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日本国内レース

  • 2023/05/08
  • RPR

RPR東日本開幕戦&JT第2戦 前年王者、箕輪卓也が今度は実力で2勝目

5月5日、筑波サーキットでロードスター・パーティレースⅢの東日本シリーズが開幕。今回はジャパンツアーシリーズの第2戦とのダブルタイトルで行われました。フルグリッドを超える34台がエントリーしたNDシリーズは予選から2組に分かれての走行となり、各組上位10台が決勝に進出。35号車の箕輪卓也がポールtoウインで、ジャパンツアーシリーズの開幕2連勝を達成しました。

今回のエントリーは東日本シリーズでは過去最多となる合計79台。NDシリーズは冒頭のように予選から分割され、各組上位の合計20台が決勝に進出。決勝に残れなかった14台にはボーナスレースが用意されました。その高いハードルに6名の新人が挑みました。ゼッケン順に紹介しますと、2号車・鷲尾拓未/54号車・加藤達彦/144号車・白石 健/160号車・久松厚介/230号車・澤井良太朗/280号車・宮園拓真という6名です。注目はやはりグランツーリスモ世界王者の宮園の実戦デビュー。果たしてリアルでも通用するのでしょうか?


時折り強い風が吹きますが、もはや初夏を思わせる1日。朝8時の段階で気温20.8℃/湿度62%/路面温度24.5℃というコンディション。ここからまず、1組の予選が開始。注目の前年王者、箕輪は15分間の半ばを過ぎる頃にアタックに入り、いきなり最終コーナーで膨らんでコースを逸脱。その周は自重して、次に出したタイムが圧巻の1分10秒104。2番手の16号車・上田純司が1分10秒700なので、この差は限りなく大きい。

先日のSUGOで箕輪と激しいバトルを演じた63号車の吉田恭将が1分10秒829、91号車の沢崎祐一が1分10秒887と続いて、7番手のルーキー鷲尾までが1分10秒台。さらにルーキーの久松が1分11秒231でギリギリの予選通過。同じくルーキーの白石は1分11秒235で、わずか0.004秒届かずにボーナスレースに回ることになりました。

8時20分から始まった2組目の予選では、昨年はクラブマンで連勝街道を驀進していた155号車の松原泰世が輝きました。アタック1周目に1分10秒544を叩き出すと、次の2周をクールダウンに当てて、さらに1分10秒773を記録。実はこのセカンドベストでも、この組ではトップでした。暫定結果ではこれに続いていたルーキーの宮園は、残念ながらキャンバー角度の車両規定違反のため失格。車両を整備した上で出走嘆願書を提出して、ボーナスレースに回ることになりました。

したがって2番手は78号車の出来利弘。以下、171号車の野村 充と71号車の登坂 紀までが1分10秒台。14号車の菊池崚斗が1分11秒498というタイムで決勝に進出。36号車の上入佐慶太は菊池に遅れることわずか0.016秒差で涙を飲みました。気温と路面温度の違いの影響もあってか、1組の方が予選通過のタイムが若干早かったことになります。

先に行われたNDシリーズ・ボーナスレースの決勝は11時4分にスタート。11時の時点では、気温25.3℃/湿度45%/路面温度45.6℃というコンディションでした。

ポールポジションの白石は他のワンメイクでのレース経験はありますが、パーティレースは今回が初。さらにローリングスタートも未経験でした。「どのタイミングで加速していいのかが把握できなかった」と告白。1コーナーまでの加速で上入佐と144号車の志田宏樹にあっさりとかわされ、オープニングラップで3位にポジションをダウン。上入佐は3周目には2秒以上の差を2位以下につけて、早くも逃げ切りの体制に入りました。

一方で2位となった志田から白石、さらにグリッド通りの22号車・荒井彦幸までの3台の序盤はダンゴ状態。そして今日が初レースのデビュー組が、自己ベストを続々と更新する走りを見せてくれました。

結局、先頭から4位の荒井までの順位は、オープニングラップで動いたのみ。上入佐は最大で3秒弱のリードを築いてからは、中盤は2秒台、終盤の3周は1秒台にまで貯金を切り崩しますが、どうやらそれもシナリオ通り。ファイナルラップには志田に0.467秒差まで迫られますが、しっかりと逃げ切りました。白石もデビュー戦で3位表彰台を獲得。


なお、宮園はリセッティングの影響か決勝は全くペースが上がらず、無念の最後尾でのチェッカー。真価の発揮は次回に期待したいところです。また宮園と同様に、予選後に車両規定違反が判明して失格となり、最後尾グリッドでの出走となりました280号車の普勝 崚は結局、9台をパスして5位でフィニッシュしました。

そして、精鋭20台によるNDシリーズの本戦決勝は、12時59分に15ラップのバトルを開始しました。13時のコンディションは気温26.6℃/湿度40%/路面温度50.3℃。まずはフロントローの箕輪と松原が2台揃って好ダッシュを見せて、後続を引き離しにかかりました。

少し後方では5番グリッドの吉田の勢いがよく、オープニングの第1ヘアピン立ち上がりで先行する出来のアウト側にノーズを滑り込ませ、次のダンロップコーナーでイン側を奪って鮮やかにオーバーテイク。次の周には3番グリッドの上田をもとらえて3番手まで浮上。さらに前を追いかけていきました。

ただ実は、このレースでの最大の見どころは後方の大集団だったかもしれません。レース中の暫定順位で言うと10位だった31号車・和光博紀から最後尾までの全車が、一触即発の集団バトルを延々と続けたのです。11周目にルーキーの鷲尾が和光をパスして少し先行しましたが、その後も10台がひとかたまりのまま、チェッカーまで戦い続けました。

話をトップ争いに戻しますと、松原が箕輪の背後を脅かせたのは、残念ながら0.536秒差だった3周目まで。次の4周目に箕輪が最速ラップの1分11秒176を記録しますと、一気に1.288秒差に拡大。アドバンテージは6周目には2秒台、8周目からは倍の4秒台になり、その時にはすでに吉田が松原をロックオン状態に。これで105号車の菅原達也までも集団になってしまいました。つまり箕輪以外のほぼ全員が、ふたつのグループでバトルするという珍しい現象になったのです。

吉田の勢いは止まりませんが、コース外側の白線をはみ出して走行をしているとの警告で11周目には黒白旗が掲示され、それでも繰り返したために走路外走行違反との判定により、競技結果に対して1分が加算されることになりました。その後のレースは箕輪、吉田、松原の順にゴールして暫定表彰も行われましたが、正式結果では吉田の最下位降格が確定。そのため、松原が2位で上田が3位。さらに野村が4位、出来が5位、沢崎が6位に繰り上がって入賞となりました。

さらに今回、沢崎に対して、パーティレースに通算10年シーズン以上、公式戦30戦以上の出場を果たした功労をたたえる「Great Party Racer賞」が授与され、仲間たちからも拍手でダブルの祝福を受けました。この価値ある賞の受賞者も、これで25人目を数えることになったとのことです。

箕輪は「先月のSUGOは結果こそ優勝でも、速さで劣っていたので、そこが課題でした。予選アタックの最初に失敗したのも上手くカバーできました。決勝は内圧が上がれば自分の強みが出ると思っていました」と振り返りました。タイヤについては「今日はなるべくいじめないようにということを心がけました。松原さんを背負った時も同じですね」とガマンの作戦を明かしました。


なお、出走16台だったNCシリーズクラスでは2019年の参戦以来、出場した全戦で優勝を果たしている86号車の井尻 薫が予選からライバルたちを圧倒。出走27台と盛況だったNDクラブマンクラスでは、予選2番手だった185号車の本田真哉が逆転でトップチェッカー。SUGOで開催された4月の北日本シリーズでは、予選中のトラブルで決勝を走れなかった悔しさを一掃しました。

ロードスター・パーティレースⅢの東日本シリーズ第2戦は同じ筑波サーキットで、5月28日の日曜日の開催を予定。またジャパンツアーシリーズの次なる第3戦は、栃木県のモビリティリゾートもてぎで、6月18日の日曜日に開催されます。


Text by T.Ishida, Photos by B Sports

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