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日本国内レース

  • 2024/11/07
  • ROADSTERCUP

RSC第4戦、山本謙悟が総合優勝も国分 務が奇跡の逆転王座に!

富士スピードウェイを舞台にしたロードスターカップ(RSC)の今季最終となる第4戦が、11月3日のワンデーで開催されました。エントリーは今シーズンで最多となる49台。しかも久しぶりに2.0チャレンジにも1台が参戦して、6クラス全部のマシンが揃いました。第3戦ではRSC史上初めて姿を見せなかった初代NAによる1.6クラスも復活して、全4世代のロードスターが集結する富士チャンらしさが戻ったのも嬉しいトピックです。

整理すると、初代と2代目が対象の1.6クラスがNA2台で、同じく1.8クラスがNB勢の8台。パーティレースのNCシリーズと共通の2.0チャレンジクラスにも130号車の大橋 功が参戦し、NC のほかNDのRFも参戦可能な2.0オープンクラスには3台がエントリーしています。そして最多の勢力は現行ND型。パーティレースとレギュレーションが共通の1.5チャレンジクラスは24台で、その改造範囲を少し広げた1.5オープンクラスも11台と盛況です。

特に2.0チャレンジクラスは筑波サーキットで開催されていたパーティレースのNCシリーズが今季限りで終了したため、その受け皿となるかどうかにも注目が集まるところです。今回、久しぶりに参戦した大橋も「自分もその一員だったので、機会があればぜひNCパーティレーサーの皆さんとも一緒に走りたいです。同じクラスの方が出場されて、クラスが成立するといいですよね」とラブコールを送っていました。


この週末の富士の天候は気まぐれで、前日夕方の練習走行枠は雨が激しく降ったためにキャンセルになったほど。ところが明けて3日の日曜日になると、太陽が顔を出して絶好のレース日和となりました。公式予選は9時10分からの20分間。ポールポジションを争ったのは改造範囲の広いオープンクラスの上位陣ですが、ドライ路面の今回は1.5のND勢がフロントローを独占しました。23号車の山本謙悟が2分06秒983で断然のトップタイム。さらに20号車の佐藤文昭が2分07秒690で続きました。

ところがグリッド2列目は、2.0オープンクラスのチャンピオンを争うふたりが獲得。101号車の高橋裕史が2分07秒792、77号車の長岡哲也が2分07秒839なので、まさに紙一重の大接戦。その後方には1.5オープンクラスの実力者が僅差で続きます。5番グリッドは79号車の杉浦 良、6番グリッドは31号車の丹澤勇貴で、さらに14号車のジョニー小倉、112号車の池島実紅、7号車の茂木文明までが同じクラスとなっています。

そして10番グリッドは1.8クラスのトップとなる8号車の関野大志が2分08秒415で獲得。背後には1.5オープンクラスのランキング2位の10号車・国分務を従えての下克上です。関野は今季すでに2勝してチャンピオンに王手をかけていますが、前年王者の91号車・神谷 誠もこの最終戦で勝てば逆転の可能性を残していました。ところが予選では国分の後ろの12番グリッドからのスタートになってしまったのは痛恨でしょう。

そしてエントリーは2台ですが実力伯仲の1.6クラスは34号車の永野裕介が2分11秒046で総合では18位。27号車の野木 強が2分11秒542で総合では20位。ふたりとも1勝ずつなので、まさに最終戦で先着したほうが優勝かつチャンピオンとなります。

大盛況の1.5チャレンジクラスでは、3連勝ですでにタイトルを確定させている29号車の鷲尾拓未が2分14秒071でトップ。これで4戦連続のポールポジション獲得です。前戦の途中で先頭を走った50号車の田中悠太は2分14秒245を叩き出すも、一歩及びませんでした。以下、RSCは初出場の280号車・平田 剛が大健闘の3番手、開幕戦から3位→4位→5位と安定している254号車の小野佳寿美が4位で続き、グリッド3列目には2戦目の51号車・鈴木幸尚とデビュー戦の40号車・鈴木栄吾という、フレッシュな“スズキ”のコンビが並びました。


この日は順調にスケジュールを消化し、RSCの決勝もオンタイムの進行。1周のフォーメーションラップを終えて、13時01分に8ラップの決勝がスタートしました。ここで輝いたのが、4番グリッドだった長岡。排気量の違いを活かしてNCを加速させ、1コーナーまでにトップに躍り出ます。予選では長岡を上回った高橋は出遅れてオープニングラップを5番手で戻ってきます。2.0オープンクラスは長岡と高橋の一騎打ち状態で、最終戦を勝った方がチャンピオンだったのですが、この出遅れが最後まで大きく響きました。ほぼ最後まで長岡と高橋の間には1.5オープンクラスのマシンがいて、逆転の匂いが漂いません。

ということで、長岡の後方にいるのは1.5オープンクラスの予選上位の面々です。総合ポールの山本と同じく2番手の佐藤の2台は序盤からテールtoノーズ状態のバトルを開始。とくに前戦で初優勝を飾った佐藤は猛然とプッシュ。ここはなんとか山本が凌ぎ切って中盤戦に突入します。ところが、そのはるか後方でも1.5オープンクラスで奇跡のドラマが生まれていました。予選でクラス8番手だった国分は出遅れた池島を抜いてまずはクラス7位に浮上します。そして2周目に茂木をパスしてからは怒涛の追撃ショータイムに突入。4周目にはジョニー小倉、6周目には丹澤、7周目には杉浦も抜いて、クラス3位まで浮上します。

と、その前には序盤のプッシュで消耗し、クラス違いの高橋に先行を許してしまった佐藤の姿がありました。ファイナルラップで仕掛けた国分のアタックに対して、佐藤に対抗するだけの力は残っていなかったようです。なお、この最終周にはクラストップの山本にも出番がありました。同じクラスの佐藤を振り切ったあと、プレッシャーをかけ続けていた長岡がスープラコーナーで姿勢を乱すアクシデントが発生。山本はここで総合トップの座まで登り詰め、先頭でチェッカーフラッグを受けることに成功しました。もちろん1.5オープンクラスでも山本が優勝し、 2位には国分がジャンプアップ。佐藤は3位という結果に終わりました。このクラスは参加11台のため、4位の杉浦と5位の丹澤までが入賞です。


この結果、1.5オープンクラスのチャンピオンには国分が輝くことになりました。開幕戦と最終戦で勝った山本ですが、第2戦を欠場しているためにランキングでは3位どまり。一方で国分と佐藤が優勝1回ずつで2位が2回で3位も1回ずつという、まさに横並びの結果で62ポイントの同点に。こうした場合、最終戦で上位に入った方を優先させるという規定があります。そのため、予選でクラス8番手に沈んだ国分が2024年のシリーズチャンピオンに決定しました。

エントリー3台だった2.0オープンクラスについては前述の通りで、ファイナルラップで山本に総合トップの座は譲ったものの、長岡が余裕を残してのクラス優勝。シリーズチャンピオンも獲得しました。一方でガチのバトルが期待された1.8クラスでは、ちょっと予想と違った展開になりました。まずは関野が総合での順位をふたつ上げて1周目をクリア。6周目の途中まで、2番手の神谷の間にはクラス違いのマシンが間に入る状況で、関野にとっては“楽な戦い”になったことでしょう。最後は総合9位と10位というポジションでゴールしましたが、ギャップは5.856秒。これでは逆転の匂いは漂いません。1.8クラスの3位には55号車の澤田 薫が2戦連続で登壇。以下、4位の11号車・松浦 健と5位の84号車・大矢明夫までが規定により入賞です。

もうひとつ、たった2台だけの1.6クラスでは予想通りの接戦が演じられました。ただ、決勝ではいきなり予選順位から逆転。野木が永野の前に出てレースを進めます。そして3周目にクラス違いの1台が野木と永野の間に入ったことで、野木は一息つけたことが勝敗の分かれ目になったようです。そのクラス違いのマシンは野木を抜いて前に行ったり、またもう一度間に入ったり、さらに永野に抜かれて後退するなど、安定しない状況が続きますが、野木にとってはメリットの方が大きかったようです。最後まで1.299秒という僅差でしたが、野木が逃げ切って今季2勝目。これでチャンピオンも獲得しました。


最後に1.5チャレンジクラスでは、今回はチャンピオンの鷲尾の独壇場に近い印象でした。僅差で追う田中ですが、なかなか勝負できる間合いまでは持ち込めません。1.247秒という僅差ではありますが、鷲尾が4戦連続のポールtoウインという快挙を達成してチャンピオンに花を添えました。2位はもちろん田中で今季3度目。そして3位には小野が入賞です。小野は1周目には田中を抜いて2位に浮上。2周目には田中に抜き返されますが、その後も渋とく3位の座はキープし続けました。以下、4位に80号車の臼井達哉、5位に107号車の鷹尾一成、6位にはデビュー戦の平田が入賞しました。


1.5オープン優勝の山本は「せっかく予選で総合トップが取れたのに、決勝はNCの長岡さんが速くて全然追いつけず、逆に佐藤選手のプレッシャーもきつくて、もう大変でした。でも最後にトップでゴールできたので頑張った甲斐がありました」と振り返りました。また予選クラス8位から2位となってチャンピオンを決めた国分は「失うものはないと開き直った決勝でしたが、出来すぎです。このクラスは仲間と楽しく遊べているので、まだ続けていきたいですね」と喜びを語りました。2.0オープンで勝って逆転王者となった長岡は「スタートが上手く決まって、しかも高橋さんとの間に2台のクラス違いが入ったのはラッキーでした。でも、その2台に抜かれまいと頑張りすぎて、最後はもうタイヤが限界で総合トップの座は守れませんでした」とコメントしました。


1.8クラスで優勝して初のチャンピオンも決めた関野は「今日は予選も決勝も思った通り、ほぼ完璧でした。でも自分は神谷さんに成長させてもらったので、感謝しています」とライバルへのリスペクトを強調していました。1.6クラスの野木は「前回、自分のマシンの修復が間に合わずに不成立になったのが申し訳なくて、今回は頑張って間に合わせたら、永野さんにも勝ってチャンピオンまで取れちゃいましたね。NAのいない富士チャンは寂しいので、来年も参戦しようと思っています」。1.5チャレンジの鷲尾は「今シーズンはクルマに自分が合わせられるようになったのが進歩かなと思います。あとは稲富ガレージの皆さんの人柄の良さに助けられています」と感謝を述べました。


●富士チャンピオンレース
http://www.fsw.tv/freeinfo/005515.html



Text by T.Ishida
Photos by H.Kose/T.Ishida




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