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日本国内レース

  • 2023/08/23
  • RPR

RPR西第3戦 最多勝男の本多永一が通算6度目の王座に

8月20日、岡山国際サーキットでロードスター・パーティレースⅢ西日本シリーズの第3戦が開催。主役はやはり88号車の本多永一。開幕2連勝を飾った時点で21勝目となって最多勝記録を更新しましたが、第3戦は予選2番手からの鮮やかな逆転劇。これで通算6度目というチャンピオンを、最終戦を待たずして確定させました。


公式予選は8時からの15分間。パドックで計測した気温は35.9℃、湿度は61%と、早くも“猛暑日”です。ただし路面は40℃前後にとどまっていました。開始早々、モニター最上段の座には2連勝中の岡山マイスターが踊り出ます。もちろん本多で、アタック1周目の1分59秒779から59秒493まで短縮。ここでクーリングに入りました。しかしながら、岡山は初出場という105号車・宮園拓真が少し遅れてコースイン。最初に出したタイムが1分59秒476と、わずか0.017秒だが本多を上回ってポールポジションを獲得しました。

3番グリッドは19号車の田中健太が、これもアタック1周目の1分59秒583で獲得。今季の岡山では2戦とも本多とバトルを演じた97号車の原山 怜が1分59秒636で2列目に滑り込みます。さらに61号車・米川直宏も僅差の1分59秒642、56号車の小林太一も1分59秒854で続きます。以下、マツダのパワートレイン開発本部所属の50号車・八木 淳までが2分を切りました。さらに8番から13番グリッドまでの6台が2分00秒台ということで、本日は上位陣のタイムがきわめて接近した状況です。

ご存知の方も多いでしょうが、宮園はグランツーリスモの世界チャンピオンとして、eスポーツの世界では有名な存在。しかしながらパーティレースでは、本人としては不本意な成績に甘んじていました。「前回の筑波では予選から大失敗でした。今日も自分としては今ひとつと思っていたら、1番だと聞いてビックリ。でも決勝は8ラップもあるので、そこで勝ちきれるように頑張ります」と、気を引き締めていました。ちなみにこの週末の岡山国際サーキットは、「GTワールドチャレンジ・アジア」というビッグレースを開催中で、とても賑やかでした。


今回、賞典外でマツダ車両開発本部所属の梅津大輔が参戦。梅津の乗る0号車にはモータースポーツ用に最適化した新制御技術「DSC-TRACK」の試作品に加えて、新しい駆動系技術を装備。実際のレーシング走行で性能を検証することを目的として、JAFからの承認も得ての混走となりました。また従来はブラックの00号車でしたが、4回目となる今回からレッドの0号車に車両もスイッチ。今年の後半に予定されている改良後のスペックに近い内容が搭載されているとのことです。


決勝を迎えた岡山国際サーキットは、まさに灼熱のコンディション。照り返しの強いパドックで計測した気温は41.7℃、湿度は38%。路面温度はなんと58.6℃まで跳ね上がります。8ラップの決勝は13時29分に、オールレッドの5連シグナルが消えてスタートが切られました。ポールポジションの宮園がやや出遅れて、2番グリッドの本多に並びかけられますが、ここはなんとかこらえて先頭の座を守りました。その後方、2列目の田中と原山も加速は今ひとつで、原山は5番グリッドだった米川に2コーナーで抜かれてしまいます。さらに後方では2020年のチャンピオン、110号車の末金孝夫がスリーワイドの真ん中で挟み撃ち状態となり、接触を避けようとして失速。10番グリッドから15位まで順位を落として、オープニングラップを通過していきました。

2周目に入っても上位陣に動きがありました。とくに勢いが良かったのが米川。ヘアピンで田中にアウトから並びかけると、次のリボルバーからパイパーでイン側になるセオリー通りのパッシングで3番手へ。そして3周目にはトップも変わりました。宮園がアトウッドの立ち上がりで少しアンダーを出して加速が鈍り、ロックオンした本多がヘアピンまでのバックストレートで難なく先行しました。つまり「本多→宮園→米川」というオーダーのトップ3となり、4位以下の集団とは少し差が開きました。

4周目にこの決勝中のファステストとなる2分00秒505を叩き出した米川のプッシュが、さらなる緊張感を生みます。5周目終了時点のトップと2位の差は0.536秒、2位と3位の差が0.288秒。2番手を走る宮園は本多を追いたい気持ちがあっても、背後の米川にも隙を見せられずに焦りが募る展開です。残り2周を切った7周目のバックストレートエンドで、米川に気を取られた宮園のブレーキが遅れて本多に衝突。これを見た米川はアウト側のグラベルに出て回避するも、その後の処理を誤りました。コース復帰の際にハンドルを切ったまま縁石を乗り越えようとしたらしく、スピンかつ横っ飛び状態から本多の左サイドにヒット。順位も大きく落とすことになりました。

ただ、このアクシデントでも本多のトップは揺るがず、宮園も2番手のままチェッカー。3番手には序盤に6位までポジションを落とした原山が復活してゴール。暫定表彰式には以上の3名が登壇しました。以下は田中、八木、小林という順でチェッカーフラッグを受けましたが、宮園には「他車との接触」があり、米川にも「危険なドライブ行為」があったとの認定で、それぞれ決勝結果に30秒が加算されました。したがって2位以下の順位がひとつずつ繰り上がり、2位は原山で3位は田中。以下は八木と小林に続いて、6位に58号車の桂 涼が入賞となりました。


これで3連勝となった本多は、最終戦を待たずに西日本シリーズの6度目の王座が確定しました。「開幕でセーフティカーが入り、6月の第2戦は雨で足元をすくわれそうになり、今日は猛暑でと……色々ありましたね。それでも最多勝記録を更新できたのと、通算の勝率も5割に戻せたのは収穫でした。最終戦もパーフェクトがかかっているので頑張ります」と、まだまだ元気いっぱいのコメントでした。


賞典外で参加した梅津は重量面でのハンデもあり、さらに順位を争う他のマシンの邪魔をしないことを優先したため、オープニングラップではポジションをダウン。しかしながら2周目には早くも19番手に浮上して、終盤はさらにペースをアップ。スターティンググリッドよりひとつ前に相当する17番目でチェッカーを受けて完走を果たしました。「今回はとくに駆動系技術の検証で収穫が大きかったです。改良後のNR-Aでのサーキット走行に向けたセッティングに、今日のデータがお役に立てると思います」と手応えを語ってくれました。


なお、参加4台で争われたNDクラブマンクラスを制したのは60号車の黒田行治。2019年にレンタルで初参戦し、翌年には購入したマイカーに乗り換えたキャリアを持つ黒田が、ついに表彰台の一番高いところに登り詰めました。


ここ岡山国際サーキットでは11月4〜5日の週末の2日間、「MAZDA FAN FESTA 2023 IN OKAYAMA」が開催され、西日本シリーズの最終となる第4戦は4日の土曜日に組み込まれています。なお同大会は2023年のジャパンツアーシリーズの最終第7戦とのダブルタイトルです。またパーティレースの次の戦いは9月24日の日曜日に、静岡県の富士スピードウェイでジャパンツアーの第6戦が開催予定です。



Text by T.Ishida, Photos by B Sports

MAZDA MOTORSPORTS ロードスター・パーティレースⅢ

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