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  • 2017/11/01
  • OTHER(日本)

富士チャンに新たなチャンピオンが続々誕生

2017年の富士チャンピオンレースシリーズ(以下富士チャン)の第5戦が9月16〜17日に、また最終となる第6戦が10月28〜29日の週末に開催され、全日程を終えて各シリーズのチャンピオンが決定しました(インタープロトを除く)。なお第5戦は台風18号が日本列島を縦断し、第6戦も台風22号の影響を受けましたが、マツダ車が関係するレースは予選・決勝とも予定通り開催されました。

 まずは第5戦のロードスターカップ(RSC)を駆け足で振り返ります。今回は新たなウイナーがふたり誕生しました。ひとりはマツダWIMプロジェクトの1期生、岩岡万梨恵。4号車の岩岡はNDチャレンジクラスで、前年王者の新井敏克とのバトルを制しての価値ある勝利でした。また今季は岩岡同様に、スーパー耐久にNDで参戦している32号車の原嶋昭弘も、NCチャレンジクラスで初優勝を果たしました。
 NA6クラスは仙台から遠征の0号車・小原健一が30秒の大差をつけて圧勝。NA8クラスは88号車・山田健介が今季2勝目を挙げました。一方、NB8クラスは開幕2連勝中だった21号車・山平健太郎が6台中の5位に沈む大波乱。富山県南砺市から参戦している26号車・三橋準が予選クラス5位から大逆転で通算2勝目を挙げました。三橋は「ドライでは戦闘力不足なので、今日はチャンスでした。決勝前にタイヤをRE-71Rに履き替えたのが勝因ですね」と語りました。
 レース全体ではNDオープンクラスの58号車・青木孝行がプロの技を披露。予選総合トップから、排気量で500cc上回るNCオープンの95号車・高橋裕史に8ラップで27秒という貯金を築いてトップチェッカー。これで青木も高橋もチャンピオンが確定しました。青木は「今日は僕だけ視界が開けて楽でしたね」と余裕のコメント。一方の高橋は「もう少し青木さんに食い下がりたかったです」と、勝っても唇を噛み締めます。
 なお17日のN1400/デミオレースは、これが今季最終戦。デミオにはすでに第3戦でタイトルを確定した75号車・西山隆と、CVT仕様の52号車・戸田和彦の2台が参戦。予選から西山が圧倒し、4連勝でタイトルに華を添えました。一昨年までデミオN1で出場していた0号車・嶋田直勝の初代DW3Wが、N1400というカテゴリーで今年も元気な姿を見せてくれました。

   最終の第6戦は10月28日にNA1600とロードスターN1、29日に全世代のナンバー付きによるRSCというスケジュールです。28日は目まぐるしく天気と路面状況が変化し、29日はフルウエットで一部のレースが中止になるほどの厳しいコンディションとなりました。
 まずは予選がウエットのちドライ、決勝がドライとなったNA1600には今季最多となる3台のロードスターが参戦。注目はNAの77号車・中村友己で、勝てば2010年以来のチャンピオンとなります。同じくNAの73号車・小宮伸介は今季初出場。唯一NBの31号車・高橋賢一は今季3戦目ですが、新品タイヤが入手できない問題を抱えています。今回のエントリーは5台で、64号車と37号車という残りの2台のAE86にもタイトル獲得のチャンスがありました。
 予選ではクラス2位に小宮、3位に高橋、4位に中村という結果でしたが、決勝では2台のNAロードスターがスタートダッシュを決めます。特に2周目の1コーナーで小宮をかわした後の中村は、一度も首位を譲ることなく11周を駆け抜けました。中村は「最後は優勝したかったのでよかった。ドライなら勝てると宣言しましたが、天気が心配で、内心ヒヤヒヤでした」と胸の内を明かしてくれました。
 ロードスターN1は、すでに01号車の大野俊哉が8月20日の第3戦で4年連続のタイトルを確定済み。この日は10台での争いとなりました。予選はドライだったものの、こちらの決勝はウエットでの戦い。86/BRZのN1や8ビートとの混走のため、違うクラスのマシンに挟まってのレース展開となりました。
 濡れた路面で挙動を乱す86勢が続出するなか、トップ集団には大野と10号車の雨宮恵司、4号車の武居剛という3台のカーメイクコーンズ勢がいつのまにか進出。この順番でチェッカーを受けて暫定表彰式も行われましたが、正式結果では雨宮に30秒ペナルティが加算されたため、2位に武居、3位には43号車の大井正伸という順位になりました。これで5連勝の大野は「シーズン全勝は念願でした。次は雨宮先輩の連勝記録(7)に並びたいです」と、さらに先の目標に向かいます。
 29日のRSCは、激しい雨のためにセーフティカー先導のスタートに変更されました。4周目からバトルが開始となり、7周目の途中で赤旗が出たために、6周終了時点の順位でレースが成立。すなわち、実質的には3ラップという超スプリントの決勝となりました。
 総合トップでチェッカーを受けたのはNA8クラスの88号車・山田健介。これに続いたのは、NB8クラスの21号車・山平健太郎とNB6クラスの0号車・小原健一で、以上の3名が各クラスのチャンピオンも確定させました。またNCチャレンジクラスの8号車・菊池聡とNDオープンクラスの7号車・茂木文明は最後まで接戦を演じつつ、それぞれのクラスでの優勝を果たしました。山平は「やっとオリーブボールの近藤さんに恩返しができました」と初のタイトルを喜びます。
 さらにNCオープンの95号車・高橋裕史はタイヤのグリップ不足に苦しみながらもクラス優勝は確保。そして最多の8台がエントリーしたNDチャレンジでは78号車の赤石沢清人が、61歳にして移籍後初の優勝を果たしました。この結果、NCチャレンジクラスは最終戦2位だった32号車の原嶋昭弘が参戦初年度で王座に輝き、NDチャレンジクラスは1号車の新井敏克が2年連続でのタイトル獲得となりました。原嶋は「チャンピオンなんて夢みたいです。影山正美コーチに感謝しかありません」と笑顔でコメントしました。
   なおNB8クラスには、スーパー耐久のNOPROチーム監督兼ドライバーとして知られる野上敏彦が、久しぶりのスプリントレースに挑戦。予選クラス4番手から、決勝では短いバトルの間に優勝経験のある91号車・神谷誠を鮮やかにパッシング。表彰台に登壇してチーム員だけでなく、他の選手たちからも拍手喝采を浴びました。

●富士チャンピオンレース
http://www.fsw.tv/freeinfo/005515.html


Photo and Text by T. Ishida +1

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