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日本国内レース

  • 2023/04/09
  • ROADSTERCUP

全世代37台が集結したRSC開幕戦は山本謙悟のNDが総合V

ロードスターのレースは全国各地で行われていますが、こと懐の広さでは富士のロードスターカップ(RSC)が断トツです。まずは、初代NAから現行の4代目NDまでの全世代が出場可能。また3代目NC以降は、ほぼノーマルに近いチャレンジクラスと、ショップチューナーが腕を振るうことのできるオープンクラスがあり、合計で6つのクラスを設定。世代や排気量、改造範囲に細やかに対応していることも特徴になります。
さて、2023年も年間4戦でのシリーズを予定。しかも第2戦(5/27)と第4戦(11/11〜12)はスーパー耐久シリーズのサポートレースとしての開催で、第4戦は2デー開催(土曜日に予選、日曜日に決勝)となります。なお1.6と1.8クラスの指定タイヤがダンロップのDIREZZA ZⅢ(195/50R15)に、1.5と2.0のオープンクラスの指定タイヤがブリヂストンのPOTENZA RE-71RS(195/50R16,205/50R16)に変更になりました。1.5と2.0のチャレンジクラスはパーティレースの規定に準じているために変更はありません(POTENZAアドレナリンのRE004の195/50R16)。

今シーズンは満開の桜が出迎えてくれた4月2日の日曜日に開幕。この日は朝から曇り模様の空の下、気温ひと桁台の寒さの中で、オンタイムの8時40分から20分間の公式予選が開始されました。エントリーは5クラス合計で38台。3代目NCのパーティレース車両が相当する2.0チャレンジクラスが成立せず、3代目NCと4代目のRFに向けた2.0オープンクラスもエントリー2台のうち1台が欠場。つまり実際のバトルは4クラスで争われることになりました。
タイヤが温まった2周目からは、1.5オープンクラスと1.8クラスの上位陣が続々とコースレコードを更新していきます。おそらく、この両クラスが決勝でも総合優勝を争うことは確実でしょう。中でも常にモニター上でトップにいた1.5オープンクラスの23号車・山本謙悟が、5周目に叩き出した2分06秒238が総合トップ。もちろんレコードも更新して、ポールポジションからのスタートを決めます。フロントローには同じクラスの20号車・佐藤文昭が2分07秒107で並びました。さらに10号車の国分 務に14号車の小倉 徹と、グリッド2列目までは1.5オープンのマシンが独占します。さらにクラス5位には2018年の1.8クラスチャンピオン、競争女子でも活躍した112号車の池島実紅。1.5オープン前年王者の7号車・茂木文明はクラス6位に沈んでしまいました。
一方、2代目NBが主流の1,8クラスでは2021年のチャンピオン、総合5番手の91号車・神谷 誠が2分07秒973でトップ。総合6位となる2番手にはクラスで唯一の初代、NA8Cの88号車・山田健介が2分08秒493で続き、3番手は総合9位の15号車・中村英貴。ちなみに1.8クラス前年王者の小林哲男は今回、姿を見せませんでした。また、2.0オープンクラスに久しぶりにエントリーした101号車・高橋裕史のNCは孤軍奮闘。ベストは2分08秒881で、総合では11番手。2台という少数激戦の1.6クラスでは34号車・竹田幸一郎が2分09秒888で、総合では13番手となりました。
そしてエントリー18台を集めた今回最大の激戦区、現行NDロードスター・パーティレースⅢ規定の1.5チャレンジクラスでは、155号車の松原泰世が2分13秒532でクラストップを獲得。総合では18番手ながら、クラス2番手以降には0.5秒以上の差をつけています。松原は昨年のパーティレースでも、全国を転戦するジャパンツアーシリーズにクラブマンクラスで参戦して、6戦中3戦で優勝を果たしているキャリアの持ち主です。なお、2.0オープンクラスにエントリーしていた77号車・長岡哲也のNCは準備が間に合わず、今回は不参加となりました。

朝よりも明るくなって気温は15℃に上昇したものの、決勝を迎える富士の天候は相変わらずの曇りで“花冷え”の様相です。予定より5分ほど遅れて、12時00分40秒にロードスターカップのスタートが切られました。記者席からは2番グリッドの佐藤の方が好スタートのように見えました。さらにオープニングラップでは、総合の上位4台が激しいバトルを繰り広げますが、1周を終えてコントロールインに最初に戻って来たのは、ポールポジションスタートの山本。その後方は約2秒の差で国分、さらに佐藤が続きます。
2周目にはTGRコーナーで佐藤が2番手を取り戻します。こうして、2番手争いを尻目に先頭の山本が逃げる体制になるのかと思いきや、レースも後半になるとその差も徐々に縮まって、再び上位3台はコンマ差のバトルを続けます。7周目には佐藤が一度トップに立ちますが、ファイナルラップのスープラコーナーで山本が、その佐藤のインを奪います。山本はこのファイナルラップでファステストラップも更新し、結果としてポールtoウインを決めました。2021年のチャンピオン、山本にとっては最高の開幕戦となりました。以下、佐藤と国分が表彰台を獲得します。

1.8クラスでは、オープニングラップで9番グリッドからジャンプアップしてきた中村がトップに立ちます。レース序盤では91号車の神谷と激しいバトルを続けますが、4周目に神谷がトップを奪い返します。その後、神谷は徐々に後続との差を広げて、総合4位で今季初のクラス優勝を決めました。このクラスでは逆に、中村を先頭にした2位争いが勃発。なんとか中村は凌ぎきりますが、クラス3位の2号車・渡邉達也が0.831秒差で続き、予選で健闘した山田も3位とは0.466秒差の4位。同じく84号車・大矢明夫も0.567秒差、35号車・松波太郎も0.938秒差で前車に続いてゴールと、2位から6位までが一団となりました。

初代NA6CE同士の一騎討ちとなった1.6クラスは2022年チャンピオンの竹田が、良きライバルの27号車・野木 強を1.227秒の僅差ながら、終始抑えての優勝。昨年、初優勝を果たした野木との熟年対決が、今年も展開されることを期待しましょう。18台の激戦区となった1.5チャレンジクラスでは、予選でも圧倒した松原が8秒という大差を後続につけて堂々のV。激しい2番手争いを制した118号車の吉野直人と、28号車の石塚崇宣もポディウムに登壇。以下、4位の50号車・田中悠太、5位の46号車・北田辰男、6位の24号車・近藤 順までが入賞です。最後に2.0オープンクラスの高橋は1.5オープンで4位の小倉の直前でゴール。バトルを楽しんだ様子でした。

1.6クラス優勝の竹田は、「直前にNDがいて、バトルしてくれたおかげで勝つことができました。このクラス、台数がもう少し増えてくれるとありがたいのですが。もう1台誘って出る準備は始めてくれたのですが、間に合わなかったです」とのこと。次に1.8クラス優勝の神谷は、「1コーナーでのアクシデントを避けて一旦下がったのですが、タイミングを見て上手く前に出られました」とコメントしました。

じつは1.5オープンクラスで昨年の第3戦から3連勝となった山本は、「中盤、タイムが落ちたのはマシントラブルが出てしまいました。その後なんとか回復できて、100Rから並べてヘアピンで抜けました」と振り返りました。1.5チャレンジクラスで圧倒した松原は、「富士はストレートが長いので、後ろに貼り付かれないように最初からコーナーで離す作戦でした。データ解析やシミュレーターも役にたっています」と、準備万端だったことを明かしてくれました。最後に2.0オープンクラスの高橋は、「タイヤがぶっつけ本番でしたので、予選はあのポジションあたりが妥当でしょう。誘われて出ましたが、5台くらい抜けたし、楽しいレースでした」と感想を語りました。

お知らせしたように、今シーズンのRSC第2戦は富士チャンとは別の日程です。スーパー耐久の第2戦・富士24時間の決勝が開始される5月27日(土曜日)の午前中に、サポートレースとして開催予定。大観衆の前でのバトルに注目が集まることでしょう。


Text by T.Nakamura/T.Ishida
Photos by S.Kokubo(Fuji Roadster Cup Community)/T.Nakamura

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