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  • 2024/01/27

マツダ787B日本自動車殿堂入り記念トークショーが開催される

1月13日(土)、広島のマツダミュージアム土曜日特別開館イベント内で、昨年11月に91年ルマン24時間レースにて日本初の総合優勝を飾ったマツダ787Bの日本自動車殿堂の歴史遺産車部門選定を記念して、マツダのモータースポーツの挑戦の生き証人ともいえる元マツダスピード技術部長の松浦国夫氏、R26Bロータリーエンジンの開発に携わったエンジン設計部の清水律治氏によるトークショーが開催されました。

2022年5月のマツダミュージアムリニューアル後、毎月1回開催されている土曜日特別開館。マツダ本社のエンジニアたちから直接ものづくりの秘訣を聞いたり、大規模開催のファンフェスタでは聞けないようなクルマの開発話をじっくり聞けたりと、クルマ好きにとって、またお付き合いで来られた方も全員が楽しめるイベントとして地元広島の人々を中心に親しまれています。しかし今回は少々様子が異なり、朝から本社前駐車場には、全国各地のナンバーを付けたRX-7やファミリア・ロータリークーペなど歴代のロータリーエンジン車が集まりました。松浦/清水両氏のトークショーに対するREファンの皆さんの熱い期待が伝わります。

「ロータリーの語り部」としても活躍されている松浦さんは、「《飽くなき挑戦 パート1》REによるマツダモータースポーツ現場ひとすじ27年」と題し、マツダのレース活動の創成期から91年のルマン優勝につながるまで、世界中の現場を駆け巡った体験を1時間強に凝縮して語りました。

昨秋MX-30 Rotary-EVの発売で11年振りのロータリーエンジンの復活が話題となったことは記憶に新しいですが、入社後37年間ロータリーエンジンひとすじで関わり続けた開発エンジニア、清水律治さんは「R26B(マツダ787B搭載)開発ドキュメント~ある若手ロータリーエンジン設計者の記憶~」と題し、88年から91年に至るまでのルマン用4ローターロータリーエンジンの開発秘話を、当時の詳細な資料を用い、人間模様も克明に振り返りながら語りました。ルマン開幕ギリギリまでのエンジン耐久テストや、24時間レース中は現地と広島に残った社員たち生々しいやり取りなど、初めて聞く話に、ファンも熱心に聴き入っていました。

「飽くなき挑戦」の長い道のりの末につかみ取ったルマンの総合優勝は既に33年も前のことになりますが、松浦さんも清水さんもまるで昨日のことのように当時の事を語り、全国から駆け付けたファンは「松浦さんのお話はこれまでの講演会の記録や書籍などで内容は知っていることも多かったですが、目の前で生き生きした表情で語られる姿を見て、ロータリーエンジンに掛けた情熱をより感じることが出来ました。これまで小早川隆治さんやミスター・ルマンこと寺田陽次郎さんなどのレジェンドのお話を聞く機会は沢山ありましたが、当時の一若手エンジニアの生々しい貴重なお話が聞けて、遠方から参加した甲斐がありました」と興奮した様子で感想を語っていました。

トークショーの後は、松浦さんや清水さんとマツダ787Bのミニカーを掛けたジャンケン大会が行われ、毎回特別開館のトークショーに参加しているという大のマツダ・ファンの小学3年生の男の子がゲットし、会場は大きな拍手に包まれました。自分で描いたというマツダ787BのTシャツにサインを求められ、松浦さんも笑顔をほころばせました。

平日の開館と違い、何時間でも自由に滞在できる土曜日特別開館では、トークショーの後も、マツダ787Bのほか特別に展示されたマツダRX-7 254(1982年ルマン出場車)やマツダ737C(1985年ルマン出場車)を囲み、お二人から飛び出す思い出話を聞くことが出来るという贅沢な時間となったようです。

Text and Photos by MZRacing(S.Aso)

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