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日本国内レース

  • 2024/09/17
  • RPR

PR西第3戦、最多勝マイスターの本多永一が1年ぶりに見せた独走劇

9月15日、岡山国際サーキットでロードスター・パーティレースⅢの西日本シリーズ第3戦が行われました。チャンピオンを争うNDシリーズクラスは27台の大盛況。前夜からの雨模様から一転して、ドライ路面での熱戦が展開されました。この日は通算22勝を誇る88号車の本多永一が予選・決勝ともにライバルを圧倒するポールtoウインを達成。ただし2位争いをはじめとする各所でのバトルは見応え十分だったと言えるでしょう。


西日本シリーズ第3戦へのエントリー合計は33台。NDシリーズクラスが27台、NDクラブマンクラスが6台という内訳でしたが、デビュー予定だったクラブマンの1台が欠場となり、32台が予選に臨みました。ブリーフィングではマツダのブランド体験推進本部ブランド体験ビジネス企画部モータースポーツ体験グループの後藤憲吾さんが登壇。「不安定な空模様が少し気がかりですが、皆さんがレースを楽しんでいただくのを最後まで見届けたいと思います」とスピーチされました。

次にNDシリーズクラスの119号車・宮川優一が今回唯一の初参戦ということで、「レースは初心者ですので、よろしくお願いします」と挨拶。もちろん先輩たちからは拍手で歓迎されましたが、実は宮川の車名は「マツダ☆3VD開ロードスター」。改良型のND5REで、自らが開発を担当した“DSC-TRACK”の実戦での検証も兼ねての参戦なのでした。ただし昨年とは事情が異なり、開発中の段階ではないので賞典外ではありません。

後藤さんの挨拶にあったように、朝一番のサーキットは前夜から続く雨模様でした。路面も濡れていたのですが、11時ジャストからの公式予選が近づくに連れて回復傾向となり、ほぼドライになりました。タイヤマーキングを終えた後なのにオフィシャルに許可を得て、浅溝のセットに急遽チェンジするシーンにも遭遇。コースイン直前の気象条件は気温 29.7℃/湿度78%/路面温度35.4℃となっていました。


オンタイムの11時から15分間の予定で始まった公式予選ですが、第2戦でポールシッターとなった37号車の菅田政宏に不運なアクシデントが発生します。最初のアタックで13番グリッドに相当する2分00秒774をマークした後、なんとタイヤがバースト。決勝に向けて交換は許されましたが、規定により最後尾スタートとなってしまいました。

そして今回の予選で輝いたのは、最多勝かつ過去6回の王座獲得を誇る本多でした。まずは1分59秒595を記録してリーダーボードの最上段に顔を出すと、今回は最後まで誰も2分の壁を破れません。これに続いたのが99号車の藤井善豪で、タイムは2分00秒219。結局この2分00秒台の前半で上位陣が鎬を削ることになり、ここで存在感を見せたのが前回のウイナー、56号車の小林太一。アタック2周目に2分00秒176を記録して、ピットで待機に入りました。

中盤から終盤にベストを更新するドライバーも今日の予選では多かった印象です。108号車の米川直宏はアタック4周目に2分00秒313、186号車の太田 楽はアタック5周目に2分00秒386を記録。そして最後の最後、アタック6周目に2分00秒166を叩き出したのが、272号車の吉田郷史。これで最前列に滑り込むことに成功します。整理すると本多が今年初のポール獲得で、吉田が2番手に。そして小林と藤井がグリッド2列目、米川と太田が入賞圏内の3列目グリッドから決勝をスタートします。

ちなみに開幕戦優勝のポイントリーダー、75号車の有岡綾平は予選7位。2020年のチャンピオン、110号車の末金孝夫は予選9位。今シーズンの北日本シリーズで王座を射止めた127号車の関 豊が予選16位、西日本シリーズでランキング3位の67号車・鎌田昌弘は予選17位という不本意な結果になりました。中でも有岡と関については、ウエット路面を想定した深溝のタイヤで臨んだのがどうやら裏目に出た模様です。


決勝レースの直前のコンディションは気温30.0℃/湿度67%/路面温度39.9℃となりました。ちょうど太陽が顔を出してきて、レース中にも気温や路面温度が上昇したのは確実。タフなコンディションになりました。オンタイムの15時05分にフォーメーションラップがスタートしていきます。

ポールシッターの本多はダッシュよく先頭で1コーナーに飛び込んでいきますが、その後方ではドラマが連続して起きます。まず4番グリッドの藤井がホイールスピンで出遅れて、結局オープニングラップだけで3台に抜かれてしまいます。また2番グリッドの吉田を3番グリッドの小林が1コーナーで抜こうと並びかけたところで激しくテールスライド。スピンこそ免れましたが、これで小林は4番グリッドの米川にもパスされ、1周目は4位で戻ってきます。

その後の序盤戦では吉田を先頭にした2位争いの集団が形成されます。とくに米川と小林は抜いて抜き返しての熾烈なバトルを展開して、4周目には小林が3位まで再浮上。5周目には太田が米川をパスして4位の座が交代します。さらに、その後方には7番グリッドだった有岡と出遅れた藤井も追い付いてきて、一時は6台が数珠繋ぎになるほどでした。

決勝も後半戦に入った5周目に、本多の吉田に対するリードは1.989秒と安全圏に入った印象です。この周回では吉田も小林に対して1.122秒という差があったのですが、次の6周目に0.371秒に急接近。4位の太田も小林の背後に0.316秒差で肉薄して、再び2位の座を巡るバトルの緊張感が高まりました。そしてファイナルラップのダブルヘアピンでついに小林が吉田を捉えて、2位と3位が交代します。

ひとり旅となった本多は最後、3.332秒までリードを広げてトップチェッカー。自身が保持しているパーティレースの最多勝利数を23回とひとつ上乗せし、NDシリーズの最高齢勝利記録も1年ぶりに更新することに成功しました。以下、小林と吉田までが暫定表彰式に登壇です。小林は第2戦で初優勝した勢いを感じさせるパフォーマンスを披露。そして今年の開幕戦でデビューした吉田は、3戦目の初入賞でポディウムに立つという快挙を達成しました。

以下は4位が太田、5位が米川、6位が有岡となって、ここまでが入賞かと思われました。ところが米川と有岡のマシンが決勝後の再車検で車両規定違反(キャンバー角度規定外)と判定されて、失格に。これにより藤井と末金が繰り上がって、それぞれ5位と6位に入賞となりました。


一方、出走5台のクラブマンクラスは2戦目の211号車・石原克奎が予選で堂々のクラストップ。決勝でも最後までシリーズクラスのマシンを後方に従える展開で、デビュー戦のクラス2位からさらなる成長を見せての初優勝を飾りました。また2位には一昨年の最終戦以来のプライベート参戦となった、マツダのブランド体験推進本部の久松忠輝が入賞しています。


本多は「ようやく勝てましたね。今日は最後まで迷った末に、ユーズドを選んだのが正解でした。決勝は途中までブレーキやタイヤに負担をかけないようにした割には差を詰められなかったので、少しだけですが余裕を残して走り切れました。最終戦はジャパンツアーなので厳しくなりますが、勝ってチャンピオンを決めてみたいです」とコメントしました。この第3戦を終えて、西日本NDシリーズのポイントリーダーには本多が48点で浮上。しかしながら40点で2位の小林も(優勝と2位が1回ずつという)状況は同じなので、最終戦で勝った方がチャンピオンというマッチレース状態になりました。さらに36点の有岡を含む数名にも、厳しいですが逆転の可能性は残っています。


西日本シリーズの最終となる第4戦はここで「MAZDA FAN FESTA 2024 IN OKAYAMA」が開催される11月9〜10日の週末の土曜日に、ジャパンツアーシリーズ第7戦とのダブルタイトルで予定されています。またパーティレースの次の戦いは6日後で、9月21日の土曜日に茨城県の筑波サーキットで東日本シリーズの第3戦が開催予定です。なおこの日の筑波では、恒例の第35回メディア対抗ロードスター4時間耐久レースも行われます。



Text by T.Ishida, Photos by B Sports

MAZDA MOTORSPORTS ロードスター・パーティレースⅢ

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