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  • 2026/09/11
  • OTHER(日本)

IPS Rd2 マツダの山川が予選でまさかのスピンも、決勝では挽回

富士スピードウェイを舞台に戦うインタープロトシリーズ(以下IPS)の今年の第2ラウンドが、9月5〜6日の週末に開催されました。これにマツダが参戦して、早くも11年目のシーズンを迎えています。具体的にはレースウイークの2日間、アマチュアとプロが「kuruma」と呼ばれる競技専用車をシェアして予選と決勝を戦うため、アマチュアにとってはトレーニングの場ともなっています。マツダが参戦を開始した理由もそこにあり、まさに「トップガン育成プロジェクト」と言えるでしょう。

チーム名は「人馬一体ドライビングアカデミー」で、ゼッケンはマツダにとって一番の栄光と言えるルマン優勝車の「55」を受け継いでいます。参戦するマツダの社員ドライバーは2年ごとに交代と決められていますので、今年は6人目がデビュー。クルマ開発本部車両実研部の実車信頼性実研グループでアシスタントマネージャーを務めている山川幸夫が抜擢されています。またプロドライバーにも今年から、新たに野尻智紀が招聘されています。

5月9〜10日に行われた今年の開幕ラウンドでは、山川が初日の第1戦で優勝し、2日目の第2戦でも3位に入賞。デビュー戦でいきなりの大活躍を演じました。このIPSは前述したトレーニングの要素もあるため、アマもプロも週末の2日間で予選1回と決勝2回というメニューをこなします。この結果、アマチュア部門のジェントルマンクラスで、山川はポイントリーダーの座を獲得。今回の第2ラウンドでは当然、ライバルたちからマークされることになりました。

そして迎えたレースウイークで55号車の山川は唯一、月曜日から練習走行を開始。金曜日には初めてフルウエットのコンディションでの走行も経験。わずか4日間の練習で臨んだ開幕戦に比べると、かなり準備が整った状態で本番を迎えています。ちなみに今回もIPSのエントリーは開幕戦と同じ12台。アマチュアに関してはエントリー8台のジェントルマンクラスと、格上のエキスパートクラスに4台というグループに分かれての戦いです。
公式予選は9月5日8時50分からの20分間。天候は曇りですが、路面は前日の雨の影響でウエット。ただ12台のIPSマシンと混走する6台のスープラが走り出すと、コンディションが回復していくのは確実です。山川たちジェントルマンクラスは全員が溝のあるレインタイヤでコースインしましたが。エキスパートクラスの2台は最初からスリックタイヤを装着してアタックに臨んでいます。開始早々はスリックタイヤの2台が各所で姿勢を乱していましたが、次第に落ち着いてペースでも上回ります。それを見てレインタイヤの各車は続々とピットに入り、タイヤをスリックに交換して再びコースインしていきます。
もちろん山川も予選半ばでピットイン。スリックタイヤに交換して、2分00秒999というクラス2番手のタイムを計測します。さらに縮めるべく次の1コーナーに向かっていた時に、事件が起こりました。実は十分に熱が入っていない状態のブレーキングで、このマシンは意に反してテールが暴れる症状が出ることのこと。まさにこのタイミングでテールが流れた時の対応が間に合いませんでした。スピンを喫した55号車はアウト側のガードレールに接触してストップしたため、赤旗が提示されて予選は一時中断。さらに、これにて予選終了ということになりました。
この予選のベストタイムで初日の第3戦のグリッドを、各自の2番目に速いセカンドベストで2日目の第4戦のグリッドを決めるのがIPSのルールです。ただ、55号車は赤旗中断の後、本来は許されないタイヤ4本の交換を行いましたので、どちらの決勝も最後尾グリッドからのスタートを条件として課されました。ただ幸いなことに接触のダメージは軽度で、12時15分からのプロフェッショナルクラスの予選にも55号車は出走。ドライ路面で野尻は1分46秒602を記録して、翌日のプロ第3戦決勝は8番グリッドからのスタートとなりました。

ジェントルマン第3戦の決勝12ラップはほぼオンタイムで、15時28分にローリング方式でスタート。天候は曇りですが、路面は完全に乾いてドライコンディションでの戦いになりました。まずは7番グリッドにいた88号車がローリングラップにエンジンがかからないアクシデントが発生。そして山川はダッシュ鋭く、コントロールライン通過後のストレートで1台を、さらにオープニングラップの最終コーナーで1台をキャッチアップ。つまり、いきなり3台を抜き去って、山川の追い上げショーは始まりました。この時点で早くもクラス5位まで挽回しています。
さらに3周目には61号車の米谷をロックオンし、4周目の1コーナー進入でインから鮮やかにパッシング。9周目にはクラストップだった3号車がスピンで後退したことで、ついにクラス3位まで山川は浮上します。残すところは3周で、クラストップの96号車と2位の8号車にも急接近。特に8号車には0.988秒差まで迫りましたが、及びません。それでも最後尾のクラス8番手からポディウムに辿り着いたパフォーマンスには拍手喝采を贈りたいと思います。

翌日の日曜日は朝からあいにくの雨模様。従来はジェントルマンの2日目の決勝は午前中に組まれていましたが、今回は午後という設定。残念ながら雨脚は強くなる一方です。前日同様に山川はIPSでは最後尾となる12番グリッドで、クラスでも同じく8番手から追い上げを目指します。第4戦の決勝も12ラップ(または25分)で、当初は13時50分を予定していました。ところは雨の影響でピットウォークが中止となり、その分を前倒しにタイムスケジュールを変更。IPSジェントルマンの第4戦は12時55分にセーフティカー先導でスタートとなりました。
金曜日のフルウエット走行でライバルを上回るタイムを記録していた山川にとって、このコンディションはウエルカム。ところが雨が強くなったことで、ローリングからセーフティカー先導のスタートに変更され、それが3周目まで続いたことで追撃のチャンスを削られることになりました。それでも4周目にクラス6位、5周目に5位とライバルにアクシデントもあって順位を上げていきます。ただ、ここで後方から迫ってきたのが混走のスープラ勢のトップグループ。今回のようなコンディションではIPSを凌ぐペースとなり、進路を譲ったことも追撃の勢いに少なからず影響したことでしょう。
それでも8周目にはライバルの1台が脱落してクラス4位となり、さらに61号車を視界に捉えて猛追します。ところがセーフティカーが3ラップ先導したことで、決勝は25分間までという規定が適用されました。つまりジェントルマン第4戦の決勝は11周終了時点でチェッカーフラッグが振られて終了。山川は1.092秒及ばずにクラス4位という結果に終わりました。もし仮にもう1周あったならば、61号車よりも3秒早いペースで周回していた55号車が逆転していたことでしょう。

この第4戦を終えた段階で、IPSジェントルマンクラスのランキングはトップに8号車の中島 功が68ポイントで浮上。これに96号車の末長一範が62ポイントで続き、山川は55ポイントでシリーズ3位に後退しました。ただし、10月31日から11月1日にかけて行われる第5戦と第6戦で山川がポール獲得から連勝し、かつファステストラップも記録すれば、自力で逆転王座に就く可能性は残されています。

山川は「今回は色々と恵まれた状況だったのにも関わらず、ブレーキのウォームアップでの失敗は痛恨の極みです。ただ第3戦で表彰台という結果を残せたのは、せめてもの恩返しになりました。またバトルでの詰めの甘さが課題というのも、身をもって経験できました。最終戦ではもっと成長した姿をお見せしたいと思いますし、最後まで諦めないで上を目指します」とコメントしました。また自身はプロフェッショナルクラスの第3戦で8位、第4戦でも7位と不本意な成績に終わった野地ですが、「山川選手の今週末は大きな収穫があったと思います。日曜は表彰台にこそ届きませんでしたが、あの状況でリスクを回避しつつ順位を上げたことは素晴らしいと思います」と振り返りました。

前述したように2026年のIPSの最終ラウンドは、10月31日から11月1日の週末に富士スピードウェイで開催予定です。

●インタープロトシリーズの動画はこちらから
https://drivingathlete.com


Text & Photos by T.Ishida

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