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  • 2022/11/17
  • OTHER(日本)

IPS Rd5-6 マツダ開発ドライバー、川田浩史がバトルの末に2位フィニッシュ

静岡県の富士スピードウェイで11月12〜13日の週末に開催されたインタープロトシリーズ(以下IPS)の第5戦と第6戦に、マツダ開発ドライバーの川田浩史がジェントルマンクラスで参戦。第6戦ではライバルとのバトルの末に2位でチェッカーを受け、10月のデビューウイークに続いて表彰台に立つという快挙を成し遂げました。


2016年から始まったマツダのIPS挑戦プロジェクトについては、前述の川田のデビュー時にレポートしたので詳細は省きます。今回も注目の若手プロドライバー、宮田莉朋と人馬一体のソウルレッドでカラーリングされた55号車をシェアしての戦いに臨みました。ところがこの週末の55号車は、前日の練習走行時からトラブルの連鎖に見舞われました。ブレーキの不具合に続いてアップライトが折れるという事態も発生し、川田にとって貴重なトレーニングの時間が削られてしまうこととなりました。

初日の12日の午前中には、川田が出場するジェントルマンクラスに続いて、宮田が参戦するプロフェッショナルクラスの公式予選が開催。さらに13時からはジェントルマンクラス第5戦の決勝レースが行われました。今回のエントリーは11台で、ジェントルマンクラスはさらに川田の出る“ジェントルマン”に5台、経験を積んだ“エキスパート”に6台というグループに分かれての戦いになっています。この日の富士スピードウェイは終日、秋晴れのレース日和でした。

ジェントルマンクラスの公式予選は8時30分からの20分間。各々のベストタイムで第5戦のスターティンググリッドを争うと同時に、その次のセカンドベストのタイムで翌日の第6戦のグリッドも決まってしまうというシステムです。川田のベストラップは11周目に出した1分47秒518で、セカンドはその前の周の1分47秒645。いずれもライバルの96号車・末長一範にはわずかに及ばず、クラス2番手のポジションから決勝に臨むことになりました。一方でプロフェッショナルクラスの公式予選はベストタイムのみで第5戦のグリッドを決めて、第6戦は第5戦のゴール順でスタートする方式です。宮田は1分44秒889を叩き出しますが、不本意な9番手でした。

12ラップで争われるジェントルマンクラス第5戦の決勝に向けて、ライバルたちがグリッドに向かって走り出しますが、なぜか55号車はピットの中にとどまったまま。どうやらミッションの不具合でギアが入らないという症状のようです。やがて川田はコクピットから降りてしまい、メカニックたちの懸命の復旧作業が始まりました。その甲斐あって、なんとか最後尾から決勝を走り始めた川田ですが、ペースは今ひとつ。完走が認定される7ラップを走り終えたところでピットインし、そのままレースを終えました。


翌13日の富士の上空には雲が広がりますが、午前中は雨の気配はありません。ジェントルマンクラス第6戦の決勝も12ラップでの戦いです。川田は4列目のイン側、7番グリッドから抜群の加速を披露。直前の同クラスのライバル、96号車の末長一範を抜き去ったばかりか、エキスパートクラスの3台もかわして総合5位というポジションでオープニングラップを通過します。しかしながら“ジェントルマン”の3番手、9番グリッドからスタートした7号車の勝又隆二は、なんと総合3位までジャンプアップ。早くも2周目から“ジェントルマン”の上位3台が、勝又→川田→末長というガチンコのバトルとなります。

そして中盤以降は、スタートの混乱で出遅れた“エキスパート”クラスの実力者たちが、徐々にポジションを挽回していきます。川田をはじめ“ジェントルマン”の上位陣もこうしたクラス違いには進路を譲りつつ、隙あらばライバルを逆転しようという頭脳戦の様相も呈してきました。とくに先ほどの上位3台のグループでは、勝又を追う川田の勢いが顕著で、この決勝でのファステストラップの1分48秒214を最終の12ラップ目に記録。この猛烈なチャージでクラス優勝の勝又に0.010秒差という、限りなく横並びに近い状態でチェッカーを受けました。


さて、今回はプロフェッショナルクラスの決勝でも大きなドラマが起きました。午後に入った富士スピードウェイの空模様はきわめて怪しく、いつ雨が降ってもおかしくない状況でした。第5戦の決勝は13時46分にスタート。宮田は2つポジションを上げて7位でオープニングラップを通過。その後は2周目にひとつ順位を落とし、ファイナルラップに1台を抜き返す展開で、7位でフィニッシュしました。優勝はポールtoウインの7号車・野尻智紀で、スーパーフォーミュラV2王者が貫禄を見せました。

と、そのままコース上のグリッドについて第6戦の決勝を迎える手はずなのに、16号車のロニー・クインタレッリだけはピットロードに入っていきます。待ち受けたメカニックたちが素早くレインタイヤに交換してピットアウト。もちろん最後尾からのスタートになりますが、これが大正解でした。雨が降り出す中、1周のローリングラップを終えて14時12分にバトルが再開。オープニングで早くもロニーは全車を抜き去ってトップに立ちます。

宮田もフォーメーション中にピットインを決断してタイヤをチェンジ。同時に5台が入りましたが、先頭でコースに復帰したのは宮田でした。その後も徐々に順位を上げていき、ファイナルラップには若手同士ながら先輩格の山下健太をパッシング。惜しくも表彰台は逃しましたが、堂々の4位入賞を果たしました。それにしてもロニーの先見の明は見事。わずか9ラップといこの短いレースで、2位の福住仁嶺に40秒差という圧勝劇は、プロの中のプロというお手本を見せてくれました。


川田は「金曜日にAコーナーでブレーキが効かなくなり、さらにドラシャが折れるというトラブルで、さすがにメンタル面でも追い込まれていました。でも今日のこの決勝では勝又さんと緊張感あるバトルもできて、楽しいレースでした」と、最後は笑顔で語ってくれました。

宮田は「今回もトラブルが出て、100%で予選を走ることができませんでしたが、それであのタイムだったので、次はトップも狙えると思います。決勝の2レース目は判断も良くて、クルーが素早く送り出してくれたことに感謝です。雨は初めてですが、ペースは悪くなかったのも確認できました」と、次の戦いへの前向きなコメントが目立ちました。


次回はいよいよ今季最終戦。12月10〜11日の週末に第7戦と第8戦が開催予定です。

インタープロトシリーズ
https://drivingathlete.com


Text by T.Ishida/T.Nakamura/T.Yoshita

Photos by Inter Proto Motorsports/T.Ishida

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