MZRacing マツダモータースポーツ情報サイト

ニュース

  • 2016/04/07

マツダのトップガンがインタープロトシリーズに出場

2016年4月2日から3日にかけての週末、おなじみのソウルレッドにペイントされ、「人馬一体」のロゴが刻まれたスポーツカーが富士スピードウェイを走る姿に、心ときめいた人もいることでしょう。しかもドライバーのひとりはマツダ社内では知る人ぞ知る実験ドライバーのトップガン、佐藤政宏さんで、もうひとりも広島が生んだトップレーサーの桧井保孝さんです。
ただし、ゼッケン55番の「人馬一体ドライビングアカデミー号」はマツダ車ではありません。1995年に日本人ドライバーとして初めてル・マン24時間レースで優勝した関谷正徳さんが発起人となって開発されたオリジナル車両で、その名も“Kuruma”。V6の4Lエンジンを運転席の背後に搭載したミッドシップの2シータースポーツです。

このKurumaを使ったワンメイクレースとして、インタープロトシリーズ(以下IPS)は2013年に誕生しました。アマチュアとプロが交互にステアリングを握り、もっぱらドライバーの腕で勝負を決めるレースです。そのためKurumaはパドルシフトこそ備えていますが、もはや多くの市販車で標準装備されているABSすら付いていません。電子デバイスに頼った運転では真の上達が望めないからです。
アマアチュアがプロと一緒のチームで戦うというのも、IPSの特徴です。観客にとっては一流のプロがどれほどの実力を見せてくれるのか、楽しみです。そしてアマチュアはプロとの違いをデータロガーでも知ることができ、レースに参加すると同時に高いレベルのドライビングを学ぶ絶好の機会となっています。今回、55号車の人馬一体ドライビングアカデミー号は、アマチュア(ジェントルマン)に佐藤さん、プロフェッショナルに桧井さんがエントリーしました。

4月2日、富士スピードウェイに来場したマツダの藤原清志専務執行役員にお話を伺うことができました。「参戦の目的は、ずばりマツダ社内のテストドライバーの人材育成で、トップガンの力量を競争や緊張のなかで引き上げていくことです。将来を見据えると、当社の三次や美祢の試験場で鍛えられるレベルを超える経験も必要でしょうし、正直最近はFD3S RX-7など自前のテスト車両の在庫やコンディションにも苦しんでいます。ニュルブルクリンクへの挑戦も検討しましたが、費用の面や日程的な負担も考えて、このシリーズへの参戦という結論に至りました。ドライバー以外にメカニックなどの派遣も含めて、来年以降も継続していきたいと思っています」とのことでした。

さて、IPSでは1回の週末で決勝を4レースも戦います。初日にはジェントルマンとプロフェッショナルの予選アタックと、ジェントルマンの決勝第1戦を開催。そして2日目にはジェントルマンが決勝第2戦を戦ったあと、プロフェッショナルの決勝レースは第1戦と第2戦を連続して行うという、タイトなスケジュールが組まれています。
予選結果は佐藤さんが2分3秒664 で、9台中の7番手タイム(路面は_セミウェット)。徐々に一部がドライになるなか、桧井さんが1分55秒409で8番手タイムだったのですが、その予選の終盤にトラブルが発生。急遽ミッションを載せ替えることになりました。なんとか作業を終えて55号車はスターティンググリッドに並んだのですが、やはり戦える状態までには修復が完了せず、初日のジェントルマン決勝第1戦への出走はかないませんでした。

翌日は朝からあいにくの雨模様。佐藤さんはメディア対抗ロードスター4時間耐久レースの出場経験はあるものの、スポーツカーによるスプリントレースは今回が初めてで、Kurumaでフルウェットの路面を走った経験もありません。初日の第1戦を欠場したため、最後尾グリッドから12周または25分の第2戦に臨みました。なおスタート方式も変更され、セーフティカーの先導で始まることとなりました。
4周にわたる隊列走行のあと、いよいよ戦闘を開始。佐藤さんもライバルたちを追ってチェッカーを目指します。途中、先行するマシンがスピンしたのを避けるため、やむなく自分もコースアウトすることを選択しますが無事に復帰。アクシデントの結果とはいえ、9台中の7番手でゴールすることができました。そして桧井さんもプロフェッショナルの第1戦を8位で、同じく第2戦を7位で完走を果たしています。

戦い終えた両ドライバーにもお話を伺いました。公式には車両開発本部・自動車試験場のシニア・スペシャリストという佐藤政宏さんは、マツダの社内で4人しかいないというトップガン。後輩のテストドライバーたちにはもちろん、役員やエンジニアたちにも運転を教えることが多い立場です。「テストドライバーは、お客様がふだん運転するように走らせることができないといけません。しかし、レースのなかでコンマ1秒の違いを評価できることも重要だと思います。トヨタさんのニュル挑戦やフェラーリがF1で培ってきたものを考えると、そういう機会が欲しいなというのが本音でした。正直まだ怖さが先にたっていますが、走り込んでいくことで感じ取ることが増えれば、将来にきっと生かせると信じています」と語ってくださいました。
桧井さんは「今年は岡山で別のシリーズ戦にも参加することになり、久しぶりに真剣勝負を楽しんでいます。マツダは大好きだし、もちろん地元だし、ふたつ返事で引き受けました。開幕までのテストが十分にできなかったので、次からはもう少し、タイムも順位も上げていきたい」と、力強くコメントしていただきました。

富士スピードウェイを舞台に年間4ラウンドで行われるIPS。次なる戦いは6月25日から26日にかけての週末に開催される、第3戦と第4戦となります。

【参考リンク】
>>> マツダのトップガンがインタープロトシリーズに出場
>>> インタープロトシリーズでマツダの佐藤政宏が3位入賞
>>> インタープロトシリーズ公式サイト www.interproto.jp

Photo by T. Ishida & IPS

PAGE TOP

©  MZRacing. All Right Reserved.

サイトマップ