MZRacing マツダモータースポーツ情報サイト

日本国内レース

  • 2025/05/15
  • OTHER(日本)

インタープロト開幕ラウンドで八木 淳は試練の4位発進

2025年の「インタープロトシリーズ(IPS)POWERED by KeePer 第1戦・2戦」が 5 月10〜11日の週末に富士スピードウェイで開催されました。マツダ社内の開発ドライバー養成のために参戦10年目となった55号車の人馬一体ドライビングアカデミーにとっては、試練の船出となりました。


マツダの八木 淳は昨年から参戦を開始し、ジェントルマンクラスで順調に勝利を重ねてチャンピオンを獲得。ここまでは昨年のレポートで報告した通りです。そこで自身にとって2年目となる今シーズンは同じアマチュア同士でも上級のエキスパートクラスにステップアップ。55号車の歴代マツダ社員ドライバーにとっても、以前からこのクラスは高い壁となっていました。寺川和紘や川田浩史という現在はスーパー耐久に参戦している先輩たちも、初年度はジェントルマンクラスでチャンピオンを獲得。ところが参戦2年目のエキスパートクラスでは経験豊富なライバルたちに阻まれて、王座獲得は果たせていません。


レースウイーク初日の5月10日はあいにくの雨模様。八木をはじめアマチュアのジェントルマンたちは8時30分から20分間の予選アタックを行います。ベストタイムでこの日の第1戦の決勝グリッドを決めると同時に、翌11日の第2戦の決勝グリッドはセカンドベストでの争いとなるため、アマチュアにはハードルの高い予選となっています。というのもIPSのマシンが履くYOKOHAMAのレインタイヤは、ピークのパフォーマンスがあまり長くないために、どうやってセカンドベストの落ち込みを防ぐかが求められるとのことでした。その結果、八木は第1戦はクラス4番手、第2戦は3番手からのスタートになりました。


第1戦の決勝は11時54分にローリングスタートで始まりました。路面はウエットのままですが、雨は上がったために徐々に回復する難しいコンディションです。実は参戦2年目の八木は雨の富士の経験がほとんどなく、まさに手探り状態。予選でもポール獲得の37号車・大蔵峰樹に1.693秒と差をつけられました。さらにこの決勝はジリジリとリードを広げられる展開。12周中のベストタイムも優勝した大蔵が1分57秒992、2位の44号車・山口達雄が1分58秒337、3位の32号車・永井秀貴が1分58秒678なのに対して、八木は1分59秒662という状況で、クラス4位というポジションを守るのが精一杯となりました。


翌11日の富士は青空に恵まれました。第2戦の決勝もほぼオンタイムの9時33分にスタート。八木もドライ路面なら昨シーズンの後半から、前述のエキスパートクラスの3名とも互角の走りを見せていただけに、期待が高まりました。ところがこの日、4番グリッドからスタートした山口の勢いが八木を上回ります。オープニングラップはなんとか3位の座を守りますが、2周目にはあっさりと逆転。さらに山口はペースを上げて、8周目には永井も抜いて2位に浮上。最後は先頭の大蔵を0.134秒差まで追い詰めてチェッカーを受けました。

一方、序盤で4位へとポジションを落とした八木ですが、決して諦めてはいませんでした。この日はペースが今ひとつだった永井を次第に追い詰めると、10周目のダンロップで少し乱れた隙を見逃さずに逆転に成功。このままゴールすれば表彰台に辿り着ける期待が膨らみます。しかしながらキャリア十分の永井がファイナルラップで、右から左からと八木を揺さぶります。その結果、最終コーナーでインを守ろうとした八木の立ち上がりが少し鈍りました。そこからの短いストレートでしたが、スリップから抜け出した永井のマシンのノーズが0.008秒だけ55号車より先にラインを通過。開幕ラウンドの八木は2戦連続の4位という結果に終わりました。


戦い終えた八木は「ウエットはほとんど経験がなく、昨日の予選は攻めることができませんでした。決勝も同じように、スピンだけは犯したくないという弱気な走りになってしまいました。ただ今日は永井さんにはしっかり付いていけたので、次は必ず表彰台に立ちたいと思います」と巻き返しを誓いました。
なお、55号車でプロフェッショナルクラスに出場した牧野任祐ですが、今回は予選で失敗して痛恨の10位。さらに第1戦が赤旗で不成立となり、第2戦でも7位まで追い上げたところでチェッカー。こちらも不本意な結果となりました。
今シーズンのIPSは3ラウンド合計6戦での戦いとなり、次戦は8月16〜17日の週末に行われます。


またこの週末、富士スピードウェイでは「AIM Legend`s Club Cup 2025」が開催されました。2018年から開催されている年に一度の名物イベントで、60歳以上の往年の名選手たちによる熱いワンメイクバトル(マシンはVITA)が繰り広げられました。お馴染みの寺田陽次郎選手も77号車で参戦。ご当人は「先日ちょっと腰を痛めてしまったので、今回は無事に楽しむことを優先しました」と笑顔でレースを振り返りました。


●インタープロトシリーズ

Text & Photos by T.Ishida

PAGE TOP

©  MZRacing. All Right Reserved.

サイトマップ