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日本国内レース

  • 2022/09/27
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初代ND王者の梅田が、雨も味方にジャパンツアー2勝目

9月24日、富士スピードウェイでロードスター・パーティレースⅢのジャパンツアーシリーズ第4戦が開催されました。チャンピオンを争うNDシリーズクラスは2016年に初代ND日本一に輝いた梅田 剛が、開幕戦に続く今季2勝目をマーク。セーフティカーも導入された波乱のバトルで降りしきる雨をも味方につける、名医のごとく鮮やかなお手並みを披露しました。


21年目を迎えたロードスター・パーティレースⅢが、2年ぶりに富士スピードウェイで開催されました。2017年から2020年までの4年間はここで交流戦が開催され、各地区のパーティレーサーたちが一堂に会していました。今年から新たにジャパンツアーシリーズが開始され、第4戦の舞台として復活。今回は富士チャンピオンレースシリーズ第4戦の中に組み込まれるカタチで、土曜日のワンデーレースとして行われました。

エントリーはNDシリーズクラスに23台、NDクラブマンクラスに17台で、合計40台という大盛況。それが混走で開催されますが、スケールの大きな富士ということでスターティンググリッドは54台分あり、予選落ちの心配は無用です。嬉しいことにシリーズクラスの182号車・板垣真斗、クラブマンクラスの72号車・oki765と161号車・木村安志という3名が今回初参加となりました。


9月に入ってからの日本列島は天候不順が続いていましたが、この週末の富士も台風の影響を受けてしまい、前夜からの雨でフルウエットというコンディションでした。公式予選は8時25分からの20分間で始まりましたが、気温21℃/湿度95%/路面温度22.2℃というのがピットでの計測データ。シリーズとクラブマンの各1台ずつが欠場し、38台がアタックに臨みました。この日は予選・決勝を通じて、ソフトトップは閉じた状態でも走行OKという旨がブリーフィングで通達されています。

開始早々、2分27秒841でリーダーボードの最上段に躍り出たのが116号車の梅田 剛。彼は4月のジャパンツアーシリーズ開幕戦で優勝し、5月の第2戦でも2位に入ったポイントリーダーのひとりです。これに続いたのがランキング3位の88号車の本多永一でしたが、タイムは2分30秒840と約3秒の差がつきました。以下は少し離れて171号車の野村 充と、本多と並ぶランキング3位タイの103号車・松尾康博が2分32秒台で続きました。

上位陣のタイムが再び動き出したのは、予選も開始後10分を過ぎたあたりから。まず梅田が6周目に2分27秒789と、わずかですがベストラップを更新。そして北日本の第2戦から東日本第2戦、さらにジャパンツアー第3戦まで3連勝を達成した20歳の若武者、35号車の箕輪卓也が2分31秒199で2番手に浮上すると、さらに30秒837までタイムを削って梅田に並ぶ最前列の確保に成功します。

一方、その箕輪を2位に従えて先日の東日本第3戦で初優勝を飾りました27号車の田中祐也も最後までアタックを継続。2分30秒887を記録するも、これは本多にも一歩届かず4番手まで。そしてグリッド3列目は前述の松尾と、梅田と同点でランキング首位タイの16号車・上田純司が2分31秒台の前半で並びました。こうして見ると予選では、梅田のタイムが突出していることが明白でした。


一時は回復に向かった富士の天気でしたが、決勝の直前から雨が降り出して、予選同様のフルウエットでのバトルとなりました。ピットで計測された気温は25℃。湿度は84%と若干下がり、路面温度は26.4℃とわずかに上昇。予選中のアクシデントの影響などで4台がリタイア届けを出したため、合計34台が決勝のグリッドにつくことになりました。

ほぼオンタイムでの進行でローリングに入り、12時29分にシグナルがグリーンに変わって7周先のチェッカーを目指しました。ポールの梅田と箕輪という最前列2台は順当に1コーナーに進入していくも、2列目からの本多と田中は一瞬とはいうものの横並びに。さらに6番グリッドの上田は直前の松尾をパスしてオープニングラップを戻ってきました。

さらに、このオープニングラップに大きなドラマが発生。15番グリッドからスタートした33号車の桂 涼がヘアピン先の300Rでスピンして、一度コース脇にマシンを停車。これを受けて、すかさずセーフティカー(SC)が導入されました。その後、桂は自力でピットまで戻ってくるものの、1コーナーからヘアピンにかけて霧が出て視界が悪くなったこともあり、SCランは4周目が終わるまで続きました。

視界も少し回復したということで、4周目の周回の途中でSCのルーフランプが消灯。残り3ラップの短期決戦が始まりました。ここで勝負を決めたのが、先頭だった梅田。セーフティカーが隊列を離れた後は一定のペースを保っていましたが、グリーンランプと同時にアクセルONで一気に後続を引き離します。若い箕輪も必死に追いかけますが、5周目を終えてのギャップは3.9秒。さらに6周目には5.6秒まで貯金を増やした梅田が、開幕戦以来のジャパンツアーシリーズ2勝目を達成しました。


再開後で一番熱かったのが、本多と上田の3位争い。勢いは上田の方にあり、6周目終了時点は0.053秒差で左後方に超接近。1コーナー進入での逆転を狙いますが、ここはベテランの本多がかろうじてポジションを守って表彰台の最後の一角に滑り込みました。さらに初優勝の勢いがある田中と、富士のシリーズ戦でチャンピオン経験のある松尾の5位をめぐる攻防も見応え十分でしたが、ここは田中が0.409秒という僅差で逃げ切りました。つまり4位に上田、5位に田中、6位に松尾という順で入賞を思いきや、再車検で松尾に車両規定(キャンバー角)違反が判明して失格。6位には予選序盤でも上位に顔を見せた野村が繰り上がりました。

梅田は「視界が悪かったので、セーフティカー導入は正解だったと思います。箕輪さんには筑波で一度抜かれているので、絶対に並ばせないという気合いでリスタートには臨みました。雨を含めてグリップの低いコンディションは得意だと思うので、今日はそれを活かせたと思います」と振り返りました。

今回の結果、ジャパンツアーシリーズのランキングは梅田が58ポイントで単独首位に立ちました。これに上田が52ポイント、本多が48ポイントで続いています。残り2戦となりますが、全6戦中4戦の有効ポイント制のため、まだまだシリーズの行方は見通せません。

なお、出場13台となったNDクラブマンクラスは、チェッカー後に大きなドラマが起きました。予選から断然のトップタイムでクラスをリードした松原泰世が反則スタートのため、競技結果に30秒を加算されて4位に降格。これにより中村 進が、参戦5年目での嬉しい初優勝を達成しました。


ジャパンツアーシリーズの次の戦いはまた少しインターバルが開いて、11月5日に岡山国際サーキットで第5戦が行われます。またパーティレースの次戦は10月8日、宮城県のスポーツランドSUGOで北日本シリーズの第3戦が開催予定です。

Text by T.Ishida, Photos by B Sports

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