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日本国内レース

  • 2024/08/14
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JT第4戦十勝は雨が翻弄。石谷豪志が逆転の2勝目でシリーズは混戦模様に

8月11日(日)、北海道の十勝インターナショナルスピードウェイで「ロードスター・パーティレースⅢジャパンツアーシリーズ第4戦 in 十勝」が開催されました。15台で争われたNDシリーズクラスは大きなドラマが発生。予選から決勝の終盤まで支配していた28号車の普勝 崚がまさかのスピンアウトを喫してしまい、代わって首位に躍り出たのが予選8番手だった117号車の石谷豪志。開幕戦に続く2勝目を挙げて、ランキングも2位に再浮上しました。


7時40分から行われたブリーフィングには、マツダのブランド体験推進本部・ブランド体験ビジネス企画部・モータースポーツ体験グループの廣田賢興氏が登壇。「ロードスター・パーティレースの“競い合いを楽しむ”というグラスルーツのコンセプトを思い出していただいて、他の選手へのリスペクトも忘れずに、ぜひクリーンなレースを楽しんでください」と挨拶されました。

今回のエントリー台数は、NDシリーズが15台、NDクラブマンが3台の計18台。そのうち274号車の高橋伸也(写真左)がシリーズクラスに、220号車の長南伸次(同中央)と268号車の竹本尚史(同右)がクラブマンクラスに初出場です。恒例により、3名全員がそれぞれ意気込みを語りました。


公式予選は9時10分からの15分間。台風5号の接近もあり、コース上空は一面雲に覆われていました。体感的には肌寒い状況で、手元の計測では気温22.8℃/湿度60%/路面温度28℃。さらに予選直前から、パラパラと雨が落ちてきました。

序盤に一番時計を刻んだのは33号車の恵木勇哉で、2分40秒590をマーク。それを皮切りに各車続々とタイムを刻んでいき、直後に35号車の加藤達彦と108号車の米川直宏が2分40秒台で恵木を上回りますが、どうやら勝負は2分39秒台となる気配に。その壁を最初に破ったのが54号車の三宅陽大で、タイムは2分39秒819。ここからが本当の戦いです。

雨が降り続いたまま予選は後半へ。残り約1分50秒でトップに躍り出たのが28号車の普勝 崚で、2分39秒202をマーク。各選手とも最後までアタックを続けますが、そのタイムを超えることができませんでした。以下、三宅が2分39秒474、加藤が2分39秒752で続きましたが、4番手には186号車の勝木崇文が2分39秒763を序盤に計測していたことが判明します。さらにグリッド3列目には恵木と米川となりました。

ちなみにジャパンツアーの第3戦で初優勝を達成し、さらに昨年の十勝の予選でコースレコードを記録した63号車の吉田恭将は7位という結果に終わりました。そのほか、開幕戦を制した117号車の石谷は8位、東日本シリーズを2連覇している16号車の上田純司が9位、7月21日のSUGOで3年ぶりに勝って北日本シリーズのトップに立った127号車の関 豊はなんと11位と、実力者たちも予選では振るいませんでした。


予選時にパラパラと降っていた雨は決勝前には一度上がって、手元の計測では気温23.7℃/湿度62%/路面温度37.8℃。気温に変動はないものの、蒸し暑さが増した体感です。今回は全長5100m近くに及ぶフルコース(グランプリコース)を使用し、9周で争われます。オンタイムの11時35分にフォーメーションラップがスタートしますが、ここで天候が変化。霧雨が降り始めて、ワイパーを動かす選手も見受けられました。

各車が最終コーナーに差し掛かる前に2列に隊列を整えて、ストレートに入るとシグナルがグリーンに変わります。全車混乱なくクリーンスタートとなり、ポールスタートの普勝を先頭に、三宅、加藤、勝木、恵木まではグリッド通りの順番で1周目をクリア。ただ、6番グリッドだった米川がふたつポジションを落として、後続の吉田と石谷がひとつずつ順位を上げました。

2周目からは2位争いが激しくなり、三宅と加藤、勝木が接近してのバトルに突入。その隙に普勝は逃げ切りの体制に移り、2位以降を徐々に引き離しにかかります。また3周目には石谷が吉田をかわして6位まで浮上。そして4周目にもまた順位変動が起きます。3位だった加藤が5位に後退し、勝木と恵木が代わって順位を上げました。この頃から雨足が強くなり、コースの路面も徐々にウエットに近く変化。加藤は負の連鎖に入ったようで、5周目には8位までドロップしてしまいます。

この状況で、明らかにフラつくマシンも目立ち始めますが、逆に雨を味方に順位を上げる選手も見られるようになります。8番グリッドから3周目終了の時点で6位まで上げていた石谷が、5周目には一気に2台を抜いて4位までジャンプアップ。さらに11番グリッドからのスタートだった関も、同じく5周目には6位の入賞圏内にまでたどり着きます。石谷の勢いは止まらず、6周目には再び2台を抜いて2位の座を奪取。関は次の7周目に5位となり、いわゆる2位争いの集団に追いつくことに成功します。

雨はレースをさらに翻弄します。5位を走っていた恵木が足をすくわれて、7周目に5位から8位にポジションをダウン。そして最大のドラマが8周目の6コーナーで起きました。2位以下の集団がバトルしている隙にリードを広げ、5周目以降は2秒以上という大きなギャップを築いていた普勝が進入の際にテールをスライド。そのままスピンを回避できずに、一気に後続の10台に抜かれてしまいました。

ここで石谷がトップに立ち、混乱に乗じて関も2番手までジャンプアップ。これに勝木と、粘りの走りで再浮上してきた加藤が続いて漁夫の利を得ますが、逆に三宅は3位から5位にドロップ。明暗が分かれました。整理すると、石谷が開幕戦以来の今季ジャパンツアー2勝目を達成。2位の関と3位の勝木がポディウムに登壇しました。以下は加藤、三宅、吉田までが規定により入賞です。


なお、出走3台だったクラブマンクラスは、初参戦の長南が予選でクラストップの2分44秒387を記録。決勝でも総合14位というポジションからスタートし、結局そのままクラストップでチェッカー。見事にデビューウインを果たしました。なお、同じくルーキーの竹本がクラス2位で、69号車の酒井 仁が3位となり、暫定表彰式には3名全員が登壇。シャンパンファイトを楽しみました。


優勝した石谷は「マシンをチェンジしてから初のレースで、かつ初めてのコース。手探り状態の予選では良い位置につけませんでした。壊さないことを最優先に、ポイントを獲得して次に繋げようと思っていましたが、走り始めたら意外と前との差が開きませんでした。雨が強くなると、周りのクルマが守りの状態に入って隙が見え始め、そこを突いたら2位までいけました。それでも差はかなりあったのですが、思わぬことで逆転できました。今日は雨と運に助けられましたね。雨は得意なんです!」と、嬉しそうに話してくれました。

今回は予選11番手から2位にジャンプアップしたMAZDAワークスの関にも語っていただきましょう。「実はコースの端と端とでは天候が違っていて、ジュニアコースのほうはドライに近い状態だったのです。ドライの勢いでウエット路面に入ってしまって、失速する選手が多いように感じました。今日はその違いを見極められたかどうかで、最後は決まりましたね」と、経験がものを言ったことを示唆してくれました。

この結果、第4戦を終えてのポイントリーダーは64点まで増やした加藤達彦で変わりません。これに今回優勝した石谷豪志が58点で肉迫。以下は吉田恭将が42点、三宅陽大が39点、関 豊が38点、恵木勇哉が34点で続いています。シリーズは8戦中6戦の有効ポイントで争う予定のため、第3戦でノーポイントながら2位につけている石谷の方が、現状で4戦全部がカウントされている加藤に比べると若干有利な状況です。もちろん、まだまだシリーズの行方は見通せない段階だと言えるでしょう。


次回のジャパンツアーシリーズ第5戦は9月28日の土曜日に、三重県の鈴鹿サーキットでスーパー耐久シリーズのサポートレースとして開催予定です。また直近のパーティレースは北日本シリーズで、9月1日の日曜日に宮城県のスポーツランドSUGOで行われます。



Text by T.Abe/T.Ishida Photos by B Sports

MAZDA MOTORSPORTS ロードスター・パーティレースⅢ

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