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日本国内レース

  • 2024/06/27
  • JGC

JGC Rd.6 PN2米澤、地元コースで全日本初優勝を飾る

2024年JAF全日本ジムカーナ選手権第6戦「北海道オールジャパンジムカーナ」が、6月23日(日)に北海道砂川市郊外のオートスポーツランドスナガワ・ジムカーナコースで開催されました。前日に開催された第5戦に続き2連戦で開催されるこの大会では、ロードスターのワンメイク状態となっているPN2クラスで北海道の米澤匠が第1ヒートのタイムで逃げ切り全日本初優勝を獲得。激戦が続くPN3クラスでは、第5戦で3位に甘んじたロードスターRFの大多和健人が今季4勝目を獲得。自身初となるタイトル獲得に向け、大きく駒を進めました。


第5戦の翌日に行われた第6戦には、前日と同じく選手権クラスに82台が出場し、うちマツダ車は13台エントリーしています。

第5戦は全般的にテクニカルなコースレイアウトが設定されましたが、この第6戦は外周のストレート区間を多用したハイスピードレイアウトを採用。ただし、ゴール手前のパイロンセクションはパイロン間の狭いスラローム区間が設定され、最後まで気の抜けないレイアウトとなっています。このゴール直前のテクニカルスラローム区間では、パイロンタッチに沈む選手も少なくありませんでした。

路面の舗装が粗いオートスポーツランドスナガワ・ジムカーナコースは、タイヤへの攻撃性が高いためにタイヤの摩耗が激しく、今回は大会規定により前日の第5戦決勝で装着したユーズドタイヤで決勝2ヒートを走行しなければならないため、多くのドライバーは第1ヒート勝負と目論んでいます。この日の天候は、前日と同じく早朝は厚い雲が上空を覆っていましたが、お昼頃には太陽が顔を出し路面温度が上昇。多くのクラスが選手の予想どおり第1ヒートのタイムが決勝タイムとなりましたが、クラスによっては路面温度が上昇した第2ヒートにタイムアップを果たす選手もいました。


事実上のロードスターワンメイク状態となっているPN2クラスは、クラス先頭ゼッケンの地元・北海道からエントリーしている米澤匠が、いきなり1分13秒台のベストタイムをマークします。この米澤のタイムに、前日は4位のSHUNが迫りますが、0.192秒届かず。第2ヒートに入ると、前日の第5戦を制した小林規敏が1分13秒台に飛び込み、SHUNのタイムを0.035秒かわしますが、米澤が第1ヒートでマークしたベストタイムには0.157秒届かず。2016年に全日本ジムカーナに初出場し、そのデビュー戦で2位表彰台を獲得するという大金星を挙げた米澤が、それから8年後に待望の全日本初優勝を獲得しました。


大多和健人、川北忠、ユウによるロードスターRFの三つ巴のチャンピオン争いとなっているPN3クラス。第1ヒートは、川北がゴール直前に設定されたパイロンの餌食になるなか、第5戦を制したユウを0.079秒上まわった大多和がトップに立ちます。第2ヒートは、ユウが自己タイムを0.04秒縮める渾身の走りを見せますが、大多和がマークした第1ヒートのタイムには届かず。大多和が、チャンピオン獲得に近づく今季4勝目を獲得しました。2位にユウ、3位には第2ヒートで第1ヒートのパイロンタッチをリカバリーした川北が入賞しています。

その他、BC2クラスではRX-7の藤井雅裕が、第1ヒートのタイムで3位に入賞を果たしています。


 

PN2クラス優勝/米澤匠コメント

「昨日の公開練習(実際には第5戦決勝)で、しっかりタイヤの皮むきができました(笑)。決勝第1ヒートは地元のコースだからこそのミスもあったのですが、タイヤがすごく効いて、気持ち良く走ることができました。今年は、第7戦のイオックスと第8戦&第9戦のSUGOにも出場しようと思っています。地元コース以外でも上位を目指して頑張ります」


PN2クラス2位/小林規敏コメント

「前日に装着したタイヤのフロント左側の摩耗が激しく、第1ヒートはローテーションをして第2ヒートで勝負しようと思ったのですが、少し足りませんでしたね。こういった2連戦でタイヤ縛りがある場合のタイヤの使い方を、もっとテストしてベストな使い方を探らなくてはいけないと痛感しました」


PN2クラス3位/SHUNコメント

「第5戦に照準を合わせていて、タイム的には接戦だったんですけど表彰台を獲得することができませんでした。今日の第6戦は、基本的に第5戦と同じセットで走ったのですが、まずは最低でも表彰台という目標は達成することができました。第2ヒートでもタイムアップできる要素はあったのですが、1カ所攻めすぎてしまってタイムダウンしてしまったことが悔やまれますね」


PN3クラス優勝/大多和健人コメント

「2連戦のうち、第6戦は絶対勝つという組み立てでこの2戦を戦ってきたので、目標どおり勝つことができて良かったです。求めていたセットアップに、やっと近いセットを出すことができました。まだ、2戦連続で勝ちに行けるほど力はついていないと思うのが正直なところですが、チャンピオンに少し近付いてきたかなというところはあるので、残りのラウンドも気を引き締めていきたいと思います」


PN3クラス2位/ユウコメント

「タイヤのことを考えると3本目(第6戦の第1ヒート)で決めたかったところですけど……。1カ所だけ大きいミスがあって、そこで全部こぼしてきてしまったという感じですね。第2ヒートはミスを修正することができたんですけど、タイヤ的には第1ヒートの方が良い状態でした」


PN3クラス3位/川北忠コメント

「第1ヒートは、パイロンタッチもありますが、内容的に攻め切れない部分もあって、不完全燃焼で終わってしまいました。第2ヒートはタイヤ的に厳しいということも分かっていたので、大事な第1ヒートで攻め切れなかったのは、自分のミスだったと思います」


BC2クラス3位/藤井雅裕コメント

「昨日の第5戦のデータを活かしてセッティング変更したことが、第1ヒートのタイムに結び付いたと思います。トラクションをしっかりとかけることができ、それにドライビングを合わすことができました。第2ヒートはタイヤが少し傷んでいたのですが、コントロールがうまくいき、思ったよりもダメージが少なく、ドライビングのミスによりタイムアップできなかったことが残念でした」



念願のチャンピオン獲得に向けて

2022年の全日本ジムカーナ選手権開幕戦筑波にロードスターRFで彗星のごとく現れ、いきなり激戦のJG6(現在のPN3)クラスで2位に入賞した大多和健人。この年はユウが全戦優勝でチャンピオンを獲得しましたが、大多和も2位5回、3位1回の好成績でシリーズ2位を獲得、昨年は開幕戦もてぎで全日本初優勝を獲得しましたが、その後はライバル勢の活躍もあり、シリーズ4位という本人にとっても不本意なシーズンとなりました。

その大多和が、今シーズンは開幕戦&第2戦のもてぎ2連戦で連勝を奪い、第4戦名阪でも優勝と、シリーズランキングトップでこの第6戦を迎えました。今シーズンの快進撃の要因を、「今まで1メーカーのタイヤでシリーズを戦っていましたが、今シーズンは路面コンディションや天候などによって複数のメーカーからタイヤを選択して挑んでいます」と、あえてタイヤサポートを受けず、選択肢を広げたことが好成績に繋がっているといいます。

「クルマの仕様も昨年から大きく変わっています。クラッチもノーマルから社外品に、LSDも昨年までは“つるし”の状態だったんですけど、今年はセッティングを競技用に変更しています。ダンパーの仕様も変わっていますし、スプリングも変わっています」と、タイヤの変更だけではなく、クルマの仕様も大きく変えてきたということです。

逆にいうと、昨年までは「サスペンションを組んだだけの一般的なジムカーナ仕様」だったクルマを、今年は「ドライバーのドライビングスタイルに合わせた自分だけの特別な仕様」に仕上げてきたということです。

「今年の仕様は、コーナリングしている時にリヤの内輪差ができないように、できれば外輪差ができるようなイメージでセッティングを進めています。コーナリングでリヤの外輪差ができるのは理論上、実際にはあり得ないんですけど、コーナリングの時にフロントが入ってからリヤがワンテンポ遅れて外側をなぞるような旋回をするようなイメージです」と大多和。元々、ドリフトドライバーだった大多和は、ジムカーナでも「できれば、スタートからゴールまで一筆書きのようにすべてが連続した動きでラインをトレースして走りたい」というイメージに近づけたいという、大多和ならではのセッティングです。

独自のセッティングで今シーズンは優勝を重ねている大多和ですが、地区戦にはスポットでチームの若手とダブルエントリーで出場し、その際には「自分のセッティングではなく、若手のセッティングのまま、いかにタイムを出せるかということにもトライしています」と、新たなチャレンジも行っています。

独自の視点と、ドライビングの幅を広げ、今シーズンの全日本ジムカーナ選手権に挑む大多和。念願のシリーズチャンピオン獲得に向け、後半戦も優勝を狙い突き進みます。

全日本ジムカーナ選手権第7戦は、7月20日(土)〜21日(日)に、富山県南砺市のイオックス・アローザを舞台に開催されます。



Text&Photo by CINQ LLC

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