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  • 2025/10/01

KUDZU MAZDA DG4がシェイクダウン

9月29日、岐阜県内のクロースドサーキットにて岐阜県在住の実業家・國江仙嗣氏所有のレースカー「KUDZU MAZDA DLM(DG4)」がシェイクダウン走行を行いました。同車は、10月4日(土)・5日(日)に開催されるMAZDA FAN FEATA 2025 at FUJI SPEEDWAYレジェンドレーシングカーデモランに出場します。

同車は、米ジョージア州のダウニング・アトランタ社が組み上げたIMSA WSC仕様車で、マツダ20B型3ローターエンジンをミッドシップに搭載した2座席オープントップのプロトタイプレースカーです。マツダファミリードライバーの一員として長くマツダUSAのレース活動に参加してきたジ・ダウニングは、1995年IMSAシーズン向けにWSC規定のKUDZU DG3を開発。マツダスピードは、同社と連携して同年のルマン24時間レースに寺田陽次郎、ジム・ダウニング、フランク・フレオンの3名でこのマシンをエントリーしています。その結果、総合7位・LMP1クラス3位という想定外の好成績を残すことに成功しました。より良い結果を求めてカーボンブレーキシステムを採用するなどの改良を加えたのが、このDG4です。IMSA開幕戦のデイトナ24時間で総合3位に入賞し、セブリング12時間レースでも総合4位に入賞するなどポテンシャルの高さは実証済みでした。軽量シャシーの特徴を活かすためLMP2クラスにエントリーしたルマン24時間レースでは、予選で前年のDG3より6秒速いベストタイムを記録し、決勝レースに期待がかかります。23番グリッドからスタートした決勝レースでは順調に順位を上げ、10時間後の午前1時には総合12位まで浮上しました。しかし、夜が明けた午前7時にはギアボックスが悲鳴を上げ、修復のためピットガレージで長い時間を費やすことになります。2時間半後には再スタートしますが、ペースが上がらず、最終的には完走25台中の25位・LMP2クラス1位でフィニッシュラインを越えています。

その後、アトランタに戻されたこのマシンは、近年まで走行可能なコンディションが維持され、米国内のヒストリックレースカーイベントなどで活用されていたようです。電動パワーステアリングが追加され、マネジメントシステムがMOTEC社製に置き換えられていますが、いつもで走行可能な状態となっていたとのことです。前出の國江氏が、1992年製RX-792Pをダウニング・アトランタ社から譲り受ける際、このDG4も購入希望と伝えましたが、ダウニングは少し躊躇したと聞いています。ダウニング自身がルマン24時間レースを走った証として、彼のコレクションに保存しておきたかったのかもしれません。ルマンの車検通過ステッカーや箱根神社のお守りステッカーがそのままだったことが、それを感じさせます。しかし、國江氏の熱心なラブコールが功を奏し、このマシンは本年春先に名古屋港に陸揚げされました。その後、1996年ルマン仕様に戻すことにこだわった國江氏は、ヘッドライトなどを復元。リバリーも再現し、9月29日にシェイクダウンを迎えています。当時のルマンは加熱するパワー競争を抑えるため、本来なら450PSを発生する3ローターエンジンにもエアリストリクターの装着が求められ355PS程度に抑えられていました。その後アトランタに戻った際に、450PS仕様に変更されています。そのため、この個体には大型のエアインテイクがついています。

このDG4を初めて走らせた國江氏は、「ものすごくコンディションが良いと感じます。今日は小さいコースなので、2速までしか使えませんでしたが、エンジンは軽快に吹け上がり、ハンドリングも扱いやすく富士ではファンの皆さんに良い音をお聞かせできると思います」、と語っています。


Text and Photos by MZRacing

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