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  • 2024/08/24
  • OTHER(日本)

IPS第3/4戦で“人馬一体”の八木 淳がフルポイント獲得

2024年の「インタープロトシリーズ(IPS) POWERED by KeePer 第 3/4 戦」が 8 月17〜18日の週末に富士スピードウェイで開催されました。今年もソウルレッドに「人馬一体」と大きく描かれた車体で戦う55号車の人馬一体ドライビングアカデミー。これまでマツダ社内の開発ドライバーが参戦し、今年から八木 淳がステアリングを握っていますが、彼が参戦するジェントルマンクラスで予選から決勝まで、獲得可能ポイントを総取りする圧巻の走りを披露しました。

5月の開幕ラウンドから約3カ月のインターバルを経て開催された第3/4戦(このシリーズは1ラウンドで2回の決勝を戦うために今回が3/4戦となる)。デビュー戦でいきなりクラス優勝を飾る走りを見せた八木ですが、本人としてはまだまだ課題がある様子。それらの克服と、エキスパートクラスを含めた総合トップを目指して、真夏の第2ラウンドに臨みました。

17日朝の公式予選では、セッション序盤からジェントルマンクラスの中で常にトップに立つ走りを披露。周回を重ねるごとにタイムを削っていき、最終的に1分49秒398を記録。所属するクラスでは堂々のポールポジションを獲得しました。


併催の他レースが赤旗中断で遅延した影響で、17日午後の第3戦・決勝レースは予定より25分ほど遅れてのスタートとなりました。クラストップからスタートした八木は1周目の混戦でしっかりとポジションを維持すると、前回からさらに進化した走りを見せます。

開幕ラウンドとは違い、今回は総合トップを争うエキスパートクラスのライバルに迫る走りを披露。序盤の数周はペースよく付いていき様子を探った八木。レース中盤から激化した永井秀貴選手(NETZ NOVEL MIE)と山口達雄選手(NAVUL)の総合2番手争いの間に割って入り、8周目のパナソニック オートモーティブコーナーでは一瞬そのバトルに加わります。前を走る2台は数周にわたって抜きつ抜かれつの戦いをしていた分、ペースが落ち始めているので、その隙を突きたかった八木。少しでも並びかけようとしますが、相手は経験豊富なエキスパートクラスのライバル、そう簡単に前に出ることはできません。

プッシュを重ねるうちにタイヤを使い過ぎてしまい、終盤はトップ3から離される展開となってしまいました。それでも同じクラスのライバルに対して、しっかりアドバンテージを築いた状態でフィニッシュ。見事、第3戦のジェントルマンクラスを制しました。

「エキスパートクラスの上位陣に自力で追いつくのは厳しいですけど、今回は向こうがバトルをしてくれていたので前半から中盤にかけて追いつくことはできたかなと思います。さらに途中ワンチャンスで前に出られるかなと思いましたが、後半に入ってタイヤが厳しくなってしまったのでそのマネジメントを心がけて走りました。しかし、ブレーキングポイントとかがバラつき始めて前のクルマに離される展開になってしまいました。タイヤがタレてからの詰め方をどうするかという、自分の課題が明確になった1戦でした」と八木は振り返りました。


その課題をもとに、八木は18日午前の第4戦決勝に臨みます。このレースは前日の予選で記録されたセカンドベストタイムがグリッド順となります。これにより八木は総合3番手からスタート。今度こそ、そのまま総合トップの座を狙おうとしますが、1周目のTGRコーナーでは逆に4番グリッドの永井にかわされて総合4番手となります。

序盤は同じクラスの大山正芳選手(ダイワNアキランドIPS)に追われる展開となりましたが、周回を重ねるごとに八木が後続を引き離していきます。しかし、トップ3は非常に手強く、その差はなかなか縮まらず後半戦に突入。このままの展開で終わるかと思われましたが、7周目の13コーナーで永井選手が単独でスピン。これをかわした八木が順位を上げて総合3番手となります。

永井選手も遅れを取り戻すべく猛追しますが、終盤のペースダウンという課題をクリアするべく懸命に周回を重ねた八木。最終的に背後まで迫られましたが、総合3番手のままでチェッカーフラッグを受けました。


これでジェントルマンクラス2連勝を飾ったほか、ファステストラップ賞も獲得して1ポイントを追加。前日の第3戦とポールポジションのポイントも合わせて、今大会だけで獲得可能なMAXの45ポイントを総取りする活躍を見せました。

「スタートでの加速がワンテンポ遅れてしまって、永井選手に抜かれてしまいました。そこから追いつこうと頑張ったのですが、少しずつ離れていく展開になりましたね。あと、クルマのセットアップを少し変えてアンダーステアを消す方向に持っていたのはうまくいきました。だけど、何とかトップ3に追いつきたいのですが……速いですね。『どうしたら良いのだろう?』という感じです。引き続き“練習・鍛錬”ですね」と、クラス優勝の喜びよりも、エキスパートクラスのトップにどう近づくかを考えていた姿が印象的でした。

八木の活躍に、55号車で一緒に組むプロドライバーの牧野任祐選手は「最初の時からすごく上手に乗っていらっしゃいました。ジェントルマンクラスですけど目標は総合トップを目指してやっています。そこに向けて課題はありますけど、その課題が明確なので伸び代がまだまだあるのかなと思います」とコメントしました。


その牧野が参戦するプロフェッショナルレースは、終始抜きつ抜かれつの激しいバトルが展開されました。6番グリッドからスタートした牧野は1周目から果敢に攻めていき、ADVANコーナーで阪口選手(岡山トヨペットK-tunes)をオーバーテイクします。この時のブレーキングで左側のタイヤをロックしてしまいますが、2周目のダンロップコーナーで阪口選手に攻め込まれた際には、さらに大きなブレーキロックをしてしまいます。インタープロトの車両はABSなどの電子制御装置が付いていないのと、非常に繊細な車両であるため、ブレーキでタイヤをロックさせてしまうことも少なくありません。

これでタイヤにフラットスポットができてしまった牧野選手。6番手にポジションを落とし、その後も後続から猛追を受けますが、何とか順位を守って1レース目(第3戦)を終了します。そこからすぐに隊列を整えて2レース目(第4戦)がスタート。牧野はタイヤを庇いながらの我慢の走行となりますが、ここでもポジションをキープ。6位でチェッカーを受けてポイントを獲得しました。

「2レース目の後半からめちゃくちゃタイヤの状況がひどくなって『とにかく早くレースが終わってくれ!』という感じでした。最後まで持ってくれて良かったです。色々試していましたけど、難しい部分はありますね。スーパーフォーミュラとかSUPER GTみたいにセットアップをパッと変えられないので難しい部分はありますけど、ちょっとずつ進めていけたらなと思います」と、牧野は自らのレースを振り返りました。


八木のさらなる成長が期待されるインタープロトの今季第3ラウンドは、10月5〜6日の週末に行われる第5戦と第6戦となります。



Text by T.Yoshita  Photos by N.Namba/Interproto Motorsports

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