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日本国内レース

  • 2024/06/22
  • RPR

PRジャパン第3戦 4年目の吉田恭将がダッシュ鋭く頂点の座を射止める

6月16日、ロードスター・パーティレースⅢジャパンツアーシリーズの第3戦が栃木県のモビリティリゾートもてぎで開催されました。夜来の雨で朝方にはウエット路面も残り、実力者たちが予選で下位に沈む波乱の展開。そして決勝は、予選2番手からスタートダッシュでトップに立った63号車の吉田恭将が最後までその座を譲らず、参戦4年目での嬉しい初優勝を達成しました。


8時20分から行われたブリーフィングでは、マツダのブランド体験推進本部ブランド体験ビジネス企画部モータースポーツ体験グループの久松忠輝マネージャーが登壇。まずは1週間前の同グループの油目雅史さん同様に、型式指定申請における不正行為の件についてのお詫びと、再発防止への決意を述べられました。そして参加者に向けては「今回は大勢の皆様のご参加ありがとうございます。我々は皆様を全力でサポートいたします。本日は存分に楽しんでください」と挨拶されました。

今回のエントリーはNDシリーズに26台、NDクラブマンに5台の合計31台。初出場は69号車の奈良敬志(NDシリーズ・写真右)と、90号車の山本謙悟(NDクラブマン・写真左)の2名です。実は両名ともスーパー耐久で活躍したキャリアを持っていて、さらに山本は富士ロードスターカップの1.5オープンクラスで現在7連勝中という実績の持ち主。パーティレースでもどんな活躍を見せてくれるのか、今回はクラブマンクラスですが楽しみな存在です。


公式予選は9時20分から40分までの20分間、予定通り行われました。シリーズの1台が欠場となり、30台がアタックに入ります。天候は曇り、路面はハーフウエットと発表されましたが、見た目はほぼ完全にドライの状態。手元の計測では気温24℃/湿度64%/路面温度31.6℃で、湿度が高いために蒸し暑さを感じます。

最初にリーダーボードの最上段に立ったのは33号車の惠木勇哉で、タイムは2分30秒304。2番手に35号車の加藤達彦、3番手に28号車の普勝 崚が続きます。その後、続いてアタックした普勝が2分30秒080まで削り込んで逆転し、惠木と加藤という順となります。この普勝のベストタイムは加藤の背後にピタリとつけてのアタックで出したもの。つまりスリップストリームの恩恵をかなり受けた結果でした。

予選後半に入ると、残り6分ほどで63号車の吉田恭将が2番手に躍り出ます。実はこのレースには兄の75号車・吉田綜一郎も出場していて、ふたりで交互に前に出てスリップをシェアしてのアタックでした。その後の上位の順位変動はなく、グリッドが確定。つまり最前列が普勝と吉田、グリッド2列目が惠木と加藤、さらに186号車の勝木崇文と初出場の奈良が3列目のグリッドから決勝をスタートします。

上位6台の中で過去、優勝を経験しているのは加藤のみ。吉田(恭)/惠木/普勝の3名は、表彰台には立っていますが未勝利。勝木は2戦目で前回は5位ということで、予選の結果は波乱含みです。今年のジャパンツアー第2戦を勝ったばかりの105号車・南澤拓実が予選8位、2年連続東日本チャンピオンの16号車・上田純司が予選10位、ジャパンツアー開幕戦を制したポイントリーダーの117号車・石谷豪志が予選11位ということで、決勝では何かが起こりそうな予感がありました。


予選を戦った時の上空には雲が目立ちましたが、昼が近づくに連れて青空が広がっていきます。路面はドライに回復し、手元の計測では気温28℃/湿度52%/路面温度50.6℃という、きわめてタフなコンディションになりました。本日はジャパンツアーということでローリングスタートが採用され、周回数は9ラップ。オンタイムに近い13時4分に戦いの火蓋が切られました。

開始早々、普勝に吉田(恭)が仕掛けます。1〜2コーナーでアウト側からサイドbyサイドで並びかけることに成功すると、次の3〜4コーナーでイン側となる有利さを活かしてトップが逆転しました。巻き返しを狙った普勝でしたが、5コーナーを通過中に他車に追突されて180度スピン。まさに不運の連鎖で、優勝争いからの脱落を余儀なくされました。

吉田(恭)はそのままトップを走行しますが、代わりに後方での争いが激しくなります。まずオープニングラップでは、7番グリッドだった54号車の三宅陽大が一気に2位にジャンプアップ。3位にも奈良が6番グリッドから浮上します。2周目に入ると、奈良を抜いた加藤が3位に上がってきます。しかし3周目のS字の縁石で姿勢を乱して6位に後退。この時点では吉田(恭)と三宅が少し抜け出して後続を引き離し、再び3位となった奈良を僅差で追うのが惠木と、8番グリッドだった南澤という展開になりました。

そしてレースが中盤に入ってから目立ったのは、加藤の巻き返しです。4周目に5位、6周目に4位、7周目に3位と順位を徐々に戻していき、2位の三宅の背後にも急接近。さらに加藤に抜かれたあとも食い下がっていた惠木も追い付いて、三宅を先頭にする3台のバトルがファイナルラップで展開されることになりました。まずは5コーナーを上手に立ち上がってアウト側から並んだ加藤がS字までに先行。さらに惠木はV字から加速して、ヘアピンの進入で三宅をとらえることに成功します。

吉田(恭)は6周目に2.275秒という貯金を作ると、その後はペースをコントロールする余裕も生まれました。最後は3.374秒という十分な差をつけて、初めての優勝を果たしました。以下、加藤と惠木が表彰台に立ち、三宅は悔しい4位。さらに南澤が5位、吉田恭将の長兄である吉田綜一郎が6位となり、ここまでがNDシリーズクラスの入賞です。

なお、NDクラブマンクラスでは、デビュー戦の山本謙悟が予選でも総合14位で圧倒。もうひとり、実力者の298号車・相澤康介も総合16位と、シリーズクラスの間に割って入るタイムを記録しました。決勝でも山本は総合10位、相澤も総合14位までポジションアップ。クラブマンは出走5台のために、このふたりのみが入賞となりました。


シリーズ初優勝の吉田(恭)は「一昨年からフルに参戦して、ずっと上位争いには食い込めていましたが、やっと初優勝できました。マシンを提供してくれたオーナーさんをはじめ、チーム関係者みんなのサポートがあったおかげです」と、謙虚なコメントを残しました。2位入賞でポイントリーダーに浮上した加藤は「ミスもありましたが、そこで気持ちを切り替えて集中できたのはよかったです」と振り返り、3位の惠木は「去年はここで4位、今年もまだ表彰台に届いてなかったので嬉しいです」と笑顔でした。


いよいよ夏もバトルも本番。パーティレースの次戦は、7月21日の日曜に北日本シリーズ第3戦が宮城県のスポーツランドSUGOにて、また東日本シリーズの第2戦が7月27日の土曜日に茨城県の筑波サーキットにて、そしてジャパンツアーシリーズの第4戦が8月11日の日曜日に北海道の十勝スピードウェイで開催されます。



Text by T.Ishida, Photos by B Sports

MAZDA MOTORSPORTS ロードスター・パーティレースⅢ

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