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  • 2022/12/16
  • OTHER(日本)

IPS「人馬一体」のエース川田、最終ラウンド2連勝

静岡県の富士スピードウェイでは12月10〜11日の2日間、プロとアマチュアが1台のマシンをシェアして戦うインタープロトシリーズ(以下IPS)の今季ファイナルラウンド(第7戦と第8戦のダブルヘッダー)が開催されました。マツダ開発ドライバーの川田浩史はプロの宮田莉朋と組んで、55号車の「人馬一体ドライビングアカデミー」で参戦。川田は10日の第7戦、11日の第8戦ともに予選クラス2番手から臨み、2戦とも決勝で先行するライバルをオーバーテイクすることに成功。デビューした第2ラウンド(第3戦と第4戦)に続く、レースウイーク連覇を成し遂げました。


まずは土曜日朝の9時35分から20分間、川田が出場するジェントルマンクラスの公式予選が行われました。今回のエントリーは12台。ちなみにジェントルマンクラスはさらに2分割され、川田の出る“ジェントルマン”に7台、経験を積んだ“エキスパート”に5台というグループに分かれての戦いになっています。この日の富士スピードウェイは終日、風も弱く穏やかな冬晴れに恵まれました。川田のベストラップは1分47秒525で、セカンドは1分47秒543。これに対してライバルの96号車・末長一範のベストは1分47秒011で、セカンドは1分47秒123。この勝負では完敗に終わりましたが、クラス2番手の座は確保しています。

一方で宮田の出るプロフェッショナルクラスの予選は、11時5分から15分間の短期決戦。ベストタイムのみで第7戦のグリッドを決定します。このクラスの決勝は翌日の午後に連続して行われ、第8戦は第7戦をゴールした順で、すぐに再開するというシステムを取っているからです。宮田のベストは1分45秒553で、12台中の4番グリッドを獲得。ちなみに過去2戦の予選は8位と9位。今シーズンはなかなか結果を残せなかった宮田と55号車のマッチアップですが、最終戦を迎えてようやく本来のパフォーマンスを取り戻した感があります。


12ラップで行われるジェントルマンクラス第7戦の決勝は、わずかに予定より遅れた14時6分にスタート。通常は1周してのローリングスタートですが、気温も路温も低いことを考慮して、2周のウォームアップの後にシグナルがグリーンに変わりました。川田のダッシュは抜群で、TGRコーナーまでにライバルの末長のイン側で横並びになることに成功。その立ち上がりで先行し、オープニングラップからクラス首位に立ちます。2周目以降も川田が1分47秒台という予選並みのラップを刻むのに対して、1分48秒台の末長との差は広がる一方。折り返しの6周目には4.090秒という大きな貯金を築くことに成功しました。

この6周目、気づいてみれば末長とわずか0.125秒差の後方に、クラス3番手の7号車・勝又隆二が迫っていました。参戦2年目の勝又は11月の第6戦で初優勝を果たすなど、明らかにシリーズ後半に調子を上げてきています。この2台のギャップは7周目に0.011秒、8周目に0.108秒と、まさにロックオン状態。ついに9周目に逆転して、勝又がクラス2位に浮上します。レースはこのまま、川田が逃げ切って今季3勝目。続いた勝又と末長の順で表彰台に立ちました。じつはこの第7戦でポイントリーダー(第6戦終了時点で103ポイント)の末長が2位以上となると、最終の第8戦を前にチャンピオンが確定します。奇しくも68ポイントの同点で末長を追いかけている川田と勝又がその可能性を阻止するべく、タッグを組んだという結果になりました。


翌日のジェントルマン第8戦決勝も12ラップでの戦いです。前日同様に、2周をウォームアップに充ててのローリングスタートが8時56分に切られました。他車のグリッド降格により、総合6番手からスタートした川田ですが、4番グリッドの末長との間に1台のエキスパートクラスのマシンがいたこともあり、序盤は前方で繰り広げられているバトルを見守っていました。しかし、そのマシンが2周目に順位を上げると、目前には再び同クラスの末長が現れます。すると3周目のTGRコーナーで、川田は前日と同様に末長をオーバーテイクすることに成功。4周終了時点で早くも1.5秒のアドバンテージを確保しました。

周回を重ねるごとにペースを上げて、中盤以降は1分48秒台を刻み続けますが、前を走るエキスパートクラス4番手の32号車・永井秀貴との差はなかなか縮まりません。来シーズンを見据えると、上位クラスとも切磋琢磨したいというのが川田やチームの本音です。しかしながら9周目には、ペナルティにより最後尾スタートだった44号車の山口達雄が1周あたり2秒近く速いペースで接近し、抜き去っていきます。エキスパートクラスでチャンピオン経験を持つ山口との差を痛感する瞬間でもありましたたが、川田も諦めずにゴールまでマシンを運び、総合6番手でフィニッシュ。見事、この週末でのジェントルマンクラス2連勝を成し遂げました。

なお、このクラスの終盤は前日同様に2位を争うバトルが勃発します。この日は10周目に末長をかわした勝又が2番目に高いポディウムに登壇。ただし3位の末長はこれで142ポイントに到達し、2年連続のチャンピオンを獲得することに成功しました。2連勝した川田も128ポイントで、堂々のランキング2位。55号車はマシンの準備が間に合わずに第1ラウンド(第1戦と第2戦)を欠場しているので、素晴らしいルーキーイヤーだったと言えるでしょう。


戦い終えた川田は「昨日もそうでしたが、レースの前半で末長さんをパスできて、そこから気持ち的には楽になれました。前のマシンとは距離が空いてしまいましたけど、後ろも引き離すことができたので、そこはよかったかなと思います。シーズンの最終戦を優勝で締めくくることができて嬉しいです。乗れば乗るほど、このクルマのことがわかるし、来シーズンも参戦することができれば、もっと高めていきたいなと思います」とコメントしました。


他のカテゴリーで赤旗中断があったこともあり、プロフェッショナルクラス第7戦の決勝は、予定より10分遅れの15時5分からスタート。9周という短期決戦です。前日の予選で4番グリッドを獲得していた宮田は序盤から8号車・大滝拓也の背後につき、激しい3位争いを展開します。なかなか突破口を見出せず、その間に後方からライバルたちも追い付いてきました。それでも宮田は冷静に相手の隙を突き、5周目のTGRコーナーからコカ・コーラコーナーにかけてサイドbyサイドのバトルを展開。ついに3番手を勝ち取ります。その後はトップ2台を追いかけるも、仕掛けるまでの距離に近づくことはできず、そのままチェッカー。それでも55号車では自身初となる3位を手にしました。

第7戦でフィニッシュした順位のまま、すぐにグリッド再整列が行われ、第8戦の決勝がスタートします。こちらも9周で争われました。3番手スタートとなった宮田はなんとかトップに食らいつこうとしますが、逆に後方の集団に飲み込まれてしまい、2周目で2つポジションを落としてしまいます。それ以降も後方から追われる苦しいバトルを強いられましたが、きっちりとポジションを守りきって、5位でフィニッシュしました。これで宮田は44ポイントとなり、プロクラス7位で今シーズンを終了。川田と同様に第2ラウンドからの参加でしたが、徐々に順位を上げるパフォーマンスを見せてきていて、来季への期待が高まるファイナルラウンドとなりました。

宮田は「自分もようやくドライコンディションでも前にいられるようになりました。このチームは全員が一生懸命、問題点を解決しようと一緒になってくれていたのが本当に良かったです。なによりジェントルマンの川田選手がデビューレースで優勝できて、この最終戦も2連勝できました。そういった成長していく姿を目の前に見ることができて、自分も刺激になりましたし、自分がアドバイスしたことが間違っていなかったとしたら嬉しいですね」と振り返りました。



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Text by T.Ishida/T.Nakamura/T.Yoshita

Photos by Inter Proto Motorsports/T.Ishida

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