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  • 2025/06/09
  • ROADSTERCUP

S耐24時間の前座に51台の歴代ロードスターが集結!

普段は富士スピードウェイ独自のローカルシリーズとして行われているロードスターカップ(RSC)。ところが2021年からは年に一度、大きく注目を浴びることになりました。5月から6月の初旬にかけての恒例になりつつある、スーパー耐久24時間の前座レースとして定着したのです。さらに今年は諸事情で、年間4戦のRSCの開幕戦(従来は第2戦)としての開催となり、フルグリッドに迫る54台ものエントリーを集めて5月31日の土曜日にワンデーで行われました。


開幕ということでRSCの概要をおさらいしておきましょう。まずはナンバー付き車両のみが出場できるNゼロレースですが、初代NAから現行の4代目NDまでの全世代が出場可能です。さらに3代目NC以降はノーマルに近いチャレンジクラスと、少し改造範囲を広げたオープンクラスがあり、合計で6つのクラスを設定。使用するタイヤは1.6と1.8クラスがダンロップのDIREZZA ZⅢ、1.5と2.0のオープンクラスがブリヂストンのPOTENZA RE-71RS、1.5と2.0のチャレンジクラスはパーティレースの規定に準じているためにPOTENZAアドレナリンRE004のワンメイクとなっています。今回のエントリーの内訳は1.5チャレンジが最多の29台、1.5オープンが11台、1.8が8台、1.6が3台、2.0オープンが2台。2.0チャレンジは130号車・大橋功の1台だけですが、昨年限りで終了したパーティレースNCシリーズの受け皿として、今後に期待したいと思います。


9時20分から20分間の公式予選が開始。ご覧のように路面はウエットで、天候も雨と発表されました。ただし雨足は弱く、予選中に少しずつですがコンディションが良くなった印象です。総合トップの座を争うのは改造範囲が広く、さらにウエットグリップに定評ある71RSを履く1.5と2.0のオープンクラスです。今回は排気量の大きさが有利に働いたようで、101号車の高橋裕史が2分16秒217、77号車の長岡哲也が2分16秒902を記録。2.0オープンの両雄がフロントローを分け合いました。続く2列目からは1.5オープンクラスが12番グリッドまで並びます。そのトップは今回がデビュー戦の76号車の堀 知海でタイムは2分17秒302。以下は79号車の杉浦 良、112号車の池島実紅、7号車の茂木文明と続きましたが、前年王者の10号車・国分 務はクラス5番手。この1.5オープン上位陣の実力が拮抗していることの証明でしょう。


1.8クラスの予選トップは前年王者の8号車・関野大志で、タイムは2分23秒979(総合では13位)。これに2023年チャンピオンの91号車・神谷誠と4号車の松下知己が続いています。そして総合16位には 1.5チャレンジクラスの157号車・橋本 隼が食い込みました。もちろんクラストップで、予選2番手は32号車の宮崎邦紘、3番手には橋本と同じチームの158号車・大田優希が続きました。参加3台の1.6クラスは今回、34号車の永野裕介が2分26秒874で断然のトップタイム(総合では21位)。前年王者の27号車・野木 強は2分31秒台という不本意なタイムで総合37位に終わりました。残念ながら3台が予選に姿を見せず、決勝には51台が駒を進めることになりました。


雨は止みましたが、路面がウエットということで、今回の決勝8ラップのスタートはセーフティカー(SC)先導に変更されました。予定よりわずかに早い12時24分に隊列が動き出し、実際に戦闘開始となったのは2周目に入ってから。総合ポールの高橋は早くもリードを広げる一方で、長岡はペースが今ひとつ。5周目にはクラス違いですが、デビュー戦の堀に先行を許してしまいます。その一方で、激しかったのが総合4位以下の1.5オープンクラスの2位以下のバトルです。まず動いたのが予選ではクラス6番手だった60号車の浦田光生で、3周目に国分をパッシング。さらに5周目に一気に2台を抜くと、6周目には先行していた茂木をも捉えてクラス2番手までジャンプアップに成功します。一方の茂木も5周目に2台を抜いたことで久しぶりの表彰台に辿り着きました。


改めて1.5オープンクラスを整理すると、堀が堂々のデビューウイン。2位の浦田と3位の茂木がポディウムに登壇。以下、4位の杉浦と5位の池島までが入賞です。なお、総合優勝は断然トップでゴールした高橋かと思われましたが、決勝後の車検で最低重量違反が判明したために失格。長岡が繰り上がって2.0オープンの優勝となっています。


中団の1.8クラスでは予選クラストップの関野のペースがよく、神谷に対して早くも1秒のリードを序盤で築きます。そして3周目に事件が発生。3番手だった松下が乱れて一気にクラス最下位まで急降下。代わって予選4番手だった11号車の松浦 健が3位に浮上し、次第に神谷の背後に迫ります。予選で松浦に続いていた2号車の竹田幸一郎ですが、決勝の途中で1.5チャレンジクラスの橋本が間に入ってしまい、むしろ引き離される不運な展開となりました。結局、関野が3秒という大きなリードで開幕戦に勝利。ポディウムに登った神谷と松浦までが、規定により入賞という結果になりました。


そして前述の橋本が、総合でもグリッドと同じ16位で1.5チャレンジクラスを制しました。クラス2位の座を賭けたバトルはスタートからゴールまで大接戦。4周目までは宮崎が予選順位を守りますが、5周目に大田が逆転。最後は1.337秒と少し差がついて太田が先着し、橋本とのワンツー・フィニッシュを達成します。昨年は86BRZのシリーズでチャンピオンに輝き、先日のSUGOのパーティレース北日本シリーズでも優勝した宮崎ですが、悔しい3位となりました。以下、4位に40号車の鈴木英吾、5位に200号車のYOSHIKI、6位に294号車の深川英寿の各選手が入賞となっています。最後に1.6クラスですが、予選でも断然のトップだった永野が優勝しています。


実力者がひしめく1.5オープンクラスを、デビュー戦ながら圧勝した堀は「嬉しいです。サーキットトライアルで1年修行した成果が出たかなと思いますが、その前のeスポーツ経験も活きているかもしれません」と謙虚に語りました。1.8クラスを制した関野は「昨年タイトルを取れて、少し掴めたものがある気がします。今日は雨なので性能差がありますが、ドライの決勝ではもう少し1.5オープンの方たちと勝負してみたいですね」と、新たな目標を教えてくれました。


今年からパーティレースにデビューし、ジャパンツアー開幕のSUGOでいきなり2位表彰台を獲得。続く第2戦も6位、第3戦も4位と連続入賞を続けている橋本は1.5チャレンジクラスを断然の速さで制覇しました。「今回はS耐24時間の前座でアピールしたいというチームの目的があり、それをワンツーで達成できたのでよかったです」と振り返りました。さらに1.6クラス優勝の永野は「今日は予選でかなりアドバンテージを得られたので、安全に勝ちに行ったのでバッチリでした。昨年は野木さんにタイトルを取られたので、今年は自分が取りたいと思います」と決意を語ってくれました。


今シーズンのRSC第2戦は6月29日(日)、第3戦は9月6日(土)、最終の第4戦は12月21日(日)に開催予定です。大変恐縮なのですが諸事情で、次のRSCレポートは最終戦の後になる予定です。



Text by T.Ishida

Photos by H.Kose/T.Ishida

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