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  • 2023/03/21
  • S-Tai

MAZDA SPIRIT RACING、2台揃ってS耐鈴鹿ゴール

3月18日(土)・19日(日)、三重県の鈴鹿サーキットにて「ENEOS スーパー耐久シリーズ2023 Powered by Hankook」開幕戦SUZUKA S耐5時間レースが開催され、MAZDA SPIRIT RACINGからエントリーした55号車「MAZDA SPIRIT RACING MAZDA3 Bio concept」(Aドライバー寺川和紘、Bドライバー井尻薫、Cドライバー関豊、Dドライバー前田育男)と120号車「倶楽部MAZDA SPIRIT RACING ROADSTER」(Aドライバー杉野治彦、Bドライバー樋口紀行、Cドライバー織田祥平、Dドライバー箕輪卓也)は、それぞれST-Qクラス完走、ST-5クラス5位入賞を果たし、幸先良いシーズンインとなりました。

昨年11月に行われたシリーズ最終戦の鈴鹿5時間レースでデビューした55号車MAZDA3 Bio conceptは、オフシーズンの間に駆動系の見直しやエンジン制御などに改良が加えられ、2月23日に富士スピードウェイで行われたスーパー耐久機構による公式テストに参加。さらに走行マイルを加算するため、富士や鈴鹿で積極的に走り込みを続け、自信をもって2023年シーズンの開幕戦に臨みました。使用するバイオディーゼル燃料も昨年までのものから海外生産されたHVO(水素化植物油)をユーグレナ社から提供を受け、さらにカーボンニュートラルに向けた選択肢を広げる、あらたな燃料の取り組みに挑戦しています。一方、今回が正式デビューレースとなる120号車ROADSTERは、チャレンジプログラム「S耐への道」で選抜された、ロードスターパーティレースやロードスターカップ出身のアマチュアドライバーで構成され、21歳から64歳までのレース経験者8名が名を連ね、レースごとに組み合わせを変えて出場する予定となっています。こちらも2月の合同テストを経て、開幕戦に挑んでいます。今回は昨年のもてぎ戦以降テスト参戦している杉野と樋口に加え、タイでのレース経験がある織田、eSportsで腕を上げた箕輪の若手コンビが参加します。

18日の土曜日に行われた公式予選では、55号車がST-Qクラス4位で通過しました。前回は駆動系トラブルで予選が走れておらず、決勝レースは最後尾スタートだったので比較はできません。今回は4名のドライバー全員が予選を走り、それぞれタイムアタックしています。ベストタイムでは、性能的に近いST-4クラスに食い込む記録となっています。予選後にトランスミッションをアッセンブリー交換しましたが、既に6時間半の全開走行の後にもかかわらず、内部に損傷やそれに繋がる兆候などは一切なく、関係エンジニア達は安堵の表情を見せていました。初参戦の120号車はST-5クラス12台中の7番手で予選を終えており、上出来と言える結果でした。中でも多くの周回数を走ったタイヤで全クラス混走のDドライバー枠を走った箕輪のアグレッシブな走りは、特筆されるべきでしょう。

決勝レース日の19日は晴天となり、家族連れやレースファン約8,500名がサーキットを訪れました。朝11時にはスタート進行が始まり、全出場車53台がグリッドにつきました。暖かい日差しがサーキットの路面を照らす11時50分、FIA GT3車両を先頭に8クラスの全車が轟音を上げ、レースはスタートしました。55号車MAZDA3 Bio conceptは寺川が、120号車RODSTERはルーキーの箕輪がトップランナーです。早い時間から寺川はST-4クラスのマシンに挑み、箕輪も前後のライバルと抜きつ抜かれつの展開を繰り広げました。序盤のうちにコース上でアクシデントが発生したため、FCY(フルコースイエロー)が2回出され、その都度全車50km/hでの安全走行となり、ピットインは不可となります。さらにSC(セーフティカー)が出動されるなど、レースの行方は予想がつきません。それでも120号車の箕輪は1時間後には総合ポジションを4つ上げ、25周を走って2番手の樋口に交代しました。長いFCYからSCに切り替わるタイミングで交代した樋口は、その後SC解除となったため、わずか2周で杉野と交代することとなりました。55号車は、寺川から前田に交代。前田は、25周をトラブルフリーで走り切り、3番手の井尻にドライバーチェンジとなります。その後、120号車の杉野は29周走って織田に交代。織田は路面が荒れ出す中盤以降を走りながら、この日のチームファステストタイムを記録しています。55号車は、ラストランナーの関が終盤を受け持ち、チェッカーフラッグを受けてコントロールラインを越える予定でしたが、フィニッシュまで約40数分の時点で最終コーナーにて大きなクラッシュ事故が発生。赤旗が提示され、レースは中断となりました。その後レースコントロールからレース終了の判断が下され、競技走行は終了となりました。すっきりしない終わり方でしたが、55号車はノートラブルで完走を果たし、120号車はクラス5位に入賞するなど、実り多き開幕戦となりました。

箕輪は、「全車混走は予選でも経験しましたが、レースとなると速いクルマが次々と後方から現れ、その迫力に圧倒されました。パッシングを受けたりして緊張しましたし、進路を譲るためにレコードラインを外さなければならず、そこが難しかったです。それでもライバル達はタイムを出せているので、僕も経験を積んでそういう状況でも冷静に対処できるようにしたいです」と感想を語っていました。また、55号車の寺川は、開発エンジニアらしく、「私たちは多くをこのレースから学んでいます。レースでは、通常のサーキットテストでは想定できない入力があるなど、考えられないほどの現象が起きます。性能的に許容範囲と考えて持ち込んだものが、実際には短時間に壊れてしまう。そうしたことに対して、何度も繰り返していくことで、”想定力”と言うか、考え方の幅が広がることや、経験が開発の現場にも生きていきます。また、発生現象に対して、原因を推定して対策を考える、このサイクルにスピード感を持って臨むことで、ものすごく人を鍛えることができ、意義があります」と話していました。

次戦は、5月27日・28日の富士24時間レース。55号車、120号車はそれぞれ追加メンバーを迎え、難関に立ち向かいます。

Text and Photos by MZRacing

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