RPR東第3戦バーチャルからリアルへの道でも活躍する若者が殊勲

2023/08/04

RPR東第3戦バーチャルからリアルへの道でも活躍する若者が殊勲

2023年のロードスター・パーティレースⅢも、いよいよ後半戦に突入。7月29日には東日本シリーズの第3戦が、茨城県の筑波サーキットで開催されました。参加23台のNDシリーズクラスを制したのは54号車の加藤達彦。今年からリアルの世界にも参戦を開始した23歳の若者が、3レース目での初入賞が初優勝という快挙を達成しました。

第3レースのNDシリーズには今回、マツダの梅津大輔（車両開発本部操安性能開発部所属）が賞典外で参加。梅津が乗る00号車にはボッシュとともに開発中で、モータースポーツ用に最適化したDSCの新制御技術「DSC-TRACK」の試作品を装備。実際のレーシング走行で性能を検証することを目的として、JAFからの承認も得て混走しました。

公式予選は9時45分からの15分間。終了した10時の段階では気温34.1℃・湿度51％・路面温度51.1℃と、サーフェスが50℃をオーバー。まず1分11秒232という好タイムを出してきたのが、105号車の菅原達也。これに続いたのが71号車の登坂紀で、タイムは1分11秒489。この11秒台の前半に入れられるかどうかが、予選では勝負のポイントになりました。結局、その後は唯一、6分過ぎに54号車の加藤達彦が1分11秒230を出して全体トップに躍り出たのみ。この上位3台はいずれもアタック1周目に出した記録です。

4番グリッドはグランツーリスモの世界チャンピオンでもある281号車・宮園拓真が獲得。アタック4周目に1分11秒611まで削りました。また、昨年はクラブマンクラスで無敵の強さを誇った155号車の松原泰世は最初のアタックでイエローフラッグが振られる不運もあり、次の周の1分11秒633で5番グリッドまで。そして昨年の東日本チャンピオン、16号車の上田純司が1分11秒781で6番手となりました。上田は6日前のジャパンツアーシリーズ(十勝)からの連戦です。

15ラップの決勝レースは12時58分にスタートが切られました。13時の段階では気温37.2℃/湿度37％/路面温度61.4℃と、ついに路面が60℃を超えました。上位陣では松原が、ダッシュ鋭く宮園を抜き去ってオープニングラップを戻ってきたのが唯一の順位変動。さすがにシリーズクラスの実力者たちが揃うと、なかなか差が広がらないまま序盤は推移。次に動いたのも仕掛けたのは松原で、5周目に登坂を抜いて3位までジャンプアップしました。

ポールポジションの加藤は冷静でした。リアルの世界では先輩にあたる菅原が序盤から0.1秒台から0.2秒台の僅差で攻め立てますが、なかなか隙を見せません。すると、今度は松原が追いついてきて、2位と3位の間にも攻防が生まれました。その後、4位には宮園が浮上し、5位が上田、6位に登坂という順になりますが、中盤までは先頭から6位までのギャップが2秒ちょっとだったので、まさにダンゴ状態です。

上位陣ではその後、10周目に上田が宮園を捉えて4位に浮上しましたが、最終コーナーで後方の36号車がスピンアウト。レース続行にはリスクの高い場所で動けなくなるアクシンデントが発生しました。そこでセーフティカーが導入されましたが、なんと14周目終了時点まで。つまり残り1周だけのスプリント勝負が行われました。先頭の加藤は今年デビューのルーキーですが、この緊急事態にも冷静に対処。無難にリスタートを決めて、先頭でチェッカーフラッグを受けました。

整理すると、NDシリーズの優勝は加藤。デビュー3戦目での嬉しい初入賞が初優勝となりました。菅原と松原が表彰台に登壇し、以下、4位の上田、5位の宮園、6位の登坂までが入賞。ただし、規定により接触があった菅原と松原には、シリーズポイントは与えられません。これにより、ポイントリーダーの座は松原で変わりませんが38ポイントのまま。上田が30ポイント、宮園が29ポイント、133号車の辻田佳典が28ポイント、登坂が26ポイントで続いています。

加藤は「決勝は余計なことは考えず、ポールの自分が一番有利だからと言い聞かせていました。今年は“バーチャルからリアルへの道”に合格して、同時にパーティレースにも参戦しました。まさか優勝できるとは、感謝しかありません」と振り返りました。

なお、参加13台のNCシリーズを制したのは168号車の森本進一。今季2勝目となりましたが、残念ながら接触でノーポイントに終わってしまい、チャンピオン争いは混迷の極みとなりました。

参加14台のNDクラブマンクラスを制したのは11号車の山口聡。2020年の最終戦に続く2回目の優勝でしたが、この日は予選からライバルを圧倒。ほぼ完璧なポールtoウインの見事なレースぶりでした。

ロードスター・パーティレースⅢの東日本シリーズの最終となる第4戦は10月29日の日曜日、ここ筑波サーキットでの開催を予定。また、パーティレースの次の戦いはジャパンツアーシリーズの第5戦で、8月13日の日曜日に大分県のオートポリスで行われます。

Text by T.Ishida, Photos by B Sports