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  • 2023/11/15
  • S-Tai

55号車、12号車はノートラブルで完走。120号車はチェッカー目前で完走ならず

11月11日(土)~12(日)、静岡県の富士スピードウェイにてENEOS スーパー耐久シリーズ2023 Supported by BRIDGESTONE第7戦「S耐ファイナル 富士4時間レース with フジニックフェス」が開催され、MAZDA SPRIT RACINGから、ST-Qクラスに、55号車MAZDA SPIRIT RACING MAZDA3 Bio concept(寺川和紘/関豊/井尻薫)、12号車MAZDA SPIRIT RACING ROADSTER CNF concept(阪口良平/堤優威/前田育男)、ST-5クラスに120号車 倶楽部MAZDA SPIRIT RACING ROADSTER(上田純司/織田祥平/本多永一/菊池崚斗)が参加し、55号車、12号車はノートラブルで完走、120号車は最終ラップでのクラッシュでチェッカーを受けることが出来ませんでした。

NESTE 社製HVO(水素化植物油)バイオディーゼル燃料を使用する55号車MAZDA3は、目標として設定した300PSを達成して最終戦に挑み、スタートからノートラブルで119周で完走、ST-Qクラス3位の成績を収めました。第1スティントを務めたAドライバーの寺川は、スタート時から、常時同じST-QクラスのTeam SDA Engineering BRZ CNF Concept(CN燃料)をリードし、Bドライバーの井尻のスティントでは、一時的に同クラスのORC ROOKIE GR86 CNF concept(CN燃料)と接戦する場面も見られました。寺川をはじめドライバーたちは、「マシン自体がトラブル続きで涙を呑んだ鈴鹿の開幕戦のことを思うと、マシンの熟成は雲泥の差です。トランスミッションの信頼性を克服し制御系を変更。今ではコーナー進入から加速まで変わらないパフォーマンスが発揮できるようになりました。一戦ごとに出たトラブルをコツコツと解決できるのも、ファクトリーチームならでは。当初は『共挑』の他チームに全く及びませんでしたが、大勢の方から注目されるプレッシャーの中で一戦ごとに着実にマシンもチームも力を付け、様々な技術を高めて行けていることは、我々がST-Qクラスに挑んでいる意味を感じます。前回の岡山戦から、敢えてセッティングを変えず挑んだマシンの手応えを感じたので、来季は同クラスのTOYOTA、HONDAに追いつけるようさらなる挑戦をしたい」と声を揃えました。

12日(日)の朝に行われたメディア向けに一年を総括するプレゼンテーションが行われ、前田代表からはレースでいかに「人と技術」が鍛えられ、チームが進化したこと、将来のクルマ造りを担うエンジニアがレースを体験して成長していることが紹介されました。技術面では、MAZDA3のバイオ燃料の変遷、HVOが特に欧州では実用化され始めていること、そして、最近の「速さ」の秘密として、苦労したトランスミッションのトルクキャパシティや信頼性の向上、それに伴って制約されたパワー、トルクが解放され、300PS/530Nmを発揮できていることが紹介されました。またそのパワーを支える燃焼技術の目玉の一つとして、技術開発中の遮熱膜塗装が公開されました。ターボの過給圧をあげるため、圧縮比が落とされ、さらに最新の燃焼技術を実現するため加工されたオリジナルのSHエンジンのピストンを守り、エンジンオイルの温度上昇を抑える効果もあるようです。こうした先行技術をレースで実証実験ができるのがST-Qクラスの目的の一つです。

またガソリン代替カーボンニュートラル燃料を使用する12号車は、安定したラップタイムを刻み、車格的にライバルのST-4クラスの中ではほぼ1位をキープしました。残念ながらピット作業中の違反行為(メカニックの義務装備品の未装着)によるドライブスルーペナルティを課せられタイムロスをしましたが、マシン的には完全にノートラブルで116周を完走、クラス5位の結果を残しました。Bドライバーの堤は「サーキット入りした時は高速域でのバランスが悪く、ドライコンディションを想定してのセッティングをもっと詰めたかったのですが、予選日の雨の影響を受けてしまいました。軽量なロードスターの特徴で、上位クラスのクルマよりコーナーは速やかに攻められますが、ストレートでは離されるのが課題です。しかしコーナリングスピードなどのタイムは安定して来ました」と語ります。それでも12号車のカーマネージャー秋山耕一は、「12号車ってこんなに速かったっけ、と驚かされます。これだけの結果を出せるのはさすがプロドライバーのおかげ、というよりほかありません」。オートポリスから参戦した12号車ですが一戦ごとに課題をクリアしており、「ドライブスルーペナルティの原因となった作業ミスなども、チーム全体でしっかり反省し、次に生かすことこそが大切です」と阪口は語りました。まだ参戦を開始して3戦目のロードスターでは、オリジナル部品を継承しながら、200PS+に出力を向上、材料置換による軽量化など将来のロードスターの開発にフィードバックを活かせる開発を行っています。今後の進化も楽しみです。

ロードスター・パーティレース東日本シリーズや富士チャンピオンレース・ロードスターカップなどの経験者で最終戦に挑んだ120号車。予選時にレイン・タイヤを選んだ結果、予選順位は8位と振るわなかったものの、それが功を奏して、フレッシュなタイヤでスタートを切ったBドライバーの織田はわずか1周目で6台抜き、2周目ではクラス・トップに躍り出るというパフォーマンスを見せました。クラス1位で第2ドライバーに交代後も、毎回ドライバーが変わるというこのチームの特性上、重要課題だったドライバー・チェンジも入念な練習で克服し、「誰が乗ってもタイムが出やすいクルマ」に仕上げられたマシンで安定して周回数を刻み、十分に表彰台圏内でのレースを続けました。しかし最終ドライバーを務めた本多が、あとわずかでチェッカーというところで痛恨の単独クラッシュ。完走することが出来ませんでした。
俱楽部活動の立ち上げから長く携わって来た杉野治彦は、「活動を終えた安堵感、疲労感、不完全燃焼の悔しさ、を抱えつつも、世代を超え仲間と共に挑戦したこの一年はかけがえのない貴重な体験」と仲間への感謝の気持ちを語りました。
この最終戦で倶楽部MAZDA SPRIT RACINGチャレンジプログラム初年度の活動は終了となりますが、2024年も新たなチャレンジャーを迎えて「共に挑む」をスローガンとした活動は続きます。

最終戦も、広島のマツダ本社からも代表取締役社長兼CEOの毛籠勝弘はじめ役員たちが応援につめかけ、集まったチームメンバー全員に、この一年の挑戦に対するねぎらいと、来季以降のモータースポーツを通した豊かな人生体験に対する活動の支援を約束しました。

Photos and Text by MZRacing

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