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  • 2024/02/19

マツダRX500、ノスタルジック2デイズに現る

2月17日(土)・18日(日)、パシフィコ横浜にて毎年恒例のヒストリックカーショー「ノスタルジック2デイズ」が開催され、マツダブースに展示された「マツダRX500」が注目を集めました。関東で同車が一般公開されるのは実に54年ぶり。両日共に事前情報を聞きつけた多数のREファンが集まり、関係者を質問攻めにしていました。

マツダブースに展示されたRX500は、1970年の東京モーターショーに展示されたコンセプトカーです。ペリフェラルポート仕様の10A型ロータリーエンジンをミッドシップに搭載しており、エンジンベイを覆う長いリアカウルとシザーズドアが特徴です。ブースには、国産初のロータリーエンジン搭載車であるコスモスポーツの試作車も展示されていました。このコスモスポーツは、1968年の発売を前に全国47都道府県でデモンストレーション走行したことが知られていますが、この個体は兵庫県内を巡ったことが記録されています。

18日には、ステージにてRX500に関するトークステージが行われました。登壇したマツダ広報部の田中秀昭がこのクルマの誕生について、「コスモスポーツの後継車種のためのスタディモデルとして開発されたこのクルマは、当時若手社内デザイナーだった福田成徳さん(のちの常務デサイン本部長)がデザインしています。当初は、グリーンに塗装されていましたが、東京モーターショーにおけるマツダスタンドのデザイン監修を担当した建築家の黒川紀章さんが展示車は全車黄色にしようと言い出し、塗り替えられたそうです。その後、初代RX-7の発表時に、RX-7、コスモスポーツと共にこのRX500を並べたイメージカットを撮影する際、黄色は派手すぎなのでシルバーに塗装しようということになり、今日の姿になったそうです」、と語りました。

その後しばらくマツダ社内の倉庫に眠っていたこのクルマが再登場することになったのは、2008年に広島市交通博物館(現ヌマジ交通ミュージアム)で行われた幻のスーパーカー展だったそうです。その際に忘れ去られていたRX500の存在が明らかとなり、倉庫から引っ張り出し溜まった埃を落としでレストア作業が進められました。その後2011年に広島のマリーナホップで行われたイベントで走る姿がみられましたが、エンジン不調により完全な状態とは言えませんでした。そして、昨年この車体の寄贈先で保存・管理している広島市の委嘱を受けた広島マツダがエンジンの再生に取り掛かり、ようやく2023年秋に再び車体に搭載され広島のTSタカタサーキットにてシェイクダウン走行することができたということです。

エンジンをオーバーホールしたのは、広島マツダHMレーサーズのスタッフです。長く趣味でローターリーエンジンの再生を実施してきたレジェンド技術者の河尻隆行と共に丁寧にエンジンを分解し、傷んでいた内部を修復後組み上げたものです。このプロジェクトは、古いRE再生技術を伝承する目的もあります。河尻は、「エンジンは当時のファクトリーチームが使っていたレース用エンジンで、スパ24時間レースを走ったものと同じ仕様です。ローターハウジング内に水が入り、アペックスシールがスティックしていました。また、メタルも傷んでおり、それらを洗浄して新しい部品やシール類に交換したのちエンジンは復活しています。始動性も正常であり、おそらく200PS程度の出力はあると思います」、と語り、シェイクダウンドライバーを担当した伊藤英彦(メンテナンス担当のクロマ代表)は、「ハイギアードのトランスミッションが扱いづらいのですが、エンジンはとっても快適でした。50年以上前のコンセプトカーとは思えないかっこいいクルマなので、この再生プロジェクトに加われて光栄です」、と語っていました。

▶︎ ヌマジ交通ミュージアムに保管されているRX500動画(2021年3月) YouTube 1’14”

Text and Photos by MZRacing

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