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  • 2024/10/08
  • ROADSTERCUP

RSC第3戦、雨中の三つ巴決戦を制した佐藤文昭が初V

富士スピードウェイを舞台にしたロードスターカップ(RSC)第3戦が、 10月5日・土曜日のワンデーで開催されました。エントリーは37台で、1.6と2.0チャレンジを除く4クラスが成立。この1.6クラスが不成立となったことで、今回は初代NAの姿が見られませんでした。しかしながら最終戦には2台のNAが参戦の意向を示しているとのこと。今回も最多の16台を集めたのは、パーティレースとレギュレーションが共通の1.5チャレンジクラスで、1.5オープンと1.8の両クラスは9台ずつ、2.0オープンクラスが3台という内訳です。


公式予選は9時10分からの20分間で行われましたが、本日の富士はあいにくの雨模様です。ポールポジションを争ったのは改造範囲の広いオープンクラスの上位陣ですが、実は1.5と2.0のふたつのオープンクラスの実力がきわめて接近というか、錯綜しているのが現状です。ドライ路面だった前戦は総合ポールが1.5オープンで2番手が2.0オープン。タイムは2分07秒175と2分07秒191でしたから、その差は0.016秒。そして今回の総合ポールは2.0オープンの101号車・高橋裕史でタイムは2分19秒023。これに0.026秒差の2分19秒049で惜しくも届かなかったのが1.5オープンの7号車・茂木文明です。

ただし、茂木の後には1.5オープンクラスのマシンが僅差で続きました。79号車の杉浦 良と20号車の佐藤文昭、10号車の国分務に112号車の郡司和明のクラス5位までは、全員が2分19秒台の前半。まさに紙一重の争いで、決勝でも激戦は必至でしょう。総合の7番手には2.0オープンで高橋のライバルとなる77号車の長岡哲也でタイムは2分20秒432。意外だったのは昨年の1.5オープンを4戦全勝で圧倒し、今年の開幕戦でも優勝している23号車の山本謙悟が2分20秒968でクラス7番手に沈んだことでしょう(第2戦は欠場)。

エントリー9台の1.8クラスは開幕戦を8号車・関野大志が制しましたが、第2戦は前年王者の91号車・神谷 誠がリベンジして優勝。今回もこのふたりが予選からクラストップの座を争いましたが、輝いたのは関野の方。2分24秒797で総合では12番手。ベテランの神谷は2分25秒749と1秒近く遅れを取ってしまい、2.0オープンクラスの96号車・遠藤幸和に間に入られて14番グリッドで決勝をスタートします。以下、2号車の竹田幸一郎、55号車の澤田 薫、84号車の大矢明夫の3名が2分26秒台後半のタイムで続きました。

1.5チャレンジクラスは2連勝中の29号車・鷲尾拓未が2分28秒616で断然のクラストップ。予選の序盤はクリアラップが取れずに苦しんでいましたが、終わってみればクラス2番手の50号車・田中悠太のベスト2分30秒764に対して、1秒以上の大差をつけました。ただ、田中にとっては総合では20位と21位でグリッドが離れなかったのが決勝でのドラマに繋がりました。以下は80号車・臼井達哉/107号車・鷹尾一成/254号車・小野佳寿美/128号車・竹田和憲の4名が2分32秒台のタイムで続きましたが、田中と臼井の間と、鷹尾と小野の間には1.8クラスのマシンが挟まっています。


午後に入ると雨脚が激しくなり、ひとつ前の決勝レースはキャンセルになりました。RSCも開催が危ぶまれましたが、セーフティカー(SC)先導でのスタートに変更され、ほぼオンタイムに近い進行で14時34分に全車がグリッドを離れていきました。つまりフォーメーションラップはなくなり、この時点から8ラップの決勝となります。さらに大方の予想に反して、SCは最初の周の途中でルーフのライトを消灯させてピットロードに向かいました。つまり1列の状態で2周目に入ったところから、RSC第3戦のバトルが始まったのです。

この時、排気量の違いを活かしてNCを加速させ、リードを広げたのがポールシッターの高橋。2周目終了時点では1.330秒の貯金を作ることに成功します。一方で総合の2位以下はいきなり順位が動きました。3番グリッドだった杉浦がその一番前に出て、4番グリッドだった佐藤もひとつ順位を上げることに成功。その逆に茂木はこの2台に抜かれてしまいます。後方では1.8クラスの先頭で出た関野がすぐ前のクラス違いの1台をパッシング。神谷も遠藤を抜いて戻って来ますが、結局またクラス違いの1台を間に挟んでの追走となりました。そして1.5チャレンジクラスの鷲尾と田中は序盤からガチのバトルに突入。どうやら勢いは追う田中の方にあったようですが、鷲尾も必死で防戦します。

そして3周目に入ると、先頭の高橋のペースが今ひとつになります。このヘビーウエットと言っていい路面では、車重の軽い1.5オープンのND型のコーナリングがNCを上回り、直線でのアドバンテージだけでは防ぎ切ることが難しくなりました。この周回で一気に先頭に躍り出たのが佐藤で、杉浦は高橋を抜きますが総合では2位のまま。さらに4周目に入ってもアクシデントと順位変動が起こります。1コーナーへの進入で郡司にヒットされた茂木がくるっとスピン。すぐに立ち直りましたが、茂木はふたつポジションをダウンしてしまいます。この行為に対しては競技結果に10秒を加算するペナルティの裁定が郡司にくだりました。高橋はこの周も国分と郡司という2台の1.5オープンのNDに抜かれて総合5位まで順位を落とします。

5周目に入ると総合の上位陣は少し落ち着きましたが、今度は1.8クラスと1.5チャレンジクラスの方でドラマが起きます。まず神谷が目前のクラス違いを抜くことに成功し、いよいよ関野への追撃を始めたかと思われましたが、6周目にそのマシンに抜き返されてしまい万事休す。一方で鷲尾はストレートで3速から4速へのシフトアップの際に、なんと6速に入れてしまう痛恨のミス。これで田中が待望のクラストップに躍り出ました。ただし、こちらのバトルは順位が入れ替わっただけで、今度は鷲尾が田中を追うという展開になりました。

話を総合の上位陣に戻します。4周目から6周目あたりまでは、佐藤を先頭に杉浦と国分までの1.5オープンの3台がトップグループを形成。当初は杉浦の勢いがよくて佐藤に迫るシーンも見られたのですが、6周目には逆に国分が杉浦に接近し、7周目終了時点では完全にロックオン。ファイナルラップの攻防は見応えがありました。1コーナーで国分はアウトから並びかけますが、ここは一度引きます。ただし、次のコカコーラで狙い澄ましてインを差すという技を見せました。逆に佐藤は6周目の1.4秒から7周目には1.9秒台にリードが広がり、最後に国分には迫られましたが0.546秒差での逃げ切りに成功しました。


クラス別となるポディウムには佐藤、国分、杉浦の順に高いところに立ちました。佐藤は昨年の開幕戦でデビューして、いきなり3戦連続で2位となったほか、最終戦でも3位。今年も2戦連続で2位というシルバーコレクターだったのですが、見事に初優勝を成し遂げました。そして終わってみれば4位には、なんと予選でクラス7番手だった山本が入賞。1.5オープンクラスは参加9台のため、ここまでが表彰の対象となります。予選でクラストップだった茂木は5位と悔しい結果に終わりましたが、チャンピオン経験者が速さを取り戻したことは証明。次戦以降に大いに期待させてもらいましょう。


次に2.0オープンクラスですが、総合ポールの高橋が徐々に1.5オープンの上位陣に先行を許して4周目からは総合5位を走行。そのまま8周を走り切って第2戦に続くクラス優勝を達成しました。開幕戦を制した長岡も最後は5.768秒差まで高橋に接近しましたが、2台のクラス違いが間にいたため、逆転の匂いは漂いません。さらに遠藤も同一周回のクラス3位で完走しますが、参加3台のため表彰対象は優勝した高橋のみ。暫定表彰もこのクラスのみは高橋ひとりで行われました。


1.8クラスの優勝争いの結果は前述の通りで、開幕戦と同様に関野が神谷を終始リードして通算3勝目をマーク。ただしこのクラスは、3位以下のバトルにも序盤から動きがありました。まずは3周目(バトル開始から2周目)に澤田が竹田をパスして3番手に浮上。さらに次の周には大矢も竹田を抜いて4番手に上がります。この日は澤田の勢いがよく、6周目にはクラス違いのNCの遠藤もパスして神谷の背後に接近。最後は0.537秒差まで迫るパフォーマンスを披露して3位で表彰台に登りました。このクラスも参加9台につき、4位の大矢までが入賞です。


1.5チャレンジクラスではファイナルラップにもう一度ドラマが起きました。5周目に鷲尾のシフトミスで先頭に出た田中ですが、もちろん抜かれた鷲尾も諦めずに食い下がり、ワンチャンスを狙っていました。クラス違いのマシンが田中の前に現れて、徐々に近くなってくるのを発見。鷲尾はヘアピンから田中の背後に張り付いて、ダンロップでクラス違いを抜こうとした田中のさらにイン側を急襲。ここで再び首位の座を奪還しました。クラス3位には安定した走りで臼井が入賞。以下、4位に鷹尾、5位に小野が入賞したのに続き、6位には281号車の西川省吾が滑り込みました。


1.5オープン優勝の佐藤は「雨は苦手で予選もクリアが取れず、決勝も不安だらけでしたが、最後はラッキーな展開になりました。ドライの最終戦で師匠のケンゴさんに勝って、チャンピオンになりたいです」と連勝を目指します。2.0オープンで2連勝となった高橋は「前回は逃したポールが取れたのはよかったです。決勝の雨量だとやはりNDにはかなわないので、長岡さんの位置を確認しながら走りました。最終戦で勝った方がチャンプだと思うので頑張ります」と同じく連勝宣言です。1.8クラスで今季2勝目の関野は「今日は予選の空気圧が決まって、決勝は神谷さんとの間にクラス違いを挟むというプランも成功して、ほぼ狙い通りのレースができました」と振り返りました。1.5チャレンジの鷲尾は3連勝で王座が確定しましたが「今日は前に行かれたら負けると思っていました。自分よりマイケル(=田中)さんが速いところがあるので、最終戦には修正して全勝を目指します」と引き締めていました。


今シーズンのRSCもいよいよ最終戦を残すのみとなりました。決戦の舞台は11月3日の日曜日に予定されています。


富士チャンピオンレース

https://www.fsw.tv/freeinfo/005516.html


Text by T.Ishida
Photos by N.Namba/T.Ishida

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