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日本国内レース

  • 2023/11/13
  • ROADSTERCUP

RSC第4戦 最後はパワーに勝る長岡哲也のNCがトップチェッカー

2023年の富士ロードスターカップ(RSC)を締めくくる最終の第4戦が 11月11日のワンデーで行われました。第2戦と同様にスーパー耐久レースのサポートレースとしての開催で、多くの観客が見つめる中での戦いです。エントリーは今季最多の42台。2.0オープンクラスがNCの2台で成立したため、4世代のロードスターが顔を揃えました。排気量やチューニングに応じて、5つのクラスに分かれて戦います。ちなみに各クラスのランキングですが、1.6クラスは34号車の竹田幸一郎、1,8クラスは91号車の神谷 誠、1.5オープンクラスは23号車の山本謙悟、2.0オープンクラスは77号車の長岡哲也と101号車の高橋裕史が同点で、1.5チャレンジは155号車の松原泰世がそれぞれ、ポイントリーダーとしてこの最終戦に臨んでいます。


公式予選は8時35分からの20分間。前日までの激しい雨は止みましたが、路面はフルウエットに近い状態で、予選中にもコースの一部には霧が立ち込めるコンデイションです。一発のタイムではやはり改造範囲の広いオープンクラスが有利ですが、今年は第3戦までのポールは1.5オープンクラスの山本の指定席となっていました。ところが今回、意地を見せたのは第3戦でトップチェッカーを受けた2.0オープンクラスの長岡。2分15秒145でポールポジションを獲得します。山本も2分15秒550という僅差で2番グリッドを獲得。これに2.0オープンクラスの101号車・高橋裕史と1.5オープンクラスの10号車・国分 務が2分16秒台のタイムで続きます。

さらに予選5番手から9番手までは1.5オープンクラスの各車がひしめきます。速さでは3番目となる1.8クラスの予選トップは8号車の関野大志で、2分20秒971のタイムは総合では10番手。ポイントリーダーの神谷は13番グリッドからの巻き返しを狙います。そして1.5チャレンジのクラストップはランキング2位で臨んだ28号車・石塚崇宣で総合では19位(ポイントリーダーの松原は総合23位)、1.6クラスのトップだった竹田は総合20位。石塚のタイムは2分25秒535で、竹田は2分26秒413。このあたりからは決勝レースで、クラス違いのライバルが交錯するゾーンになるのは必至です。


予定より5分ほど遅れて、12時25分に8ラップの決勝のスタートが切られました。路面は少し回復しましたが、公式発表はウエットのまま。ご覧のように長岡が先頭で1コーナーに進入し、3番グリッドの高橋もダッシュよく山本をかわして、2.0オープンクラスの2台が序盤は先行します。この2.0オープンクラスも開幕戦は高橋が制して、第2戦は不成立。第3戦は長岡が総合でも優勝して、20ポイントの同点で並んでいました。一方で1.8クラスは逆転王座の可能性を持って臨んだ関野に、オープニングラップのAコーナーで試練が訪れます。3ワイド気味のバトルで一番アウト側に位置していたためにスペースがなくなり、ここで順位をドロップ。後方から追走していた神谷が労せずしてクラストップに躍り出ます。

後方では、1.5チャレンジの石塚が素晴らしいスタートダッシュを見せましたが、逆に前方を塞がれる展開になって、1周目の総合順位は落とす結果になりました。またクラス2番手の281号車・長和樹と3番手の松原はいきなりテールtoノーズとなり、2周目の1コーナーまでに松原が前に出ることに成功します。もし石塚が優勝した場合、松原は2位に入らないとチャンピオンの座も奪われてしまうので、早めの勝負に出ました。さらに参加3台と少数精鋭の1.6クラスでも、大きなドラマが生まれていました。今季これまで竹田が2勝で27号車の野木強が1勝と星を分け合っていますが、もし最終戦で野木が勝つと、同点ながら規定で野木がシリーズを制覇します。竹田はスタートで出遅れて野木の先行を許してしまい、まさに最終戦での大逆転かと思われましたが、2周目からは竹田に追い風が吹きました。クラストップの座を回復した竹田に前を走るクラス違いのスリップの恩恵が連続して与えられ、野木とのギャップが広がっていきます。

上位陣の争いに話を戻します。早々にトップ3台が総合の4位以下を引き離す展開になりますが、その中で勢いがよかったのは1.5オープンクラスの山本です。まずは早々に高橋をロックオンして抜き去り、さらに長岡の背後に迫って激しくプッシュ。もちろん、ストレートの加速は500ccの排気量差がある長岡が勝りますが、逆にコーナリングでは山本の鋭い動きが目立ちます。6周目のダンロップコーナーで突っ込みすぎた長岡が失速し、スープラコーナーで山本が先行した時は勝負ありかと思われました。ところが、長岡は諦めませんでした。ファイナルラップの最終コーナーでスリップの効く距離まで追いつくと、そこからコントロールラインまでの短いストレートで0.158秒だけ、鼻先を前に出すことに成功しました。

参加2台の2.0オープンクラスは長岡が優勝で、チャンピオンにも4年ぶりに返り咲きました。また1.5オープンクラスは山本が4連勝のパーフェクトウイン。2位にはかつて1.8クラスで活躍した112号車の池島実紅が久しぶりのポディウム登壇を果たし、3位にランキング2位の20号車・佐藤文昭が続きました。このクラスは出走9台のため、4位の7号車・茂木文明までが入賞です。同じく出走9台だった1.8クラスですが、トップに立った神谷がレースをコントロール。関野も挽回して背後に迫りますが、逆転の匂いまでは漂いません。さらに3位以下の集団ではアクシデントも複数発生して、唯一NA8Cでこのクラスに参戦を続けている88号車の山田健介が表彰台に滑り込み、4位の15号車・中村英貴までが入賞となりました。

1.6クラスも竹田が野木との差を5秒近くまで広げて悠々と逃げ切り、2年連続のチャンピオンも確定。そして19台がエントリーした最大の激戦区、1.5チャレンジクラスは石塚が4.834秒という大きなリードを築いて、第3戦に続いて2連勝を達成しました。今年の富士RSCがレースデビューというルーキーが、見事な成長を最終戦の舞台で見せてくれました。4.834秒遅れで2位となったのは松原ですが、その0.621秒後方には長も続いていました。以下、4位に50号車・田中悠太、5位に153号車・桂涼、6位に63号車・小野佳寿美と続き、ここまでが入賞となりました。チャンピオンは2勝して2位が2回の松原が獲得しています。ちなみに松原は先日のパーティレース東日本シリーズの最終戦の結果、チャンピオンと同点ながら規定によりシリーズは2位。富士ではきっちりと結果を残すことに成功しました。

1.6クラスで2年連続チャンピオンとなった竹田は「出遅れて野木さんに先行されたのですが、運よく逆転できて、さらにクラス違いにスリップをもらえました。来年は後輩にこの34号車を託しますが、野木さんも参戦されるとのことで、ぜひ他の皆さんも参戦や復活をご検討ください」とアピールしました。1.8クラスで3度目の王座に輝いた神谷は「今年は8号車の関野さんが本当に速くて、今日も予選は3番手でした。決勝も1周目のAコーナーで、3ワイド気味になった関野さんが接触を回避しようとした隙にトップに立てました」と、ライバルへのリスペクトを表明しました。1.5オープンクラスで4戦全勝のパーフェクトを達成した山本は「2.0のオープンとはパワーなどが違いすぎますね。だいぶ台数も増えてきたので、来シーズンは同じクラス同士でのバトルを楽しめたらいいかなと思っています」と仲間たちに呼びかけました。

2.0オープンクラスとともに総合優勝を勝ち取った長岡は「今日はNDに勝ちたいと思って頑張りましたが、山本さんのプレッシャーに負けて大失敗。それでも諦めなかったから、最後にチャンスが来ましたね。NCは狙い目だと思うので、来年にはぜひ新しい人にも来てもらいたいです」と語りました。1.5チャレンジクラスで優勝した石塚は「今日はクルマが自分の手の中にある感覚がありました。ずっと背中を追っていた松原さんに2戦連続で勝てたことが嬉しいです」とコメント。一方でチャンピオンを獲得した松原は「悔しいですが、最低限の目標は達成できました。まだまだ精進します」と振り返りました。


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Text & Photos by T.Ishida/S.Kokubo(Fuji Roadster Cup Community)

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