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  • 2024/12/16
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JT最終戦は史上に残る名勝負 吉田恭将と南澤拓実の両雄に拍手喝采

大分県のオートポリスで12月8日、ロードスター・パーティレースⅢのジャパンツアーシリーズで今季最終となる第8戦が開催されました。総合優勝を争ったのはグリッド最前列からスタートした105号車の南澤拓実と63号車の吉田恭将で、これぞ“抜きつ抜かれつ”というバトルを最後まで演じてくれました。最後に笑ったのは吉田ですが、どちらにも「アッパレ」を贈りたいと思います。なおチャンピオンには抜群の安定感を発揮した35号車の加藤達彦が輝きました。


2024年のパーティレースもいよいよ、最後の戦いの日を九州の地で迎えました。本大会は「MAZDAFAN CIRCUIT CHALLENGE DAY 2024」というイベントの中で行われ、おなじみのMFCT(マツダファン・サーキットトライアル)やマツ耐(マツダファン・エンデュランス)なども同日に開催。昼休みにはマツダ車オーナーによるパレードランも開催され、様々な車種のオーナー達がサーキットドライブを楽しみました。


エントリーはNDシリーズに12台、NDクラブマンに4台の合計16台。7時55分から始まったブリーフィングではマツダのブランド体験推進本部ブランド体験ビジネス企画部モータースポーツ体験グループの藤井雅裕さんが登壇。「厳しい寒さの中ですが、サーキットで走ることを楽しんでください」と激励されました。また初参加となった182号車の河本将規と274号車の石坂俊介も恒例により挨拶をして、先輩たちから歓迎の拍手を受けました。


ここオートポリスは阿蘇山エリアの一角に位置し、12月ともなれば降雪も日常茶飯事。この日の朝も太陽が顔を出してくれたものの、コース上には前夜の雪によるウエットパッチがかなり残っていました。9時の段階での気象条件は気温0℃・湿度86%・路面温度7℃。9時10分から20分間の公式予選が始まりましたが、ドライとウエットが点在する難しい状況の中、約半数のドライバーがオープンと同時にコースインして状況を見極めようとします。

コンディションの回復とともに各車が続々とタイムアップするため、セッション中盤までラップモニターの最上段に立つ選手が目まぐるしく変わります。まずは105号車の南澤拓実が2分24秒871で目安を示しましたが、その後にコースインした選手たちが続々と塗り替えていきます。ランキング首位の35号車・加藤達彦が2分24秒171を記録すると、63号車の吉田恭将が2分23秒872で24秒の壁を最初に破って暫定トップに。唯一、逆転チャンピオンの可能性を残すランキング2位の117号車・石谷豪志が2分24秒127で加藤を上回りますが、吉田のタイムには届きません。それどころか、加藤は2分23秒986までタイムを削ってきました。

さらに最終アタックで上位陣の明暗が別れます。チェッカーフラッグと同時に南澤が2分22秒001でコースレコードを更新。そして吉田も2分22秒305まで削って2番手の座は確保しました。そして33号車の惠木勇哉が2分23秒532、108号車の米川直宏が2分23秒607で2列目のグリッドにジャンプアップ。以下、186号車の勝木崇文が2分23秒611で5番手。そして加藤が上位陣では唯一、最終アタックの前に記録したタイムで6番グリッドから決勝をスタートすることになりましたが、タイトルを争う石谷(予選7位)を上回ったことで、決勝には余裕を持って臨めることになりました。


決勝レースは、ほぼスケジュール通りの12時30分にスタートが切られました。予選の時は濡れていた路面も完全に乾いて、スタート時のコンディションは気温4℃・湿度43%・路面温度9.4℃となっていました。全車が綺麗なローリングスタートを決めると、まずは1コーナーで5番手スタートの勝木が直前の米川に仕掛けます。一方の米川も4コーナーまでのサイドbyサイドは耐え切ったのですが、第2ヘアピンで勝木にインに飛び込まれて4番手への浮上を許す展開になりました。

2周目に入ると、2番手を走行していた吉田がトップを走る南澤を1コーナーでオーバーテイク。その後もテールtoノーズのバトルが続き、3周目の1コーナーでは再び南澤が先頭に立ちます。また首位争いの後方では3位から9位までの7台が超接近。各コーナーでバトルが発生して、目まぐるしく順位が変わります。

3番手以下で激しいバトルがあったために、4周目にはトップ2台が後続に約5秒の差を付けて一騎打ちの様相になります。また3番グリッドからスタートした惠木は一時順位を落としますが、ポジションを取り返すとペースを上げて集団から抜け出すことに成功。そこから少し離れての4位争いでは、チャンピオンを争う加藤と石谷の約0.3秒差の緊迫したバトルが延々と続きます。ただし石谷の逆転には“優勝が最低条件”のため、奇跡が起こる可能性は限りなく低くなりました。

10周の決勝レースが残り3ラップとなったあたりで、トップ争いが再び動き始めました。ファイナルラップ直前の最終コーナーを鋭く立ち上がった吉田が、南澤のスリップも味方につけて1コーナーでアウト側から横並びに。サイドbyサイドのままコーナーを脱出しますが、3コーナーまでに前に出たのは吉田でした。南澤も決して諦めずにロックオン状態のままで追走しますが、吉田もミスなく走り切り、そのまま先頭でチェッカーを受けました。

以下、2位は南澤、3位は惠木という表彰台になりました。そして4位に加藤、5位に石谷、6位の勝木までが入賞です。ちなみに4位から6位の3選手が前戦の岡山では表彰台に立っていたことを考えると、最終戦のシリーズクラスのレベルの高さを痛感します。吉田は第3戦もてぎに続く今季2勝目ですが、23年に及ぶパーティレース史上でも屈指の名勝負を制しました。惜しくも今季4勝目を逃した南澤も、もうひとりの主役として健闘を讃えたいと思います。


クラブマンクラスの予選では41号車の的場雅仁が2分25秒151をマーク。クラスのトップとなる10番グリッドを獲得しました。ところが決勝ではクラス2番手、13番グリッドからスタートした181号車の横田大樹が抜群のダッシュを披露。そのまま逃げ切って総合でも11位となり、嬉しいキャリア初優勝を達成しました。決勝ではポジションを落としてしまった的場もクラス2位の座は確保。クラブマンクラスは規定により、この2名が入賞となっています。


激しいバトルの末に優勝を勝ち取った吉田は「マジで前日まで絶不調でしたが、濡れていた予選でスイッチが入った感じです。決勝も序盤の首位争いで逃げ切りは厳しいと感じたため、無駄なバトルは避けて、南澤さんと後続を引き離せていけるように切り替えました。ただ、いざ勝負と思っても抜きどころがなく難しかったですが、ファイナルラップの1コーナーで先頭に立てたので、そのあとは後ろを抑えることに集中しました」とレースを振り返りました。

シリーズチャンピオンに輝いた加藤は「バーチャルからリアルへ挑戦していく中で、とても恵まれた体制で参戦できたことはチャンスでもあり、プレッシャーでもありました。思い通りにいかないこともありましたが、毎戦着実にポイントを重ねていけたのと、最終戦も最後までライバルを抑えきってレースを終えられたことで成長を示せたと思います。サポートしてくださった皆さんに感謝しています」と、この1年を振り返りました。



Text by Y.Shimoyama&T.Ishida, Photos by B Sports

MAZDA MOTORSPORTS ロードスター・パーティレースⅢ

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