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日本国内レース

  • 2023/11/29
  • RPR

RPR北第4戦 菊池が逃げ切って2勝目も、王座は久米田に

11月25日、宮城県のスポーツランドSUGOでロードスター・パーティレースⅢの北日本シリーズ最終となる第4戦が行われました。10台が参戦したNDシリーズでは34号車の菊池仁がポールtoウインで今季2勝目。ただしチャンピオン争いでは波乱が続出。フォーメーションラップでスピンした281号車の久米田昴が王座に輝くというドラマが生まれました。


最終戦のエントリーはNDシリーズが11台、NDクラブマンが3台の合計14台でしたが、シリーズの1台が欠場して13台が予選に臨みました。最終戦の今回もパーティに新しい仲間が加わり、NDクラブマンの129号車の巳ノ瀬健太とNDシリーズの142号車の松山雄大が初参戦。朝のブリーフィングでふたりが恒例の挨拶をしますと、先輩たちから温かい拍手で迎えられました。

公式予選は8時30分からの15分間。気温は4℃で湿度が49%、さらに路面温度はマイナス1.6℃というコンディション。当然ですが、序盤は路面の状況を見極めるため、フルアタックするドライバーは少数派。ただしルーキーの松山はいきなり1分48秒776を記録して暫定トップに。最近はここSUGOがホームとのことで、走り込んでいる片鱗を見せました。

ランキング上位陣では、まず同点で首位に並んでいる16号車の上田純司が1分47秒488で最初に47秒台を記録。その後も47秒316、47秒038と刻んで、予選の前半を支配しました。

さらに後半に入ると、激しく順位が入れ替わります。残り7分になろうとする頃に、28号車の普勝崚が1分46秒755で46秒台に突入。残り5分あたりに上田も1分46秒915で続き、この2名でフロントローが確定かと思われた直後、第2戦のウイナーでランキング3位の菊池が1分46秒724で大逆転。この3台のみが47秒切りとなりました。予選4位は2号車の石塚崇宣でベストは1分47秒094。石塚は今回もクラブマンクラスでの参戦だが、第3戦で総合優勝という快挙を達成している実力者です。

一方、上田と並んでポイントリーダーで臨んでいる第3戦シリーズ優勝の281号車・久米田昴のベストは1分47秒359。決勝は7番グリッドから挽回を狙うことになりました。上位陣3名の中で久米田は一番有利な状況で迎えていますが、仮に菊池が勝つと4位以内に、上田が優勝した場合は3位に入らないとチャンピオンには届きません。


決勝は11時13分にスタートが切られました。直前のコンディションは気温5℃・湿度41%・路面6.4℃。さすがにプラスには転じましたが、路面はまだ冷え切っています。両サイドにMAZDA SPIRIT RACINGの広告看板があるデジタルサイネージをバックに記念写真を撮影したのち、全車がフォーメーションラップに出て行きますが、そこでいきなり事件が発生。7番グリッドの久米田がS字の立ち上がりで姿勢を乱してスピンアウト。正規のグリッドに戻ることは許されず、最後尾からのスタートを余儀なくされました。

ポールの菊池は無難に先頭をキープ。もう1台のフロントロー、普勝も出遅れたわけではないですが、3番グリッドの上田のスタートダッシュが圧巻でした。ストレートの半ばで早くもノーズを先に出すことに成功し、1コーナーで2番手に浮上しました。さらにオープニングラップには事件が続発。NDシリーズでは2コーナー先の縁石に乗せてしまった衝撃で宮應政宗の238号車がエンスト。再始動できて復帰するものの、大きくタイムをロスしてしまいました。

この日、先頭の菊池のペースは安定していました。最後まで1秒以内の僅差で上田も追い続けましたが、いわゆる隙のない走りで逆転の匂いがしません。逆に4周目以降、三つ巴の接近バトルになったのが3位を争うグループでした。先頭が普勝で、これに石塚と予選5番手の47号車・岩崎魁が大接近。5周目のレインボーコーナーの立ち上がりで、普勝が3速から6速に入れてしまうミスを犯して、ここで3位が石塚に変わりました。

その後、岩崎の後方には初参戦の松山が迫ってきて、7周目に逆転。ちなみに松山が3周目に記録した1分46秒746が決勝でのファステストラップとなりました。これで動揺してしまったのか、岩崎は最終コーナーで単独スピン。走行不能となりレースを終えることになりました(7周走破のため完走扱い)。

さらに後方では、久米田が徐々に順位を挽回。1周目の2台(宮應とクラブマンクラスの古田のアクシデント)に続いて、初参戦の129号車の巳ノ瀬健太を2周目にパッシング。さらに5秒近くの差があった91号車の沢崎祐一をジワジワと追い詰めて、ついに8周目に逆転。32号車・横田剛のリタイアもあったので総合では7位、NDシリーズでは6番目にチェッカーを受けました。

整理すると、菊池が0.223秒の僅差ながら上田を従えてトップチェッカー。3番目にはクラブマンの石塚がこれも普勝に背後に迫られながらも先にゴールしました。さらに31号車の和光博紀がシリーズの4位、松山が殊勲の5位、追い上げた久米田が6位という順番です。シリーズの暫定表彰式には菊池/上田/普勝の3選手が登壇しました。この暫定順位のまま、北日本NDシリーズを計算しますと菊池が56ポイント、上田が55ポイント、久米田が53ポイントという結果になります。この上位3名の中では一番厳しい条件だった菊池に栄光が輝くかと思われました。

ところが決勝後の再車検で、暫定3位だった普勝と、同じく4位だった和光のマシンに「車両規定違反」が判明。具体的にはキャンバー角の違反で、それによって2名が失格という処分になりました。これを受けてNDシリーズの正式結果は松山が3位に、久米田が4位に繰り上がり、5位の沢崎までが規定により入賞となりました。

これで久米田の今シーズンの獲得ポイントは「57」まで増えることになりました。2名の失格という他力本願ではありますが、北日本NDシリーズのチャンピオンは25歳の若者がルーキーイヤーで獲得したことになります。逆転王座を知るまで30分以上、ヘルメットを被ったままで泣きじゃくっていたことも、きっと人生で忘れられない思い出になることでしょう。なお、久米田は「ルーキー・オブ・ザ・イヤー」の受賞も決定しました。


見事な逃げ切りで今シーズンの2勝目を達成した菊池は「前回が不甲斐ないレースだったので、今回は一昨日から練習しましたよ。おかげさまで決勝もペースを落とさないで走り切るという目標が達成できました」と振り返りました。

チャンピオンを獲得した久米田は「フォーメーションで自爆したことが悔しくて恥ずかしくて、ずっと涙が止まらなかったのですが、沢崎さんのマシンが見えるようになってからは、なんとか抜きたいと。その次は和光さんもと思っていたところでチェッカーでした」とコメント。もし、諦めて沢崎を抜いていなければ、逆転王座もあり得なかったことを指摘しておきましょう。

また沢崎も本日の決勝レースの結果、2023年の「グレートパーティレーサー・オブ・ザ・イヤー」賞の獲得が決定しました。


なお2023年度の表彰対象者に向けては2024年1月13日の土曜日、開催中の東京オートサロン周辺のホテルで「MAZDA SPIRIT RACING モータースポーツ表彰式」が開催されることが発表されました。



Text by T.Ishida, Photos by B Sports

MAZDA MOTORSPORTS ロードスター・パーティレースⅢ

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