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  • 2025/05/02
  • S-Tai

12号車、120号車はノートラブルで走り切るも55号車は完走ならず MAZDA SPIRIT RACINGレースレポート

4月26日(土)・27日(日)に三重県の鈴鹿サーキットにて、ENEOSスーパー耐久シリーズ2025 Empowered by BRIDGESTONE第2戦「SUZUKA 5時間レース」が開催され、MAZDA SPIRIT RACINGからST-Qクラスにエントリーしたガソリン代替カーボンニュートラル燃料使用の12号車「MAZDA SPIRIT RACING RS Future Concept」(川田浩史/堤優威/関豊/前田育男)は同クラス3位で、ST-5Rクラスの120号車「倶楽部MAZDA SPIRIT RACING ROADSTER」 (上田純司/南澤拓実/松原泰世/加藤達彦)はクラス4位で完走を果たしました。一方、ST-Qクラス首位を走っていたバイオディーゼル燃料(HVO)の55号車「MAZDA SPIRIT RACING 3 Future Concept」(寺川和紘/井尻薫/阪口良平)は、最終ラップに突然コース上にストップ。完走を逃しました。

パーティレース出身者のチャレンジプログラムである120号車は、3月の第1戦もてぎラウンドにエントリーしていますが、そのレースをスキップしたST-Qクラス12号車と55号車は鈴鹿ラウンドが今季初レースとなりました。3台揃ってレースウィークの水曜日にサーキットに到着したチームは、木曜日・金曜日に用意された占有走行枠を使ってセットアップを進める予定でした。しかし、55号車は走行初日に他の車両と絡んでボディワークを損傷、また金曜日にはギアボックスに不具合が発生して交換作業を行うなど多難なスタートとなりました。12号車も金曜日にはオーバーレブによりエンジンを壊してユニット交換したため、多くの時間を費やします。120号車は金曜日の練習走行で電気系と思われるトラブルが発生し、その原因究明とリペアのためドライバー達の走行時間は削られてしまいました。しかし、エンジニアやメカニックが力を合わせ、これらの問題点は金曜日のうちに解決し、土曜日の公式予選を迎えました。55号車は、昨年の最終戦から投入した空力パッケージに加え、発生するダウンフォースに見合ったシャシーのセットアップが進み、ハンドリング性能は飛躍的に進歩しているとのこと。ドライバーの寺川は、「コーナリング時にロールしようとするボディを空力で抑制し、さらにサスペンションのリバウンドストロークを調整することでとても乗りやすく、コーナリングがスムーズになっています。鈴鹿ではS字のようなコーナーでこれまで以上のパフォーマンスを発揮できるため、おそらくベストラップタイムでは3〜4秒は速くなっているはずです」、と語っていました。12号車は、今シーズンからスポーツABSを導入。ブレーキローターやキャリパー、パッドなどはこれまでと同様であっても確実なストッピングパワーを発揮し、こちらも速さの向上に寄与しています。その甲斐あって、55号車の寺川は直接ライバルの61号車SUBARU High Performance X Future ConceptのAドライバーより0.1秒速いタイムを記録。Bドライバー対決ではSUBARUに0.4秒差をつけられたためクラスポールは逃しましたが、確実に速さを身につけている印象です。12号車も昨年実績よりもほぼ1秒タイムを短縮しています。予選直前に決勝が行われたパーティレースIIIジャパンツアーシリーズの選手たちが熱い視線を送る120号車は、Aドライバーの上田がタイム計測したのち、南澤がアタックする予定でしたが、電気系統の不具合でエンジンが始動せず計測不能のまま予選が修了してしまいました。修理の結果、決勝レースへの出走は認められましたが、最後列から追い上げることになります。

4月27日、決勝日の朝は前日に引き続き快晴となりました。午前11時にフォーメーションラップがスタートし、1周ののちローリングスタートとなりました。2台のST-Qクラス車両の当面の目標は、第1グループからスタートしたライバルの61号車SUBARUに追いつくことです。55号車寺川、12号車川田は前後に並んで序盤を周回し、徐々に後続を引き離しにかかります。しかし、スタートから40分が経過した時点でシケインにてクラッシュした車両がスポンジバリアを散らしたため、今レース初のFCY(フルコースイエロー)が発動されます。5分後にFCYは解除となるものの、その後も何度か連続してFCYが出動する事態となり、55号車、12号車が築いたマージンは帳消しとなります。しかし、一方で61号車との差も一気に詰まり、55号車にとってはチャンスが到来したとも言えます。グリーンライトが点灯してFCYが解除となると、55号車と61号車はバトルを展開します。また、最後列スタートの120号車にとっても挽回のチャンスです。それまでに数台をオーバーテイクしていたルーキーの加藤は、再スタートとともに猛追をみせクラストップにまで上り詰めます。前日までトラブルに泣かされてきたチームにとっては、ビッグチャンスです。続く南澤も粘りの走りで、上位のまま3番手の上田に繋ぎます。しかし、ライバルチームも黙って見ている訳はなく、その間に27号車、65号車などベテランを擁するロードスター勢に先行を許すことに。アンカーの松原も最後まで力強い走りで周回を重ね、5時間目のチェッカーフラッグを潜り抜けました。開幕戦もてぎではマシントラブルによって完走できなかったため、この新生チームは初完走の喜びを噛み締めている様子でした。

55号車の3番手阪口は、61号車山内とのバトルを振り切ってピットインし、アンカーの井尻に交代。その後61号車もピットインして最終ランナーにドライバーチェンジしており、55号車は終盤までの間に1分以上のマージンを築いており、良いペースでに周回を重ねていたためこのままチェッカーか、と思われました。しかし、最終ラップに55号車は突然エンジンがストールし、コース上に停車しています。井尻は再始動を試みますが反応はなく、そのままリタイヤとなりました。予兆なく突然エンジンがストップしていることから、電気系のトラブルと考えられます。速さに加えてライバルとの競り合いができていただけに、残念な結末となりました。一方、12号車は、川田、堤、関、チーム代表の前田が交代でマシンをゴールに運び、ノートラブルでレースを終えています。この12号車は、次の富士24時間にはリアブレーキの強化を図ってさらにスピードに磨きをかける予定とのこと。また、55号車も発生した電気系トラブルの対策を施して臨むことになります。その成果は、5月8日に富士スピードウェイで行われるS耐シリーズ公式テストで見られることでしょう。

本年から120号車の副監督としてチームに携わっているマツダ社員の廣田賢興は、「開幕前から多くの方達の協力を得てこのプロジェクトを進めてきましたが、本日チームが頑張って完走を果たせてホッとしています。特に荒れた序盤にルーキーの加藤くんが最後尾から追い上げて、すごい活躍を見せてくれました。もちろん、南澤くんも上田さんも松原くんも踏ん張ってくれたから4位で終えることができました。この結果は、彼らの日頃の鍛錬の成果ですが、この活躍を見ている多くのパーティレーサー達にも大いに励みになったことと思います。今回もスタートするまでは色々あったのでヒヤヒヤしましたが、終わってみると最高の気分です」、と語っています。

今回、地元東海マツダ(名古屋市・大慶橋店)からメカニックとしてチームに派遣され、12号車の担当となった橋本若誠さんは、「今回初めてファクトリーチームに一員として参加させていただきました。感想としては、大所帯にも関わらず風通しが良いというか、それぞれがプロフェッショナルな動きをしていながら、横のコミュニケーションがしっかり取れていてアクトデントやトラブルに迅速に対応しているのがすごいな、と感じました。良い経験となりました。ありがとうございました」、と感想を聞かせていただきました。東海マツダからは、前座で行われた、パーティレースIIIジャパンツアーシリーズの公道検査員の派遣や、観客と触れ合う体験ブースの出展等、この鈴鹿大会に積極的に参加していました。マツダの販売店として、積極的にモータースポーツに参加したり、ドライビングを楽しむお客様のサポートをしていく体制を強化しており、今回はその勉強も兼ねての積極参加となったようです。さらに東海マツダが採用する整備士内定者らも視察に来られ、初めてのレース観戦に興奮した様子で、モチベーションを高めたことでしょう。

次回第3戦富士24時間レースは、5月30日(金)〜6月1日(日)に富士スピードウェイで開催されます。

Text and Photos by MZRacing

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