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  • 2023/12/05

黒子である8C REの存在感に感服。MX-30 Rotary-EVテストドライブ

師走目前の11月30日、マツダR&Dセンター横浜(MRY)において、MX-30 Rotary-EVの試乗会が行われ、MZRacing取材班もメディアの一員として参加しました。そこで、既にMX-30 Rotary-EVのEdition Rをいの一番で購入し、納車を待つばかりのロータリーエンジン(RE)研究家の浜口康志さんに登場いただき、試乗と率直なインプレッションをうかがう事にしました。

会場には7台ほどのMX-30 Rotary-EV が用意されており、MZRacingに用意された試乗車はグレードNatural Monotoneでジルコンサンドメタリックの2トーンカラーでした。試乗前に上藤和佳子主査らによるプレゼンテーションを受け、基礎知識を頭に入れてから試乗スタート。試乗コースは主に3つが推奨されており、1つは湾岸線からアクアライン経由の東関東道館山線で千葉の保田までの往復、2つめは横横道路経由で横須賀・観音崎までの往復という休日長距離ドライブ体験コース、そしてMZRスタッフがセレクトした試乗コースであるMRYから一般道でみなとみらい方面に向かい、市街地を走った後に首都高速湾岸線に乗って高速走行も体験する平日日常体験コース。それぞれ約3時間の試乗コースでMZRは浜口さんを中心に試乗しつつ、MZRスタッフもそれぞれのシチュエーションを交代でドライブ、Rotary- EVのフィーリングを満喫しました。

浜口氏、スタートして最初の一言は「乗りやすいね!」
「これまでEV車には乗ったことが無いのでどんなフィーリングなのか、これまで見聞きしてきた他メーカーのEVのインプレから事前には自分の感覚にEVのフィーリングがマッチするか判りませんでしたが、これはかなり好印象ですね。良い意味でガソリン車とあまり変わらない感覚で乗れました。RE搭載の新型車が出たらトップグレードをまず買うと決めていたので試乗なしで特別仕様車のEdition Rを買いましたが、今回の試乗によって不安は払拭できました。マツダ車の持つ優れた操縦安定性もしっかり維持されているし、加速はモーター駆動独特の立ち上がり感を示しながら1.8t弱の車重を感じさせない爽快な感じで、カタログ上の出力データから想像した以上のパフォーマンスだと思います。EVではカットすることができるはずですが、スタート時にブレーキをオフしたらスロットルを開ける前にスルスルと動き出すクリープ現象もエンジン車の様にナチュラル。回生ブレーキの作動感はRE車のエンジンブレーキみたいに効きがちょっと弱いかなと思ったけど、普段からRX-8をメインでロータリー車に乗っている自分にとってはごく自然な感じで◎。(注 回生ブレーキの利き具合はモード選択が可能でした)

MX-30 Rotary-EVの存在意義
「今回、MX-30に搭載された8Cは、ロータリーエンジンの過去と未来をつなぐとても大事なポジションのエンジンだと思います。REファンとしてはバッテリー充電用としか機能しない8CはREと認めにくい存在だと思います。でもコンパクトで高出力が可能なREはMX-30のフロントフード内の発電機やモーター、制御システムの中にしっかり収まっていて、パッと見はどこに8Cエンジンが有るのかわからないくらいの存在です。チャージモードにして8Cを強制的に始動させると極低速走行時にそのエンジン音が聞こえる程度。8CはRotary-EVにおいては黒子の存在ですが、コンパクトで低振動、高出力のREが有ってこそ、この秀逸なMX-30 Rotary- EVが誕生したのだと言えますね。黒子とは言え8Cエンジンが担う役割は大きく、存在感は半端ないですね。またこの8CがRE工場の中で生産されている事によって、13B- MSPや13B-REW等の補修用エンジンパーツ類が継続して用意ができるという事、さらに言えば、最新の加工技術が生かされた製造ラインで旧13B系のエンジンパーツが生産されるので、品質も向上している。現REユーザーにとって8CはREを乗り続けるための希望の星といえる存在でしょう。分解状態で展示されていた8Cエンジンも見てみましたが、あらゆる部分で進歩しているのが判ります。加工精度もひと昔前とは大きな違いがあります。8Cのインテークやエキゾーストポートの形状も興味がつきないですね。あの形状である理由を後で詳しく聞いてみよう。あっと、話しがそれてしまいましたが、継承されたこの技術は、これからの時代に沿った形でICONIC SPやRX-VISIONといったREファン垂涎のモデル誕生へとつながっていく事に期待したいですね。この8Cエンジンの存在があってこそ、夢は広がります。そのためにも、現REユーザーはまず、ロータリーエンジンを搭載していることをきっかけにして良いと思うので、MX-30 Rotary-EVに一度試乗してEVの世界を体感してみる事をお薦めします。EVに対して多くの方が持っているネガな領域はまず感じられないし、自分もEVには初めて乗りましたが、違和感はまったくありませんでした。街乗りすれば、RX-7やRX-8と遜色ないナチュラルなハンドリングが分かるはずです。ただ、現愛車を手放して購入するなんて事ではなく、その良さを家族や知人に伝えて、1台でも多くRotary-EVが売れる事が将来のREにとっても、エンジン補修パーツ生産存続のためにも有効な手段ですよ。もちろん、増車できる余裕があるのなら間違いなく推しの1台です(笑)」

MZRスタッフの感想も少し加えると
「システム的に同じ構造となる某社のクルマはエンジンが掛かるとがっかりするサウンドと振動が感じられるのですが、Rotary-EVにはそれがありませんね。歩行者に存在を認識させるための音もシャリシャリした安っぽいモノでないのも〇。また、その某車はスポーツ走行をしてバッテリー残量が減るとエンジンの出力不足からとたんにパワーダウンしてセーフティモードに入ってしまいますが、Rotary-EVはどうかな。8Cエンジンはそんなネガな部分が払拭されていると良いけど。ここは浜口さんの愛車で是非テストしてもらいたいね。あと乗車定員6名の仕様があれば次期愛車候補のNo1なんだけどなぁ」(注 その某車は最新モデルではありませんでしたが。念のため)

最後に試乗後、RE研究家浜口氏独自のマニアックすぎる幾多の質問に対して時間をオーバーして最後まで真摯にお答えいただいたマツダ株式会社パワートレイン開発本部エンジン設計部の緒方佳典さん、同走行・環境性能開発部の添田征洋さんに御礼を申し上げます。

浜口氏のRotary-EVが納車されたら、彼は独自の視点でいろいろと調べるのは確実だろうし、マツ耐レースへのエントリーも検討中との事。更には、既に8Cのショートエンジンまで購入済みだそうで、この後の浜口レポートにも乞うご期待です。今後もこのストーリーの続きを展開しようと思います。

Special thanks to Yasushi Hamaguchi Photos and Text by MZRacing

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