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  • 2023/08/05
  • OTHER(日本)

メンバー全員の成長が感じられたマツ耐筑波ラウンド、 今回デビューのルーキー組も着実に完走

昨年4月に発足したMAZDA SPIRIT RACINGの新たな活動として注目される「バーチャルからリアルへの道」。eスポーツというバーチャルな世界で活躍した人たちに、リアルの世界に挑戦するチャンスを与えるというプログラムです。すでにお伝えしているように9名のドライバーが合格。6月18日にはモビリティリゾートもてぎで開催されたマツダファン・エンデュランス(以下マツ耐)の第2戦に「バーチャルtoロードスター」という車名で、南澤拓実/加藤達彦/三宅陽大/深谷諄の4名で初参戦。結果はロードスターNDノーマルで争うクラス5(12台)で3位入賞という上々の滑り出しとなりました。

そして次のステップとして、7月30日に筑波サーキットで開催されたマツ耐の第3戦には、さらに1台を追加して2台体制で参戦。52号車「バーチャルtoロードスターS(Sは先輩という意味)」はもてぎ戦と同じ4名がエントリー。そしてもう1台の53号車「バーチャルtoロードスターR(Rはルーキーという意味)」には大谷慶大/瀬田凛/稲葉隼平/吉田航太郎の4名が抜擢されました。監督とチーム運営を務めるのは、レースでもeスポーツでも経験豊富な加藤彰彬TCR代表。「マツ耐は速いだけではダメで、燃費よくバランスさせて走らなければ、最後にガス欠してしまいます。メンバーにはこの速さと燃費をバランスさせた走りを、しっかり自宅で練習してもらっています」とのこと。実際にサーキットで走行できる時間は限られるので、その練習をeスポーツでカバーできるというのは、まさにこのプロジェクトの強みなのかもしれません。
まずは公式予選が8時から20分間行われましたが、その全部をタイムアタックには使いません。最初のドライバーが数周アタックしたら、残りのメンバーは決勝で乗る順に1周ずつして乗り換えの練習もという、決勝を見据えた戦略が取られました。結果は先輩チームの52号車は深谷がアタックしてトップと0.2秒差のクラス4位(総合も4位)、ルーキー組の53号車は瀬田がトップと1秒差の6位(総合8位)でした。52号車の深谷は「トラフィックに詰まってしまって、ベストという結果ではありませんでした。実車ではeスポーツのようにはいかないですね」とリアルでの予選の難しさを痛感。53号車の瀬田は「予想外のいいタイムで、皆さんから褒めていただき嬉しかったです」と練習の成果が出せたことを喜んでいました。

決勝は9時35分にローリングスタートで開始。52号車は三宅→深谷→南澤→加藤、53号車は瀬田→稲葉→吉田→大谷の順で、2時間30分後のゴールを目指します。52号車は経験者を集めているということもあり、途中2番手まで浮上し、トップと1秒差まで詰め寄る場面も見られるほど順調にレースを進めていきます。一方の53号車も総合8~9位前後で周回を重ねていきます。すると40周目に波乱が起きます。コースアウトした車両を回収するためにセーフティカーが導入。このとき52号車はピットインしてドライバー交代を実施、53号車はそのままコース上にとどまるという異なった戦略が取られたのです。監督に聞いてみると、「52号車は南澤に変わったばかりだったのですが、彼はアシスタント講師なのでピットに戻しました。しかし53号車はみんなに平等に乗ってもらって経験を積んでもらいたいという思いがあったので、あえてステイアウトさせました」とのこと。このプロジェクトは順位だけが重要ではなく、全員でしっかり成長していくことが重要だということがわかりました。
今回が人生で初めてのレース参戦という53号車の吉田(最年少20歳)は「レースではまわりのクルマに巻き込まれて焦ってしまい、自分のペースでうまく走ることができませんでした。eスポーツでの練習が本番に活かせずに残念ですが、次戦に向けてしっかりとチームとコミュニケーションをとり改善していきたいです」と悔しさをにじませつつ、次戦を見据えていました。そして2時間30分後に両車とも無事にチェッカーフラッグを受けました。結果は52号車がクラス2位(総合2位)、53号車がクラス9位(総合11位)と、52号車は前のもてぎ戦からひとつ順位を上げて再度表彰台に上がることができました。
「セーフティカーが入ったときの対応で優勝を逃しましたが、なにがなんでも結果を追い求めることがこのプログラムの趣旨ではありません。そんな中、52号車のメンバーはしっかり自分の与えられた任務を果たしてくれて、総合2位という上々の結果を残してくれました。53号車の方は最初は慣れていないので慎重に走って、ペースアップできたところで交代……といった感じでしたね。でも、コースアウトやクラッシュをしないという大原則をしっかり守って完走してくれたので、そこはよかったと思います」と、加藤監督は振り返りました。

この後は8月13日に大分のオートポリス、11月5日に岡山国際サーキットで開催されるマツ耐に参戦予定。合格者9名の内、まだ出場していない2名は次のオートポリス戦にエントリーするとのことです。グランツーリスモにオートポリスの設定があるので、もう他の皆さんも走り込んで練習していることでしょう。バーチャルからリアルの世界に飛び込んで成長を見せている彼らの、ますますの活躍に期待しましょう。

Text by H.Kato/T.Ishida
Photos by H.Kato/B-Sports

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