが勝因だと思います。関野選手ともう一度、戦いたいですね」と、欠場したチャンピオンに呼びかけました。


1.6クラスを全勝で制した永野は「チャンピオンはチームの皆さんのおかげです。雨は苦手なので、今日は安全運転に徹しました。レースを始めて2年ですが、このNAは乗って楽しい名車ですね」とコメントしました。

最後に1.5チャレンジクラスで優勝した石塚は「今年はパーティレースのジャパンツアーに注力しましたが、結果を残せませんでした。今日はコースレコード更新が目標なのにウエット。ところが、そのおかげで優勝できたとは皮肉ですが、喜びたいと思います」と振り返りました。なおシリーズチャンピオンは、32号車の宮崎邦綋が獲得しています。最終戦こそ9位に終わりましたが、開幕戦から3位、2位、優勝と連続して表彰台に立った貯金で逃げ切りに成功しました。



Text by T.Ishida
Photos by S.Narita/T.Ishida



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