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  • 2023/01/08

エイトリアン、執念の筑波1分切りを達成

マツダファンで筑波サーキットや岡山国際サーキットで行われるファンミーティングや走行イベントに参加されたことがある方であれば、一度は「エイトリアン」の名を耳にしたことがあるでしょう。2022年暮れの12月27日、そのエイトリアンがこだわり続け、挑み続けた筑波サーキットTC2000におけるタイムアタック記録がついに、1分を切った、というニュースが飛び込んできたのです。レコードタイムは59秒872。NDロードスターパーティレース仕様なら1分9秒台がコースレコードで、V6 3.8LターボのR35 GT-R(570 PS)をプロドライバーがアタックしても1分1秒台がベスト(参考webカートップ)です。いかにエイトリアンのタイムが凄いかがわかります。MZRacingでは、早速彼にコンタクト。このレコードブレイクについて、質問しました。

「エイトリアン」は、福島県出身のITサービス提供者で、普段はパソコンに向かって黙々と仕事をするサラリーマンです。愛車は、RENESIS 13B-MSPロータリーエンジンを搭載するマツダRX-8前期型マツダスピードバージョンで、タイムアタックと聞けば筑波や岡山にとどまらず、もちろん富士スピードウェイや鈴鹿サーキットにも出かけていき、己と愛車のドライビング限界に挑んできました。それが高じて、RX-8オーナーばかりが集まるエイト祭や、ワンメイクタイムアタックイベント(時にレース形式が設定されることもある)であるエイトリアンカップをシリーズで主催するほどの情熱家です。さて、エイトリアンのコメントを見てみましょう。

「私がタイムアタック競技にハマったのは、かつて、ブレインズモータースポーツさんが開催していたマツダスピードカップ(MSCT)にRX-8で出場し、表彰されタイムを狙ってサーキットを走ることの楽しさを感じたのが始まりです。何が私を駆り立てているかとの質問ですが、単純に面白そう、楽しそうなことをやりたい、というのが大きなモチベーションです。それから、あまり人がやっていないこと、前人未到、という言葉が大好きです。エイトリアンカップというRX-8ワンメイクのタイムアタックイベントを主催していますが、すでに18年間継続し、先日85回目を迎えたことや、2019年には自分のRX-8をオーストラリアに輸出し、World Time Attack Challenge(WTAC)に出場したり、オーナーズミーティングを開催したりしたこと等が挙げられるかと思います。今回のRX-8の分切りというチャレンジも、もちろんその一環です」

■エイトリアンのRX-8タイムアタックマシンの進化プロセスについて
「2004年にこのクルマを購入し、現在26万キロの累積走行にもなっていますが、基本的にはマツダスピードバージョンのRX-8のスタイルを崩さないで進化させてきました。基本的にはRE雨宮さんでのチューニングを中心に、スクートスポーツさんでサスペンションや脚周りのセットアップなどを実施しています。エンジンはRE雨宮さんで、サイドポートチューン+ECU、給排気も全てRE雨宮さんです。ナンバー付きにこだわっており、必要以上の軽量化は危険性が高まるためNGとし、また、快適性を大きく損なうエアコンの撤去などもせず、後進の方が容易に真似できる、真似しても安全なクルマを目指しています。また、キレイなクルマづくりにとにかく拘っており、速いクルマは見た目もキレイ、というコンセプトを崩していないつもりです。サラリーマンなので、クルマに掛けられるお金にも限界があります」

■筑波1分切りに至った挑戦ストーリー
「2019年にラジアルタイヤで筑波サーキット1分00秒964というラップタイムを刻みました。それまで、2秒台、1秒台も含め、大台を全て自分自身が最初に記録を塗り替えてきたんです。2020年1月からタイヤをSタイヤに変更し、59秒台を狙って挑戦をし続けてきました。しかし筑波の59秒は全く甘い世界ではなく、結果を出すまでに2年と11ヶ月を必要としました。それまでかなり紆余曲折あり、タイヤやセッティング、そして自身のスキルアップなど、とにかくこの結果を出すためにすべてを費やしてきました。湾岸ミッドナイトの世界から引用するならばこうでしょう。『あとコンマ1秒、もうあと0コンマ1秒・・いつもそれだけを考えていた。それ以上のコトなんて、何もないと思っていた』 タイムは単なる数字/結果でしかありませんが、そこにはたくさんの人たちの血と汗と涙が刻まれています。私の今回の結果も、月並みではありますが、自分ひとりで出せた数字では全くなく、ここに至るまでに多くの人たちの支えがあったのは言うまでもありません。サーキットでいつもサポートをしてくれる「緑の彗星(?)」さん、チューニングをしていただいたRE雨宮さん、脚周りのセットアップを行っていただいたスクートスポーツさん、走りのアドバイスを常にしていただいたTCR JAPANさん、ご支援してくださったプロジェクト・ミューさん、プレミアム・ジャパンさん、ガレージヤマグチさん、分切りを応援してくださっていたRX-8の仲間たち、そしてなによりも家族に対し、感謝の気持ちは尽くせません。苦しいことも多く、何度も心が折れかけましたがなんとか達成できたことを本当に嬉しく感じています」

これを読んで、皆さんは何を感じますか。ワールドカップを目指すサッカー少年、箱根駅伝で区間賞を虎視眈々と狙う韋駄天小僧、MLB入りを目指して辛い千本ノックに耐えている子供たちと同じようなエネルギーを感じますよね。こうして一度決めた目標に向かって自分が持てる力、時間の全てを投入すれば、夢は叶うということです。エイトリアンのクルマは、法規の範囲の中で育て上げたナンバー付きロードカーです。過給機を持たないRX-8が筑波TC2000で60秒の壁を破れるとは誰もが考えていなかったはずです。ただし、エイトリアンただひとりを除いては。

Text by MZRacing, Photos by MZRacing, Eightlien, fu.ta. and @hajilog

[参考動画]
NAのRX-8で筑波サーキット(TC2000)1分切り達成59秒872
By Eightlien YouTube 3’55”

究極のRX-8を目指す! エイトリアンの戦い
クルマで遊ぼう 大井貴之Sports Driving Labo YouTube 17’49”

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