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日本国内レース

  • 2024/09/05
  • RPR

PR北最終戦、一番速かった石谷豪志が3勝目も、奇跡を連発した関 豊が初の王座に

宮城県のスポーツランドSUGOで9月1日、ロードスター・パーティレースⅢの北日本シリーズ最終となる第4戦が行われました。エントリーは11台でしたが、今シーズンのファイナルに相応しい熱いバトルが勃発。NDシリーズはポールの石谷豪志がスタートの失敗を挽回しての快走で3勝目を挙げました。ところが第3戦で予選7位から奇跡の逆転Vを果たした関 豊が、今度は8番グリッドからの準優勝。わずか1ポイント差ながら、王冠は関の頭上に輝きました。


エントリーはNDシリーズクラスに9台、NDクラブマンクラスに2台の合計11台と、今シーズンでは全シリーズを通じてミニマムの台数になりました。ただし、北日本NDシリーズのポイントランキング6位タイまでの上位陣7名は揃って参戦。とくに上位3名によるチャンピオン争いは大接戦で、最後の最後まで目が離せない戦いが展開されました。

朝一番でのブリーフィングでは、マツダのブランド体験推進本部・ファクトリーモータースポーツ推進部の小早川隆浩さんが「おかげさまで天候は回復しつつありますが、逆にドライバーを含めてチームの皆さまは熱中症にご注意ください。そして今日はシーズンの行方が決まる最後の表彰式まで、ぜひ皆さまでお付き合いください」と挨拶されました。


公式予選は9時ジャストからの15分間。本日のSUGOは晴れたり曇ったりですが、幸い雨の心配はなさそうです。走行直前のピットでは気温24.0℃/湿度90%/路面温度32.6℃を計測。前日の練習走行では朝一番がウエットで始まりましたが、その後はドライに回復。路面温度も34℃以上あったとのことで、本日はこのシーズンとしてはタイムの出やすいコンディションだと言えるでしょう。

まずはランキング3位からの逆転を狙う117号車の石谷豪志が、1分47秒234という素晴らしいタイムを記録。ピットで待機に入ります。ちなみに石谷は開幕2連勝のあと、第3戦は予選アタックの最後にクラッシュして決勝は欠場。それでも最終戦に勝てば、ポイントリーダーの関が2位となるケースを除いてチャンピオンが確定します。これに続いたのがランキング9位の200号車YOSHIKIで、タイムは1分48秒164。石谷の47秒台は少し飛び抜けた印象ですが、実はこのYOSHIKIのタイムがライバルたちには高い壁となりました。

アタック2周目で1分47秒931を叩き出して、その壁を唯一破ってきたのはランキング2位の16号車・上田純司。2年連続の東日本シリーズ王者ですが、今シーズンは未勝利。もちろん表彰台にはほぼ毎回のように立っていますが、そろそろ勝利が欲しいというのが本音でしょう。しかもこの最終戦で勝てば前述の石谷同様、関が2位にならなければ自力で王座が確定できる状況でした。

結局、ポールポジションは石谷で、上田を従えて最前列から決勝をスタートします。そして3番グリッドはYOSHIKI選手が獲得。これに続いたのがランキング4位の91号車・沢崎祐一でベストは1分48秒244。さらにランキング6位タイの31号車・和光博紀で同じく1分48秒286、ランキング5位の71号車・登坂紀が1分48秒616で続き、ここまでがグリッド3列目となります。

ここまでに名前が出てこない上位ランカーは2名。まずはポイントリーダーの127号車・関 豊にとっては苦しい予選になりました。ようやく1分50秒を切ったアタック4周目からペースを上げて、残り3分余りとなった次の周で1分48秒858まで削って7番手まで浮上。ところが、残り1分15秒ほどで、ランキング6位タイのもうひとり、121号車の巳ノ瀬健太が1分48秒692を記録。つまり関は決勝を8番グリッドからスタートします。


予選後のレースイベントでは複数回の赤旗中断がありましたが、SUGOのオフィシャルの皆さんの尽力もあって、パーティレースの決勝はオンタイムの13時50分にフォーメーションラップがスタート。そこから戻って隊列が整うと、オールレッドの10灯が消えて戦闘開始となりました。直前のコンディションは気温27℃/湿度80%/路面温度47.6℃。体感的には涼しいのですが、跳ね上がった路面温度がタイヤには厳しい9ラップになりそうです。

このスタートではまず、最前列の2台にドラマが起きました。ポールポジションの石谷は激しいホイールスピンで加速が鈍り、1コーナーまで先頭の座を譲り渡します。一方で上田も痛恨のミス。オールレッドの10灯が点灯してからマシンを動かしてしまい、反則スタートの対象になりました。後方では8番グリッドの関が見事なダッシュで2台を抜き去り、さらに1台を抜いて5位で1周目を戻ってきます。関の勢いは衰えず、3周目の1コーナーで和光もパスして4位まで浮上しました。

オープニングラップではさらに順位が変わります。上田の先行を許してしまった石谷ですが、早くもバックストレートでは背後に食らいついてロックオン。SPを抜けて最終コーナーから直線に入る段階で自らの加速が勝っていると判断して、ストレートではイン側に進路を変更します。すると1周目の通過時点で0.140秒も上田に対して先行し、スタートのミスを帳消しすることに成功しました。

今回の序盤では、石谷を先頭とする上位3台のペースの速さが目立っていました。つまり上田とYOSHIKIまでです。この3台がそれぞれ1秒以内の僅差で逃げていくのに対して、3周目終了時点で3位のYOSHIKIと4位の関の差は2.929秒と、かなり大きく水を開けられていました。ところが決勝レースが4周目に入ったあたりで、上田に対する「(レース結果に)5秒を加算」のタイムペナルティがアナウンスされました。この裁定がチャンピオン争いに大きな影響を与えたのです。

第3戦でノーポイントの石谷はこのまま最終戦で優勝すると60ポイントに達しますが、ポイントリーダーの関には全4戦でポイントを獲得した場合に与えられるボーナスポイントの恩恵があるため、もしこの最終戦で2位に終わっても合計が61ポイントとなります。この時点では関はまだ4位なので、少なくともYOSHIKIは抜かないとチャンスが生まれません。

前述のように3周目終了時点での差は2.929秒でした。次の4周目は2.543秒、さらに5周目は1.947秒となり、6周目に1.176秒となったことで、一気に緊張感が高まりました。このあたりからYOSHIKIのタイヤが厳しい状況に陥った様子で、7周目には0.147秒差と完全にロックオン。すると関は、8周目のバックストレートで一度アウトから抜くと見せかけてから、馬の背コーナーでインサイドを急襲。3位に浮上します。

そうなると、あとは2位の上田と3位の関のタイムギャップが運命を決めます。チェッカーの時点で5秒以上のリードがあれば、上田が2位を守るので関の逆転王座は叶いません。8周目終了時点で、その差は4.434秒と微妙でしたが、ファイナルラップを終えてモニターが表示したギャップは4.552秒。これに5秒のペナルティを反映させると、わずか0.448秒ですが関が先着で2位となったのです。

整理するとNDシリーズクラスは石谷が9.626秒という大差で今シーズンの3勝目を達成しました。さらに関と上田が前述の順位で表彰台を獲得。今回は規定により4位のYOSHIKIまでが入賞となります。一方で北日本シリーズのチャンピオンは関となり、以下は石谷が2位で上田が3位。さらに4位が沢崎、5位が登坂、6位が和光という順番でランキングが確定しました。やはり最終戦を戦った実力者たちが、シリーズ表彰の対象となっています。

なお、今回エントリーが2台だったクラブマンクラスですが、予選ではデビュー2戦目の28号車・能勢健一朗がクラストップ。ところが決勝の2周目に能勢がシリーズクラスのマシンに追突される不運があり、41号車の的場雅仁が労せずして逆転。このアドバンテージを活かして、的場が東日本・開幕戦のクラブマンに次ぐキャリア2勝目を達成しました。

シリーズクラス優勝の石谷は、「スタートは失敗したのですが、その周のうちに挽回できましたね。今日は無事に終えることができたのと、自分にできる最大限の結果が得られたので、切り替えてジャパンツアーでまた頑張りたいと思います」と笑顔で語りました。準優勝でチャンピオンとなった関は、「4位になった時点では正直、ちょっと追いつくのは厳しいと思っていました。ただ200号車の挙動が少しフラフラし始めてから、チャンスかなと思って色々考えて、あの位置での勝負を選択しました。とにかくラッキーでしたね」とコメントしました。


パーティレースの次の戦いは9月15日の日曜日に、岡山国際サーキットで西日本シリーズの第3戦が予定されています。



Text by T.Ishida, Photos by B Sports

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