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  • 2024/12/10
  • OTHER(日本)

GOODYEAR Dream Cup 2024 参戦2回目のロードスター勢奮戦記

昨年からロードスターの出走が可能となったGOODYEAR Dream Cupが富士スピードウェイで12月7日(土)に開催されました。2011年から開催されているGOODYEAR Dream Cup、今回もGR86/BRZが6台、ヤリスクラス32台、ヤリスCVT4台、ヴィッツクラス11台に加え、ロードスターも6台が参加、一段と冷え込みが厳しくなった冬の富士で全59台による長く、熱いバトルが繰りひろげられました。


ロードスタークラスは、富士チャンピオンレース(FCR)シリーズのロードスターカップ1.5チャレンジ車両規定に基づく車両での参戦が可能で、昨年と同様に今年も6台が出場しています。

基本レギュレーションは、1台の車両に最大4名のドライバーが登録でき、スタートドライバーの最大連続運転時間は60分未満。公式車検時に燃料リッドは封印され、その状態で予選を走り切り、さらにレーススタートから最初の65分間は給油NGとなります。燃料補給は1回につき20Lと決められており、この給油のタイミングでのピットストップは7分以上のピット滞在が必要。さらにドライバー交代も必須となります。


この日のスケジュールは朝7時50分から予選となります。予選は2クラスに分かれており、ロードスタークラスは後半の8分間のみがアタックタイムとなります。昨年のロードスタークラスの覇者である69号車「高砂エアテック ロードスター」は、時間よりも早くコースインしてしまったため一度ピットに戻り訓戒処分を受けたり、128号車「CP大泉pttロードスターRB」はスピンによってタイム計測ができずピットスタートとなるなど、少々バタバタとしましたが、全車ともクラッシュもなく予選は無事終了しました。

この予選でトップタイム(2分14秒127)を出したのは、29号車「CP大泉pttロードスターRB」の鷲尾拓未さん。「気温が低くてエンジンは好調だったんですが、タイヤと路面のマッチングに苦戦した感じで。13秒台を狙っていましたがそれに届かなかったのは残念です。それと後ろにはコンマ1秒差で290号車(2分14秒218)が迫っているので、危なかった、というところです」と今年の富士チャンピオンレースのロードスター1.5チャレンジクラスチャンピオンは語っています。


午前10時15分、決勝レースが始まりました。スタートは2グループに分かれてのローリングスタート。ロードスタークラスは前半のグループでのスタートとなりました。ピットスタートの128号車は参加台数が多いため、ピットエンドの信号は全車が1周を走り切ったタイミングでようやく青となったため、背後には2周目に入ったトップグループの車両が迫っている状況。スタートから周回遅れというハンデを背負っての走行となってしまいました。

スタートからプッシュをかけ、86/BRZ勢と接戦を繰りひろげながらロードスタークラストップを行くのは、ポールスタートの29号車。その少し後方では4台のロードスターがバトルを繰り広げながら、序盤のレースは展開していきます。そして10時58分、レースがスタートして43分が経過した時点で、ロードスター勢の中で最初にピットインしたのは290号車「HC RACING ロードスター」。これをきっかけに続々と各車がピットインし、第2ドライバーに交代してコースに戻っていきます。そしてこの第2ドライバーが走行を終えるタイミングで各車の給油作業が始まっていきます。

給油はピットロード上に設けられた分岐を右に曲がり、Bパドックの給油スタンドに向かう形となります。スタンド近くまではそのまま走行していきますが、その間は厳密に速度が制限され、スピードガンによる計測も行われています。スタンド直前の停止線から先はチームスタッフによる手押しとなり、給油後は再び停止線まで手押しで移動、その後ピットロードに戻り、ピットでドライバー交代を行って7分以上のピット滞在というレギュレーションをクリアしなければなりません。スタンドは例年同様、タイミングによって給油渋滞が発生するため、運も見方につけておく必要もあります。

ロードスター各車の給油タイミングは25周前後で入ってくる感じですが、エコランで給油回数を極力減らすのか、給油回数を増やしてもその分全開で行くのか、各チームの作戦もあり、スティントを伸ばしたり早めに入ったりさまざまです。もちろん1回の給油ピットで7分の停車ですから順位は大きくシャッフルされていきます。

60台近くが走行をしているレースですからアクシデントによるフルコースイエローなどが掲出されれば、作戦変更を余儀なくされることにもなります。この日の天候は朝から好天に恵まれ、富士山もしっかり姿を見せており、昨年のように途中で降雨に見舞われることはなく、コース上では4輪脱輪や走行マナーなどで白黒旗やドライブスルーペナルティなどは出されていますが、大きなアクデントもなく、レースは進行していきます。

レースも残り1時間強となったところで、同一ラップで争っていたロードスター3台のうちの2台、118号車「118 Project ロードスター」と290号車が116周終了時点でピットインし、このレース最後の燃料補給を行いました。残る29号車はそのまま逃げ切りかと思われましたが、午後4時を過ぎレースも残り15分となったところで総合8番手を走行中に給油に戻ってきました。これで最終盤になって大きく順位が変更されることとなりました。代わってクラストップに浮上したのは128号車でしたが、それを猛追する118号車とのバトルになっていきます。最終的には0.012秒差で118号車が前に出てロードスタークラス優勝、2位に128号車、3位には290号車が入り、ポディウムに上がりました。


残念ながら連覇を逃した69号車の金石年弘さんは「去年は優勝できたんですが、今年は新たなチャレンジでアマチュアのドライバーさんにも乗ってもらってよりレースを楽しんでもらうという目的もあって、それが皆さんそれぞれ役割分担もできました。それぞれ課題はあると思いますがチームとしては完走できたのが良かったと思います。次回もこのメンバーでチャレンジしたいなというのはあります」とコメントしてくれました。


21号車TEAM TERRAMOSのチーム監督、梶忠光さんは「ピットインの回数を減らすか迷ったのですが、減らすよりは全開アタックした方が取り分も多いと思ってやってみましたが、結果的には他のチームよりピット回数が1回多かったのが敗因になってしまいました。各ドライバーが全開で走れたので、データとしては取れているので次こそは上位入賞できるようにがんばります」とコメントしてくれました。


今回29号車と128号車を走らせたイナトミガレージの稲富代表は「実は128号車の方はまだ新車で、データも無かったりで、どちらかというと悪い印象だったのですが、意外にも最後燃料が持ったので非常に良い結果につながったな、と思います。まだまだクルマは育てている途中、ですが…。29号車はちょっと欲張って残り2時間ピットストップ無しという作戦に切り替えたのですが、最後の最後で足りなくなっちゃったんですね。残り3Lでまだ15分以上あったので、ちゃんとゴールすることの方を優先して給油しました。こういう結果ですが、ちゃんと完走できたことをよかったとします」。


クラス優勝 総合19位

#118 118 Project ロードスター 143周

中嶋 鷹/松本晴彦/福村憲一朗/渡邊達也

「みんなコンスタントにミスなく走れたことが勝因だと思います。作戦はその場その場で変えていきましたが、ピット回数は3回給油と4回と迷ったのですがセーブするくらいだったらしっかり走ろうということで。来年も2連覇を目指してがんばります。メンバーを変えるかもしれませんが…(笑)」

クラス2位 総合20位
#128 CP大泉pttロードスターRB 143周
森村元紀/簑島大奈/佐藤雅士/中島伸太
「予選一発目、初めての富士アタックで緊張のあまりAコーナーでスピンしてしまってピットスタートになっちゃいました。ほかのドライバーに申し訳なくて、一番レースが嫌な日になるかなと思っていたのですが、最後燃料も余っていてもしかしたらチャンスあるかもって言われてバトン託されて、みんなのために意地でもマシンを持ち帰るって思いで最終ドライバーをやらせてもらいました。最後ギリギリの状態で、0.012秒差での2位という結果は悔しいですけど、一年の締めくくりにふさわしい素晴らしいレースになりました」。

クラス3位 総合23位

#290 HC RACING ロードスター 142周
大田優希/橋本 隼/市川裕介/染谷良輝
「単純に練習不足ですね。ドライバー交代に手間取ってしまったり、ルールをちゃんと理解していなくて給油ストップのピット滞在時間が足りなくて、ペナルティを受けてしまったりしちゃいました。それがなかったら1位が見えていたかなと。表彰台に載れたのでほっとはしていますが、やっぱり悔しいです。次回はリベンジしたいなと思っています」。

各チームとも着々とデータを蓄積し、Dream Cupの戦い方を習得している様子。来年も熱いバトルに期待です。



Text by Y.Aoyama&MZRacing, Photos by Y.Aoyama&H.Kobayashi

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