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  • 2019/11/28

NAロードスターレストア車、5台目納車完了

11月27日(水)、マツダR&Dセンター横浜(MRY)にて、NAロードスター・レストアサービスの納車式が行われ、ピカピカに磨き上げられ新車当時と同じ輝きを取り戻したロードスターが、横浜在住のオーナー、板垣雅彦さんに手渡されました。

 2017年12月にサービスを開始したこのNAロードスター・レストアプロジェクトは、これで5台のレストアを完了し納車したことになります。今回納車した板垣さんのロードスターは1991年式のNAロードスター1.6Lスペシャルパッケージで、レストアメニューとしては、ボディの補修および再塗装、エンジンフードおよび左右ドアパネルとトランクリッドの交換、ダンパー、スプリング、アーム類、ラバーブッシュ類の交換を含むシャシーリフレッシュ、内装のリフレッシュ、インナーパーツの重量バランス調整を含むエンジンのオーバーホール、ヘッドランプユニットおよびリアコンビネーションランプ交換、塩化ビニール製バックウインドー、ソフトトップの交換などを含むほぼフルメニューでしたが、予算の都合で復刻タイヤと復刻ホイールへの交換は断念したとのことです。メニュー以外の追加作業としては、痛んでいたソフトトップ骨の交換と、マッドフラップの追加などでした。

 「28年間ワンオーナーでこのクルマを所有していますが、あまり遠乗りはせず、主に近場のドライブ用に使っていました。屋根付きのガレージにボディカバーをかぶせて保管していたので、ダメージは少なかったはずです。定年を迎え、もう処分しようかと思っていたところ、このプロジェクトの存在を知り、それではもう一度リフレッシュして乗ってみようと思いました。価格的には、現代のスポーティモデルの新車が買えるほどでしたが、このクルマを新車で買うことはもう不可能なので、そちらに決断しました。ネットで申し込みし、このMRYで説明会を聞いてオーダーしましたが、実車の見取りのためにわざわざ我が家まで来ていただき、細部の採寸や特殊機材による塗膜チェックなどを受けました」と、板垣さんが語るようにこのクルマの走行距離は4万km台とのこと。とても良い状態からのレストレーション作業となったことをロードスターアンバサダーの山本さんは説明します。「シャシーがダメージを受け、歪み矯正をしないとダメな場合はレストアがお受けできませんので、細かくチェックさせていただきましたが、とても良い状態でした。塗膜チェックは板金修理痕を発見するためですが、もらい事故でドアを修理したことがあったと伺いました。軽微な修正だったので、これはレストアに支障なしと判断できました」と山本アンバサダーは続けます。「現在、レストア対象車は初代ロードスターNA6(1.6L車)に限らせていただいており、古い部品を再生させてレストアするのではなく、復刻したパーツを含む出荷部品に交換する方法なので、どうしても高価になってしまいます。それでもといわれるお客様のため、クルマの状態を見極め、エンジンやシャシーを最適な状態に戻し、さらには完成後走らせてアライメント調整し、正しくハンドリングが機能しているかの確認をプロの目でしっかりしてから納車させていただいています。また、正しいレストレーションが実施された証として、TUVラインランド・ジャパン様(ドイツの自動車技術認定機関の日本法人)の認証を取得し、自信を持ってお客様にお届けしています」。

 山本アンバサダーの説明を聞いてコクピットに乗り込んだ板垣さんは、エンジンをスタートし、「確かに当初のフィーリングに戻っていますね」と微笑みました。「シートもいい感じです。インテリアもAピラーの内張以外新品なんですね。ドアを閉めて、購入した当時の音なので感激しました」と、少し興奮気味に話しています。レストア状況を確認された板垣さんは、MRYに勤務するマツダ社員がお見送りする中、帰途につかれました。ロードスターとの新しい思い出を育んでほしいですね。

 お見送りの後、レストアチームによるプロジェクト進捗状態などの説明を聞きました。現在納車完了した車両は計5台で、内訳はVスペシャル車両が3台、スペシャルパッケージ車が2台で、ボディ外板色はクラシックレッドが2台、ネオグリーンが3台とのことでした。また、現在6台目のレストア作業が進行中だそうです。レストアサービスの発表から、実施に至る1年間半の間のプロジェクトの推移、TUVラインランド・ジャパンによる板金ボディ修正環境を含むレストア設備への認証に至る経緯などを伺いました。復刻パーツの単品販売やその他の出荷部品のパーツ情報開示、海外ディストリビューターへの復刻パーツ供給開始など、プロジェクトが少しずつ拡大していることも説明されました。その中で山本さんは、「マツダで実施するレストアサービスそのものは、部品交換と3ヶ月近い工期をベースにしているので高価になってしまいますが、部品単位のご購入であれば多くの需要にお応えできます。まだまだ復刻パーツや適合パーツ情報が知られていないと実感していますので、NAロードスター1.6L車に長く乗られているお客様は、一度マツダのWEBサイトで”CLASSIC MAZDA”を検索していただきたいと思います。NAロードスターは全世界で45万台を販売しましたが、そのうちに日本国内には11万台を出荷しています。その中で、現在でも登録ナンバーが抹消されず、継続車検を受け続けている車体は2万2,000台あります。ぜひ末長くロードスターを愛していただきたいと思います。このまま推移し、NA 1.6L車のレストア需要が一段落したら、NA 1.8L車のレストアメニューを考えるつもりです」と語りました。

Text and Photos by MZRacing

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