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  • 2025/11/17
  • OTHER(日本)

インタープロト挑戦10年目の最後にダブルポディウムを達成

2025年の「インタープロトシリーズ(IPS)POWERED by KeePer 第5/6戦」が 11月8〜9日の週末に富士スピードウェイで開催されました。マツダ社内の開発ドライバー養成のために参戦10年目となった55号車の人馬一体ドライビングアカデミーは、ジェントルマンクラスの八木淳がシーズン最終の第6戦で3位に入賞しました。さらにプロフェッショナルクラスの牧野任祐が予選でポールポジションを獲得。第5戦の決勝で2位に入ったのに続いて、第6戦では見事に初優勝を達成。ふたり揃っての表彰台獲得でシーズンを締めくくりました。


マツダの八木は昨年から参戦を開始し、ジェントルマンクラス(のさらにジェントルマン部門)で順調に勝利を重ねてチャンピオンを獲得しました。2年目となる今シーズンはより上級のエキスパート部門にステップアップ。ここが歴代のマツダ社員ドライバーにとっても試練の場になっていました。5月の開幕戦(第1/2戦)の決勝では2戦とも4位。8月16〜17日の週末に開催された第3戦では最下位の5位に沈み、第4戦はリタイアでノーポイントに終わっています。なお昨年までは年間4ラウンドで全8戦が行われていましたが、今年は3ラウンドの全6戦となっています。


マツダの社員ドライバーは八木がで5人目ですが、参戦するのは2年間と決められています。つまり、この週末が彼にとってはラストレース。8月の第2ラウンドでの結果ですでにチャンピオン獲得の可能性は消滅。最終ラウンドではこの部門での初勝利を目指すとともに、表彰台で2年目のシーズンを締めくくることが目標となりました。

ところが11月8日の9時から20分間で行われた公式予選で、八木はベストタイムもセカンドベストもエキスパートでは4番目。長年このクラスに参戦している37号車の大蔵峰樹、44号車の山口達雄、32号車の永井秀貴という経験豊富な3人の先輩には及びませんでした。

第5戦の決勝は12ラップまたは25分間で、13時11分にローリングスタートで開始。この日の富士は雨の心配がなく、決勝序盤は太陽が顔を見せていました。実は八木はこの第5戦の決勝は5番グリッドからのスタート。ジェントルマン部門の96号車・末永一範に予選で1000分の3秒だけ負けていました。ここはまずエキスパートの意地を見せて、末永を抜き去って総合4位のポジションに浮上します。

ところが、その後は上位3台の背中がなかなか見えません。先頭の大蔵と山口がかなり接近した状態なのですが、3番手の永井と八木はそのペースについていけない印象でした。結局、最後は先頭から14秒近く遅れ、3位の永井にも5.632秒及ばず、クラス4位でチェッカーを受けました。


翌日にかけては天気が下り坂で、雨が富士のコースを濡らすことになりました。8時14分にセーフティカー先導で始まった最終の第6戦決勝は霧で視界も良くなかったために、4周も隊列を組んだまま。ようやくコンディションが回復して、実質バトルが行われたのは6周です(規定の25分が過ぎたためにチェッカー)。

そして第6戦はポールポジションだった山口が、なんとバトル開始直前にスピン。クラッシュは免れたものの、大きく順位を落とす波乱の幕開けとなりました。さらにこの日、ウエットの富士で速さと脆さを見せたのが永井。前を行く大蔵を難なく抜き去りますが、その後で2度のスピンも演じてしまいます。

結局、最終戦も大蔵がトップチェッカーとなり、素早くコースに復帰できた永井が2位。そして1.127秒の僅差でしたが、八木も続いてゴール。エキスパート部門で初めて3位の表彰台に立つことに成功しました。

戦い終えた八木は「業務では当然ラジアル(タイヤ)のみでしたが、スリックという高G領域を含めて学びの多い2年間でした。12Rの開発にも活かせたと思っています。牧野選手には本当に感謝で、技術はもちろんですが、メンタルも凄く勉強させてもらいました」と振り返りました。


さて、最終ラウンドの55号車はその牧野任祐が輝きを見せました。ジェントルマンに続いて土曜日に行われたプロフェッショナルの予選で1分44秒033を記録し、ポールポジションを獲得します。実は今回のレースウイークに向けて、課題だったアンダーステア解消のためにフロントのスタビライザーを外すという決断をしました。どうやらこれが奏功した模様です。

日曜日の14時36分から行われたプロの第5戦も路面はウエット。牧野はもちろんポールからスタートします。ところが44号車の山下健太が序盤から背後を脅かすと、4周目のコカ・コーラでわずかに牧野が失速。この隙に前に出られてしまい、そのまま9周を終了。悔しい2位となりました。


続いて行われた第6戦は(第5戦の順位通りの)2番手からスタートし、最初の1コーナーで37号車の福住仁嶺に抜かれて3位にドロップするも、3周目にその福住が山下にバトルを仕掛けた隙を突いて、一気にトップに浮上。そこから猛プッシュしてリードを拡大。山下と福住の2位争いのバトルが過熱したことも有利に働き、自身IPSの初優勝でシーズンを締めくくりました。


牧野は「たった9周ずつのレースですけど、今日はコース上にとどまるのが精一杯で疲れました(笑)。さらに1戦目はブレーキをロックさせるミスで抜かれてしまいましたが、2戦目は上手くチャンスを活かせてよかったです。今回のように大きく方向を変えたりしましたが、八木さんの頑張りは素晴らしいと思います」とコメントしました。


なお、55号車の挑戦は来年も継続が決定。ジェントルマンのドライバーは、車両開発を担当している山川幸夫が務めることがわかりました。八木同様のステップを踏んで、今季はロードスター・パーティレースの西日本シリーズに参戦中。開幕戦ではクラブマンクラスで見事にデビューウインを飾っています。


●インタープロトシリーズ
https://drivingathlete.com

最終戦決勝の動画はこちら
ジエントルマンクラス

エキスパートクラス


Text by T.Ishida、Photos by T.Ishida/N.Namba

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