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日本国内レース

  • 2024/08/08
  • JDC

JDC Rd.6 PN1太田&本道、逆転チャンピオンに可能性を残す

2024年全日本ダートトライアル選手権第6戦「ALL JAPAN SUPER DT in EBISU」が、8月3日(土)〜4日(日)に福島県二本松市郊外のエビスサーキット新南コース(スライドパーク)で開催され、デミオ15MBでPN1クラスに出場する太田智喜が5位、同じくデミオ15MBの本道治成が第2ヒートで追い上げ6位に入賞。残り2戦の結果次第で、逆転チャンピオン獲得の可能性を残しました。


全8戦が組まれていた今シーズンの全日本ダートトライアル選手権は、第4戦門前ラウンドが今年の1月1日に発生した能登半島地震の影響を受け、開催中止を余儀なくされました。そのため、今シーズンは全7戦、有効戦数は当初の6戦から1戦減った5戦で戦われることとなりました。今シーズンのPN1クラスは、前戦の第5戦(4大会)を終えて4人のウイナーが誕生。そのなかには、デミオ15MBで出場する太田智喜と本道治成も含まれています。毎戦、表彰台の顔ぶれが変わるという激戦が繰り広げられているPN1クラスのなかで、今回の第6戦を含めた残り3戦の結果が、チャンピオン争いに大きく影響することとなります。

昨年末にJAFカップオールジャパンダートトライアルが開催された福島県二本松市郊外のエビスサーキット新南コースは、全日本を開催するのは今回が初めて。サーキットコースの路面を削り、削り出されたアスファルトを砕いてふたたびコースに敷き詰めるという手法で製作された路面は、選手から「アンジュレーション(うねりやギャップ)がないフラットなダート路面で走りやすいのですが、ステアリングで曲がろうとしてもなかなか曲がらず、4輪の慣性を利用して走る雪道のような路面」と言われ、全日本が開催されるコースのなかでも、特異な性格を持った路面と言われています。

PN1クラスに出場した太田は、前日の公開練習でトップタイムを記録し、決勝でも上位入賞が期待されるなか、第1ヒートはトップから0.263秒差の4番手という好ポジションにつけます。路面の砂利が掃け、タイムアップ更新ラッシュとなった第2ヒートは、「修正舵が多くなってしまったことと、サイドブレーキの効きが悪く、パイロンターンでタイムを稼ぐことができませんでした」とクラス5位にポジションダウン。自力チャンピオンの可能性がなくなりましたが、残り2戦、ライバル勢の結果次第ではチャンピオン獲得に可能性を残しました。

太田と同じく、今シーズン1勝を挙げている本道は、第1ヒートではトップから約2秒差の6番手と出遅れ、第2ヒートは自己タイムを大きく更新したものの、ポジションは変わらず6位で第6戦を終了。太田と同じく自力チャンピオンの道は絶たれましたが、残り2戦の結果次第では、まだ逆転チャンピオンの可能性は残しています。


PN1クラス5位/太田智喜コメント

「決勝の第1ヒートは、前日の公開練習でのフィーリングが良かったので、同じ感覚で走りました。路面整備が行われた第2ヒートは、フロントに超硬質ダート用タイヤ、リヤに硬質ダート用タイヤで攻めたのですが、路面が掃けている部分と掃けていない部分の差が激しく、タイヤがグリップするコーナーとグリップしないコーナーの差を詰め切ることができませんでした。ブレーキを詰めていこうとした結果、アンダーステアが強くなってしまい、コースをうまく攻めきることができませんでした」


PN1クラス6位/本道治成コメント

「コーナーに突っ込みすぎてアンダーステアを出したり、逆に抑えすぎてうまく旋回できなかったりと、イメージとはかけ離れたチグハグな走りになってしまい、自分にとっても不甲斐ない1戦となってしまいました。直前にブレーキパッドを変えて、結果的に元に戻したんですけど調整不足で、事前準備が足りませんでしたね。今回の結果を反省して、残り2戦頑張ります」


新コースを攻略する

今回、初めて全日本の1戦に組み込まれたエビスサーキット新南コース。元々はドリフトの聖地として世界中に名を馳せたサーキットコースは、削ったアスファルトを砂利や土の代替えとして敷き詰めて利用する新たなコンセプトのダートコースとして生まれ変わりました。それだけに、コース攻略はこれまでの砂利や土を踏み固めたダートコースとは異なり、特に全日本初開催となった今回は、多くのドライバーがコース攻略に頭を悩ませる1戦となりました。

昨年末のJAFカップオールジャパンダートトライアルに出場し、路面の特性を知る本道は、「第1ヒートは路面の上に砂や砂利が乗っているような感覚で、滑るところとグリップするところ、路面が重たく感じるところなどの差があるのですが、第2ヒートになると一気に路面が掃けてきて急にグリップが上がるような感じです。ただし、第2ヒートは舗装の上にパウダーが乗ったような場所も出てきて、その部分はすごく滑るのですが、第1ヒートの滑り方とはまた違う滑り方なのと、滑る場所も第1ヒートとは違う場所のことが多いので、攻略が難しいコースですね」と言います。そのうえで本道は、「基本的には滑りやすいコースなので、その滑らせ方をどうコントロールするかと、先ほど言った滑りやすい路面とグリップする路面を瞬間的に判断することが、タイムアップの鍵だと思います」と、コース攻略法を語ります。

一方、今回が初めてのエビス走行となる太田は、「元々はサーキットということもあり、コース全体には傾斜があるものの、路面は全体的にフラットな印象ですね。走行を重ねても路面が掘れて凸凹になる部分がないので、路面状況は読みやすいと思います」と、コースの印象を語ります。コース攻略については、「路面のμが低く、タイヤが路面に引っかからないので、例えばフロントを荷重移動させてインに入れようとしても、最初で入らなければずっと逃げ続けるような、まるでサーキットのヘビーウエット路面を走っているような感じがしますね」といいます。

その上でのコース攻略については、「4輪をしっかり使うことをイメージして走ることが必要だと思います」と太田。「普段のコースだと、FFの場合はもっとフロント寄りに考えるんですけど、ここ(新南コース)は姿勢をしっかり作って、フロント荷重だけではなくリヤの荷重もしっかり使うイメージが大切」という太田は、「実際には、ブレーキを詰めて、そのブレーキングから短い区間でフロントの舵を入れてというのがいつものFFの走らせ方なんですけど、それよりはコーナーの結構手前の方からクリッピングに向けての姿勢を早めに作っておいて、その姿勢も大きくつけるのではなく小さめに作っておいて、流れることを見越しながらクリッピングに向けてアクセルオンで抜けていくことをイメージして走りたいと思います」と、公開練習ではその言葉どおりトップタイムをたたき出し、第1ヒートも好ポジションにつけました。勝負どころの第2ヒートは、「クルマのコンディションと、自分のドライビングの問題」で優勝を獲得することはできませんでしたが、コース攻略への探究心と刻々と変わる路面状況への瞬間的な対応力が、ダートトライアルでは好成績の鍵を握っています。


全日本ダートトライアル第7戦「DIRT-TRIAL in NASU Rd.2」は、8月31日(土)〜9月1日(日)に、栃木県那須塩原市の丸和オートランド那須で開催されます。



Text&Photo by CINQ LLC

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