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  • 2023/03/18
  • OTHER(海外)

マッドマイクの4ローターMAZDA3、パイクスピーク準備進む

3月15日(水)、岡山国際サーキットには、ひときわ音量の大きなエキゾーストサウンドが響き渡りました。1月にシェイクダウンされ、その後改良が施されたマッドマイクことマイク・ウィデット(ニュージーランド)がドライブするMAZDA3レースカーが走行テストを行ったからです。

この4ローターMAZDA3の製作とメンテナンスは、兵庫県西宮市に本拠地がある「TCPマジック」が担当しました。代表の川戸泰介さんが組んだ独自の4ローターエンジンは、大型のツインターボによって最大1,400PSまでパワーアップされています。それをFR搭載するための作業には、相当の時間がかかっているはずです。1月18日に鈴鹿ツインサーキットで行ったシェイクダウンテストで明らかになった水温上昇の問題解決、ハンドリングの改善などが盛り込まれています。冷却については、リアハッチ内に設置した電動ファンつき大型ラジエターには、両サイドウィンドウやルーフ後端からの導風に加え、フロント部にサブラジエターを追加し対策しています。また、前後に適正なダウンフォースを得るため、フロントスポイラー、リアディフューザーを追加。さらにショックアブソーバーにリザーバータンク付きを採用し、コイルスプリングはハードなものに交換しています。また、これまで太いエキゾーストパイプを車体後方まで伸ばして配置するスタイルとしていましたが、車高を下げるため、思いきってボンネットから排気するショートエキゾーストに変更となっています。これらによって、ハンドリングは大きく進化したと言います。ただし、ステアリングラックの配置が悪く、長いタイロッドが使えないので切れ角が不足するという不具合が発生しましたが、これは3月第4週に輸送コンテナにローディングする前に、さらに改造することになったようです。

これら多くの改良メニューが組み込まれたMAZDA3は、この日に予定された3回の30分間テストセッションでコースに入って行きました。最初のセッションは、インアンドアウトだけで、ピットインし各部チェックをする予定でしたが、マイクはストレートを走って1周余計に走って戻ってきました。「いやー快適だね。ストレートでは多くのツーリングカーを置き去りにして走れたし、加速感は最高だね。しかし、ステアリングが厳しい。車速の高いコーナーでは快適なのに、スローコーナーでは曲げるために相当切り込まないとダメだった。改善が必要です。パイクスピークではヘアピンの連続だからです。また、水温が上昇してきたので、途中から全開走行はやめておきました」と話していました。今回は、トーヨータイヤが用意した幅広のスリックタイヤをフロント10J、リア11Jのレイズ製ホイールに組み合わせての走行となりました。これについては、「スリックタイヤのグリップ感はファンタスティック。ただし、加速を開始するスコート時にリアタイヤがフェンダーアーチにタッチするので、アーチの加工が必要だ」と語っています。

2回目、3回目のセッションも走行しましたが、それぞれ4周でピットインし走行を中断しています。水温が上昇するからです。マイクは、「今回の岡山は気温が20℃前後と高く、時に氷点下となるパイクスピークとは条件が異なるとはいえ、4分くらいの全開走行でオーバーヒートしてしまうのは問題です。せめて10分走れば、パイクスではスタートからゴールまで走り切れるはずです」と話しています。さらに、「水温とは裏腹に、コクピット内は快適でした。パイクスピークで準備しなければならないのは、標高が高くなるにつれて、酸素が少なくなるので呼吸が厳しいということ。スタート地点の標高がすでに2,800mであり、ゴール地点は4,300mにもなり、富士山より高い場所でレースをします。去年現地に赴き、登って研究してきました。どれだけヤバいのか、自分で感じてみたかったのです。多くの人が、”息もできない “と言うほどです。歩いている分には、そこまでひどくはないですが、一番上まで駆け上がると、その激しさ、大変さがよくわかります。なので、気持ちをクールに保たないといけません。パイクスピークに行くまでは、あまりテストできませんが、クルマのフィーリングはとても良いです」と締めくくりました。

マシンは一旦カリフォルニア州ロサルゼルス郊外のガレージでメンテナンスされ、近郊のレーストラックでテスト走行を走ったのち、6月初旬にパイクスピークで行われる公式テストに参加する予定です。

4RE MAZDA3岡山テスト記録動画 (YouTube 4’49”)

Photos and Text by MZRacing

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