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  • 2023/06/21
  • OTHER(日本)

バーチャルからリアルへの道に挑んだヤングガイ マツ耐デビュー戦でクラス3位を獲得!

3月15日に本サイトでお伝えしたように、昨年4月に発足したMAZDA SPIRIT RACINGの新たな挑戦として設けられたのが「バーチャルからリアルへの道」。eスポーツの世界で活躍した人たちに、実車を使ったリアルなモータースポーツに進むチャンスを与える新たなチャレンジプログラムです。2月と3月には最終選考を兼ねて「MAZDA SPIRIT RACING REAL CIRCUIT EXPERIENCE」を2グループに分けて実施。その結果、今シーズンは9名のドライバーがデビューを飾ることになりました。

待望の実戦デビューの日は6月18日。栃木県のモビリティリゾートもてぎで開催された2023年のMAZDA Fan ENDURANCE(以下マツ耐)の第2戦に、16号車「バーチャルtoロードスター」という車名でエントリーしました。監督とチーム運営を任されたのは、スーパー耐久の優勝を含む豊かなレース経験を持ち、かつeスポーツでも世界レベルの実力を誇る加藤彰彬TCR代表。ドライバーは加藤達彦/三宅陽大/深谷 諄の3名に加えて、先の最終選考でメンター(アシスタント講師)を務めた南澤拓実が加わっています。
このマツ耐という競技をざっと説明しておくと、マシンはナンバー付きのマツダ車ならば車種問わずに参加OK。ドライバーも運転免許を持っていればいいというハードルの低さが特徴です。150分間を無給油で走りきり、途中で3回以上のピットイン(1分間の停車)が義務。最大4名までエントリーできるため、団体戦のニオイが濃いグラスルーツ(=草の根)のモータースポーツとなります。ただ最近は参加台数も増えて、レベルもグングンと上昇。上位に入賞するためには、速さと燃費に優しい運転の両立が高いレベルで要求されるようになりました。

公式予選は9時10分からの20分間です。ルールでは誰が乗ってもいいのですが、16号車はまず南澤がアタック。タイムは2分32秒930で、クラス4位(総合12位)でした。彼はeスポーツも経験していますが、ロードスター・パーティレースで2021年に日本一となった実力者です。さらに決勝での乗車順と同様に、加藤→三宅→深谷と残りの3選手も1周ずつ走行。当然のように全員が事前にeスポーツで走り込んではいますが、緊張感ある中でのドライバーチェンジの練習を含めて、実車との感覚の違いを体験させることを重視したとのこと。
そして12時30分から、いよいよ決勝がスタート。予選もそうでしたが、最初に走った南澤のデータを残りの3名が共有し、それをもとに加藤監督が各ドライバーに指示を出します。リアルでの経験は浅い3名でしたが、eスポーツで鍛えたテクニックを存分に発揮。ほぼ狙った通りのラップタイムでの周回を重ねていくことに成功しました。南澤が16周を走り終えて、加藤に交替。加藤が13周、三宅も13周を淡々と走って、アンカーの深谷が12周を走り終えたところで、総合トップのマシンが150分を走り終えたため、16号車もチェッカーフラッグを受けました。
気になる結果は、決勝に出走した34台中の総合14位で、ロードスターNDノーマルで争うクラス5では3位に入賞となりました。このクラス5は12台という最大の激戦区だったので、デビュー戦で表彰台を獲得したのはまさに「アッパレ」でしょう。まず先陣を切った南澤は「タイムと燃費の両面で、新人の皆さんに目標としてもらえるデータを残せたことは良かったと思います」と役目を果たして安堵の表情を浮かべました。
今年は独自にパーティレースに出場してマイレージを稼いでいた加藤は「ゲームで練習したことは活かせましたけど、目線の違いや視界の狭さなど、やはりリアルとの違いもありますね」と振り返りました。今回の3名ではリアルの経験が一番浅かった三宅は「徐々にペースアップできたのはよかったのですが、もっとタイムを安定させたいです」と課題を見つけた様子でした。アンカーを務めた深谷は「シートスライドのポジションが遠いことに気づいて少し焦りましたが、届いたので事なきを得ました。走っている時はシンプルに楽しかったです」と笑顔で語りました。

無事にデビュー戦を終えた加藤監督は「今日はチームの全員がいい仕事をしてくれました。次からは2台での参戦を予定しているので、もっと色々なことにチャレンジしていきたいです。たとえばトレーニングの時と同じように、横滑り防止装置のDSCをONにして、どこまでOFFと同じように速く走れるかなどです。また筑波ではクラス5でも総合優勝した前例があるので、もっと上の順位も目指していきたいです」と力強いコメントを発信しました。次の舞台は7月29日、30日に筑波サーキットで開催されるシリーズ第4戦で2台エントリーとなります。「バーチャルtoロードスター」の今後の活躍に、大いに期待しましょう!

Text by T.Ishida/Photos by MZRacing

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