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  • 2021/11/09

30数年ぶりに復活した「マツダ737C」

そのマツダ737Cが11/20-21岡山国際サーキットで開催される
マツダファン・サーキットミーティング2021に展示が決定しました。


マツダ737Cは1982年にスタートしたFIA グループC規定のCジュニア(J)/C2クラスの属するマシンで、1983年にマツダ初のツインチューブアルミモノコックを採用した本格的グループCJマシンとなるマツダ717Cがベースとなります。主にその717Cの空力面を改良し、より競争力を高めたマシンが1984年のマツダ727Cであり、そしてロータリー13Bエンジンを搭載する最後の、そしてマツダC2マシンの集大成となるべくして開発されたのがマツダ737Cです。残念ながらマツダ737Cはルマンでは芳しい成績は残せませんでしたが、1983年から1985年までマツダはルマンにCJ/C2マシンを8台参加させ、全車完走させるという実績を残しました。また、その後に続くマツダ757からマツダ787Bまでロータリーエンジン搭載のレーシングマシンの礎となったレジェンドマシンでもあります。

今回、マツダファン・サーキットミーティング2021に展示される個体は「737C-001」のシャシープレートが示すように、1985年のルマンを走ったマシンであることが証明されおり、2021年4月に幕張メッセで開催された「オートモビルカウンシル2021」の主催者特別展にマツダ787B、RX-7 254と並んで展示されたマシンです。オートモビルカウンシルではまだ、暫定リバリーでレストアも途中の状態での展示でしたが、今回のファンミーテングに展示される仕様は、1985年にルマンに出場した当時を再現したリバリーを纏い、シャシーやエンジンも完全にレストアされたモノになり、この状態ではマツダファン・サーキットミーティング2021が本邦初公開となります。

この「737C-001」は、マツダスピードの1985年レースプログラムが終了した後、静岡マツダレーシングチームに譲渡され、数年間国内レースに参戦した後、個人オーナーに譲られた記録が残っています。その後、別のオーナーに引き継がれ、長い間保管されていたところ、現オーナーである伊藤英彦さんの手に渡り、このマシンを再生し、走れる状態にするのが縁あって巡り合えた自分の使命だと感じたそうです。

手元に来たマシンの各部を詳しく調べてみると、カウル類やフロントスクリーンなどはほぼ完ぺきな状態であり、サスペンション、ギアボックス、駆動系、計器類はオーバーホールすれば走れる状態になる事が確認できました。一方燃料ラインや電気系は根本的な再生が必要であることも確認できました。また、最大の関心点であるエンジンは、協力を申し出てくれた広島マツダの大洲工場に持ち込み、同社のREエキスパートの手によってオーバーホールされました。結果、内部はほぼ新品状態に近い状態である事が確認され、各部に適切な処置を施した後、再度組み上げられました。

とは言え、36年も前のマシンであり、各部の細かい部分の痛みや腐食は避けようがなく、コツコツと地道な修復作業が繰り返されました。特にカウル類は静岡マツダレーシングから参戦する際、リヤウイングやリヤカウル、アンダーパネル等は独自にモデファイされオリジナルとは違った形状になっていました。もちろんオリジナルカウルの図面などは残っておらず、当時の写真などからの現物合わせ作業となりましたが、ここで同車の原型となった717Cのデザイナーであるムーンクラフトの由良拓也氏から協力を得ることが出来、的確なアドバイスの基、オリジナル形状のボディワークが再現されました。更にリバリーは当時の写真を基に各スポンサーロゴの色合いやサイズを起こしていくしかなく、リバリーを担当した有志の方々の熱意と情熱によるところが大きいのではないでしょうか。ちなみにこの有志の皆さんは、RX-7 254のリバリーも担当されており、生粋のマツダレーシングマニアと言えるでしょう。

これでレストアがほぼ完成ですが、実際にサーキットを走るために不可欠なのはタイヤです。現代に1985年当時にマツダ737Cが履いていたタイヤサイズと同じまたは近いスリックタイヤはどのメーカーにも存在せず、ここがレジェンドマシンを走らせるための難しい部分でもあります。現在、英国のエイボンタイヤなど少数でオリジナルサイズのスリックタイヤを用意してくれるメーカーと交渉中のようです。

MZRacingとしても、このマツダ737CとRX-7 254が日本のサーキットでデモランできる事と、ルマンにおいて2年に1回開催されるルマンクラシックに出場できるよう、熱く応援していきたいと思います。特にルマン100周年を迎える2023年はその大きなチャンスではないかと思います。

13Bレース用スポーツキットエンジン分解オーバーホールの様子はこちら

マツダファン・サーキットミーティング2021についてはこちら

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