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日本国内レース

  • 2024/10/03
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JT第5戦、2021年王者の南澤拓実が貫禄のポールtoウイン

9月28日、ロードスター・パーティレースⅢジャパンツアーシリーズの第5戦が三重県の鈴鹿サーキットで初めて開催されました。年間王者を争うNDシリーズクラスを制したのは105号車の南澤拓実。予選から最速タイムを記録し、決勝でもライバルたちの争いを尻目に悠々の逃走劇を達成です。ただし2位争いの熾烈なバトルにも見応えがありました。


2002年に始まったパーティレースですが、F1日本グランプリも行われる鈴鹿では初めての開催です。またこの週末はスーパー耐久シリーズも行われているため、より多くのレースファンや関係者からも注目を浴びる戦いになりました。エントリーはNDシリーズが27台、NDクラブマンが11台の合計38台。シリーズ出場には今年の各シリーズで5点以上のポイント獲得が必要で、クラブマンにも今年のパーティレースで2回以上の完走が条件となっているため、初参加のドライバーは今回いません。


7時から行われたブリーフィングには、マツダのブランド体験推進本部ブランド体験ビジネス企画部モータースポーツ体験グループの久松忠輝マネージャーが登壇。「記念すべき鈴鹿での初開催に、多くのエントリーをありがとうございます。本日は世界的にも有名なコースを思う存分楽しんでください」と挨拶されました。

本日の天候は曇りがちで、いつ雨が降ってきてもおかしくない状況です。公式予選は8時30分から20分間で行われました。1周が約6kmと長いこともあって、いつもの予選よりプラス5分のアタックタイムとなりました。直前のパドックで計測したコンディションは気温26℃/湿度63%/路面温度28℃。まずは前戦の十勝で3位表彰台をゲットした186号車の勝木崇文が、2分43秒888というタイムでラップモニター最上段に躍り出ました。

続いてしばらくの間、2番手の座にいたのが28号車の普勝 崚で2分44秒599でしたから、勝木のタイムが素晴らしいことがわかります。シリーズクラスの実力者たちは2分43秒台を目指してアタックを続けます。また予選が始まってすぐに1コーナー付近で雨がぱらつきましたが、幸いにしてすぐに止み、路面にも影響はなかったとのことです。

そして予選の20分間も半ばが過ぎる頃、南澤が3周連続で渾身のアタックを見せました。タイムは2分44秒061から43秒538、そして43秒601で惜しくも最後は更新ならず。これで暫定トップに浮上します。南澤は2021年にマツダカップを獲得した歴代チャンピオンのひとりで、筑波で開催された今年のジャパンツアー第2戦でも優勝している実力者です。

最後の最後、6周目に2分43秒861まで削って2番グリッドを獲得したのが、ポイントリーダーの35号車・加藤達彦。開幕戦と第3戦で2位に入り、残る2戦も4位でフィニッシュする安定ぶりが際立っている若者です。これで勝木は予選では3番手となりましたが、4番手に食い込んだのは288号車の山根正和。タイムはアタック4周目に記録した2分43秒929で、ここまでが2分44秒の壁を破りました。

以下、63号車の吉田恭将と54号車の三宅陽大という、ランキング3位と4位の実力者がグリッド3列目という入賞圏内で決勝をスタートします。一方で開幕戦と前戦の十勝を制したランキング2位の117号車・石谷豪志は予選8番手と振るいませんでしたが、決勝での巻き返しを狙っていることでしょう。


8ラップの決勝レースはほぼオンタイム進行の13時09分に、ポールシッターの南澤がコントロールラインを通過して戦闘開始。手元で計測した直前のコンディションは気温31.4℃/湿度46%/路面温度34.7℃で、雨の気配はなくなりました。1コーナーへは南澤に続いて加藤、勝木という上位陣はそのままの順位で進入していきますが、加藤を先頭とする2番手以降は早くも混戦模様です。

その中では5番グリッドだった吉田の勢いがよく、オープニングラップで予選4番手だった山根をパスして順位をひとつ上げます。さらに後方では11番グリッドだった56号車の小林太一が8位に浮上するロケットダッシュに成功。代わりに8番グリッドだった石谷はミッション系に不具合を抱えていた影響でしょう。23位まで順位を落としてしまい、さらに終盤には左前輪にもトラブルが発生。ピットに戻ってレースを終えました(走行6周のため完走扱い)。

南澤は1周目に1.263秒、2周目に1.899秒、3周目には2.163秒とリードを拡大。逆に加藤を先頭とする2位争いのバトルは一瞬も目が離せないほどヒートアップします。まずは吉田が3周目の1コーナーで勝木のインを差すことに成功。さらに6番グリッドからスタートした三宅が山根を同じ周にパッシング。つまり3位と4位、5位と6位の座がそれぞれ逆転しました。

さらに5周目の1コーナーで山根が大きく膨らんでしまい、外側のクラッシュパッドに激突。ドライバーは無事ですぐに脱出しましたが、マシンを回収してコースをクリアするためにセーフティカーが6周目の終了まで導入されました。つまり、残り2ラップという最終盤でバトルが再開されたのです。そしてこの際、130Rからシケインにかけての南澤の加速のタイミングが絶妙で、2番手の加藤を1.067秒も引き離してコントロールラインを通過。このレース巧者ぶりは見事でした。

加藤を先頭に吉田と勝木、さらに三宅と28号車の普勝 崚という5台は数珠繋ぎ状態で、残り2ラップに突入します。まずは7周目に勝木が吉田に仕掛けて横並びになりますが、ここは一度引きました。そしてファイナルラップの1コーナーで動いたのが吉田で、アウト側から加藤の前に出たと思った瞬間、姿勢を乱してコース外へ。復帰した時は普勝の後方の6位までドロップしてしまいます。さらに最後は130Rで勝木が加藤に仕掛けてパッシングに成功。2位と3位の座が入れ替わりました。


シリーズクラスを整理すると、南澤が第2戦以来の今シーズン2勝目を達成です。以下は勝木と加藤の順でポディウムに登壇。4位の三宅、5位の普勝、6位の吉田までが入賞です。なお惜しくも入賞は逃しましたが、7位の小林太一と8位の108号車・米川直宏のテールtoノーズのバトルも見応えがありました。

なおクラブマンクラスは今回、58号車の桂 涼の圧勝劇場でした。総合16位というポジションでスタートし、結局は14位でチェッカー。同クラスのファステストラップも記録。FJ1600という入門フォーミュラ時代に通い詰めた以前のホームコースで、その経験を十二分に活かしました。


この第5戦を終えて、ジャパンツアーシリーズのポイントリーダーは加藤、2位の石谷までの順位は変わりませんが、3位には三宅が浮上し、吉田が4位に後退。さらに5位に勝木、6位に南澤がそれぞれジャンプアップしています。全8戦が成立した場合は高得点の6戦の合計で争うため、残り3戦の結果次第では、誰が栄光に輝くのかは見通せない状況です。

シリーズ優勝の南澤は「今日は自分が勝つ時のパターンでしたね。セーフティカーでせっかくのリードがなくなったのですが、リスタートを上手く決められました。SUGOともてぎで失敗していてシリーズは難しいのですが、次の富士は昨年も勝っているし、どこよりも走り込んでいるコースなので、3勝目を目指したいと思います」と語りました。


次回のパーティレースは10月19〜20日に静岡県の富士スピードウェイで開催される「MAZDA FAN FESTA 2024 at FUJI SPEEDWAY」にて、ジャパンツアーシリーズの第6戦が19日の土曜日に行われる予定です。



Text by T.Ishida, Photos by B Sports

MAZDA MOTORSPORTS ロードスター・パーティレースⅢ

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