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日本国内レース

  • 2019/10/30
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PR3東日本最終戦で、ND初代王者の梅田剛がV10の快挙を達成

10月27日、ロードスター・パーティレースⅢ東日本シリーズの今季最終となる第4戦が、茨城県の筑波サーキットで行われました。NDクラブマンは123号車の泉多美宏が今季3勝目を挙げ、NCシリーズは86号車の井尻薫が4戦全勝のパーフェクトを達成。そしてNDシリーズはスポット参戦ながら、2016年にNDの初代王者となった64号車の梅田剛が劇的な逆転優勝を果たしました。シリーズチャンピオンはNCシリーズの井尻は当然として、NDシリーズは28号車の冨林勇佑が獲得しました。

この日の筑波はほぼ一日中、曇り空に覆われました。予選が始まる直前の午前10時の気温18.6度、路面温度21.2度という絶好のコンディションです。最終戦のエントリーは3クラス合計で52台となり、第1レースにNDクラブマン、第2レースにNCシリーズ、第3レースにNDシリーズという順番で予選・決勝ともに行われました。

NDクラブマンの公式予選には15台が出場。最初のアタックでは第3戦で優勝した27号車・ISHIKAWAが出した1分11秒248がベストでしたが、今日はアタック2周目にそれを破る選手が続出。開幕2連勝の後、第3戦を休んでいた123号車の泉多美宏が1分10秒843と唯一11秒を切るスーパラップを決めます。また今回が2戦目の29号車・岩田洋二が1分11秒077、開幕戦で2位表彰台を獲得した95号車・須藤利明も1分11秒240で続きます。
ISHIKAWAは4番手。3列目には197号車の根本智文と37号車の倉持彰彦が1分11秒台の前半で続きます。今回が初参加の74号車・井上雅貴は10位、同じく57号車の鈴木良雄は14位という結果でした。

NCシリーズの予選も同じく15台で、163号車の鈴木泰誠が今回初出場。最終戦でしたが、クラブマンも合わせて3名が新たにパーティの仲間に加わりました。まずは昨年の東日本NCチャンピオン、7号車の佐久間行雄が1分9秒460を出してピットで待機に入ります。さらに今回、三谷貴一郎の代わりに3号車で出場した2017年のND全国シリーズ王者の辻かずんどが2周連続でアタックを見せますが、ベストは1分9秒778。佐久間にはわずかに届きません。
予選開始から4分30秒が経過した頃、3連勝中の86号車・井尻薫がいつもより早めにコースイン。いきなり出したタイムが 1分9秒026で、堂々のポール獲得です。予選4番手にはアタック5周目に1分10秒106まで刻んできた69号車の橋本悠亮。さらに15号車の亀山晃代、104号車の内海由多加と続きます。一方、ここまで3戦とも2位で井尻を追いかけていた、2017年のNC全国王者で5号車にゼッケンを変えた入江直は7位。決勝での挽回を狙います。

最後の予選はNDシリーズで3台が欠場し、18台でのバトルでした。第2戦から2戦連続でポールを獲得している121号車・河村恭平が先頭でコースイン。多くの実力者たちがトラフィックを避けて記録上では3周目以降にアタックを行ないましたが、今回の予選でも河村の輝きは増すばかり。まずは1分10秒275でリーダーボードの最上段に躍り出ると、一度ピットでクールダウンしてから、5周目で10秒169まで刻んでダメ押し。3戦連続のポールポジションを獲得します。
続いたのが第2戦で優勝してランキング2位につける78号車・出来利弘で、タイムは1分10秒474。以下、71号車の登坂紀、103号車の松尾康博、64号車の梅田剛、118号車の中嶋鷹と続きます。松尾は、パーティレースと同じ規定の富士1.5チャレンジクラスの今年のチャンピオンで、梅田はNDのパーティレースで9連勝中のレジェンドとも言っていい存在です。驚いたことに、開幕戦と第3戦、9月23日の交流戦(富士)で優勝しているランキング首位の28号車・冨林勇佑が予選では9位に沈みました。出来とのタイトル争いにも緊張感が漂います。

決勝の第1レース、NDクラブマンは14時16分にスタートが切られました。14時の筑波は気温が21.3度、路面が29.6度まで上昇しています。ポールポジションの泉は先頭で1コーナーに進入しますが、3番グリッドの須藤が斜め前の岩田をかわして2番手に浮上します。次に事件が起こったのが3周目。4番手スタートだったISHIKAWAが前を走る岩田をS字でパスして3位になった直後、第2ヘアピンでアクシデントに巻き込まれてスピン。残念ながらISHIKAWAはここでレースを終えました。
このアクシデントの影響もあって、トップを争う泉、須藤の2台と、3番手以下の集団が大きく離れます。その後続の集団を率いたのは根本ですが、予選9位だった66号車の関裕が肉薄。さらに倉持も続いて、背後には予選13位からオープニングで9位、さらに1周に1台ずつ抜くペースでジャンプアップしてきた116号車の高橋祥郎を含む4台が団子状態になります。
トップ争いの2台は終盤まで1秒以内の緊張感あるバトルを展開しますが、14周目に須藤がシフトミスを犯して勝負あり。泉が今シーズン3勝目となるトップチェッカーを受けました。3位争いも0.8秒差で根本が関の追撃をかわして、逃げ切りに成功。一方、8周目に倉持をパスした高橋が5位に入賞。倉持までが入賞となりました。4位と5位、5位と6位のギャップも1秒以内という僅差でした。泉は「少しの貯金を取り崩すような展開になりましたが、須藤さんが速いことはわかっていたので、なんとか凌ぎ切ることができました」と振り返りました。

NCシリーズの決勝は、10分遅れの14時50分にレッドシグナルが消えます。最前列の井尻と佐久間は順位を守りますが、3番グリッドの辻は大きく出遅れたあげく、ダンロップ先で姿勢を乱してスピンアウト。最下位まで沈みます。4番グリッドの橋本が労せずして3位に浮上しましたが、その後方では6番グリッドだった内海が、5番グリッドだった亀山をパス。さらに8番グリッドだった9号車の菊池聡が、7番グリッドだった入江をかわすなど、オープニングラップは偶数グリッドの選手が順位を上げる展開になりました。
ここまで3戦全勝の井尻ですが、序盤は佐久間もハイペースで追いかけた結果、5周目終了でも3秒以内とワンミスで逆転可能な圏内でした。しかし、5周目終了時点で佐久間と3.5秒のギャップがあった橋本が、10周目終了時点では2.1秒まで迫り、佐久間は2位を守る走りにシフトせざるを得ません。さすがに昨年まで3年連続でチャンピオンを獲得したトップアマだけに、切り替えの早さは見事でした。
上位3台は井尻、佐久間、橋本の順でチェッカー。4位には内海が入りますが、5周目に亀山をパスした菊池が終盤はテールtoノーズの追撃を見せてくれました。6位の亀山までが入賞です。パーフェクトでチャンピオンを獲得した井尻は「楽しい1年でしたし、いろいろ勉強にもなりました。ロードスターって最高ですね」と笑顔でコメントしました。

第3レース、NDシリーズの決勝も予定より遅れて15時58分にスタート。ポールポジションの河村と出来は順位を守りますが、その後方では1周目からドラマが起きます。ジャンプアップに成功したのは5番グリッドの梅田。2列目にいた登坂と松尾を抜いて3位で戻ってきます。登坂は4位に落ちたのみでしたが、松尾は9位まで急降下。5位には中嶋、6位には7番グリッドだった16号車の上田純司が繰り上がります。9番グリッドからスタートした冨林は2台を抜いて 7位まで挽回。さらに2周目には入賞圏内の6位まで浮上します。
序盤は出来が河村を1秒以内で追い詰めるシーンが展開されますが、その後方から徐々に差を詰めていったのが梅田。7周目の最終コーナーで出来のインを一度突こうとした後に進路を変更して同タイムでコントロールラインを通過。大胆にも、その後の1コーナーをアウト側から並びかけて、パッシングに成功します。このレース最大のポイントでした。梅田の追撃は続きます。先頭をいく河村とは10周目に1 秒あった差が、次の周から0.8秒、0.6秒、0.5秒とみるみる接近。そして13周目の第2ヘアピンの立ち上がりで河村が痛恨のシフトミス。2速から3速へのアップに手間取って失速してしまい、その横を梅田の黒いマシンが駆け抜けていきました。気を取り直して追いかける河村ですが、0.263秒及ばずに2位に終わりました。少し離れた3位には出来が入り、ポイントリーダーの冨林は10周目に中嶋、14周目には登坂もパスして4位まで追い上げます。したがって入賞は6位の中嶋までとなりました。

NDロードスターによるパーティレースが始まった2016年に7戦全勝して日本一となり、その後も2017年の交流戦(富士)と今年の北日本第2戦(SUGO)と、今まで9戦すべてに勝利してきた梅田ですが、ついにその連勝記録を二桁にまで伸ばしました。「前半はタイヤを温存していたのですが、優勝するならあのタイミングで2位まで上がらないと間に合わないという決断をしました。でも最後は自分の力で抜くことは難しかったです。運も味方してくれましたね」と振り返ります。 また、最終戦の結果、4位まで挽回した冨林が東日本NDシリーズのチャンピオンを自力で獲得しました。「予選で失敗してしまったのですが、最低限チャンピオンだけは取りたかったです。今年でパーティレースは卒業するつもりなので、お世話になった皆さんに応えることができて、ホッとしています」とコメントしました。

マナーを守って、楽しく走ることがモットーのパーティレースだけに、残念だったのは、3レースで失格が3台、順位は認定されましたが接触などによるポイント抹消が6台も出たことです。失格はいずれもペナルティを科されたのに、そのまま走り続けたため。サーキットを走る基本マナーとして、オフィシャルが提示するフラッグ類を確認するという基本動作を再確認していただきたい。

今年のロードスター・パーティレースⅢも、残すはひとつのみ。11月23日の土曜日に西日本シリーズの最終戦が岡山国際サーキットで開催されます。なお「マツダカップ」をかけた全国シリーズのチャンピオン争いも、今回の筑波では決定が持ち越し。可能性を残すのは冨林と、西日本シリーズのポイントリーダーかつ昨年の4冠王者、本多永一のみ。本多が優勝するか2位だとV2達成で、3位以下の場合は冨林に栄冠が輝きます。

Photos by B-Sports

MAZDA MOTORSPORTS ロードスター・パーティレースⅢ

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