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  • 2025/06/05
  • S-Tai

富士24時間レース MAZDA SPIRIT RACINGは3台揃って完走

5月30日(金)から6月1日(日)に開催されたENEOSスーパー耐久シリーズ2025 Empowered by BRIDGESTONE第3戦「富士24時間レース」にMAZDA SPIRIT RACINGから出場した12号車「MAZDA SPIRIT RACING RS Future Concept」(川田浩史/関豊/堤優威/佐藤考洋/箕輪卓也)、55号車「MAZDA SPIRIT RACING 3 Future Concept」(寺川和鉱/阪口良平/井尻薫/前田育男/桂伸一)、120号車「倶楽部MAZDA SPIRIT RACING ROADSTER」(上田純司/加藤達彦/吉田恭将/南澤拓実/松原泰世/久米田昴)の3台は、それぞれ24時間レースを走り抜き、揃って完走を果たしました。

24時間レース開幕に先立ち、ENEOS製の新燃料の採用について、ENEOSと自動車メーカー共挑各社との会見が開かれました。ENEOS製低炭素ガソリン(E20)と呼ばれるガソリン代替の新燃料は、バイオエタノールを20%ほど従来のガソリンに混合した燃料で、将来、日本国内での普及が期待されています。今回の富士24時間レースでは、TGRR 86 Future FR Concept, SUBARU High Performance X Future Conceptとともに12号車のMAZDA SPIRIT RACING RS Future Conceptがこの新燃料で挑戦していきます。

12号車は、前回鈴鹿大会よりスポーツABSを装備してブレーキのコントロール性を高め、今回はさらにリアブレーキを効果的に使うためリアにもベンチレーテッドディスクを採用しています。また、24時間を走り抜くためのゲストドライバーとして、自動車専門誌TIPOの佐藤考洋編集長と昨年も12号車をドライブした経験を持つ箕輪卓也の2名を追加登録しています。マツダ社員ドライバーの川田浩史は、「3週間前の富士公式テストで走行した仕様のままですが、路面グリップの差なのか少しフィーリングが変わった感があります。ややピーキーな(スイートスポットが狭く神経質な)セットアップになっているのですが、全員が乗りこなせているのであまり心配していません」、とコメントしていました。それでもドライコンディションで迎えた公式予選では、Aドライバー川田もBドライバー関と共に公式テストのベストタイムより約1秒速いタイムを記録しています。

55号車は、前回の鈴鹿レースを快走しながら最終ラップにコース上に停車するトラブルがあり、今回は制御面の対策をインストールしたECUを装着しています。それ以外は、やはり富士公式テストで試した仕様のままで公式予選に臨んでいます。Aドライバーの寺川は、「ダンパーのセットアップを決勝レースに合わせてチューニングしており、乗りやすい仕様になっています。プロドライバーの阪口さんもゲストドライバーでモータージャーナリストの桂さんもご機嫌なハンドリングだと言ってくれています。決勝では安定して走れる自信があります」、と語っていました。公式予選では、Aドライバー寺川、Bドライバー阪口共に公式テストより約2秒タイムを縮めることに成功しています。

120号車は、チームリーダーの上田をAドライバー登録し、今年から加入した加藤、吉田、南澤の3名に2年目の松原と久米田を加えた6名体制でこのレースに臨みます。中でも昨年のロードスター・パーティレースIIIジャパンツアーでチャンピオンとなった加藤は、初めての24時間レースながらBドライバーとしてフレッシュタイヤを使った予選タイムアタックを任されています。eスポーツからステップアップした加藤は、シミュレーションゲームで身につけたドライビングテクニックと知見やデータを活かして予選に臨み、Aドライバー上田のタイムとの合算でST-5Rクラス7台中5番手の結果を手に入れました。

決勝レースは、強い雷雨により1時間ディレイして始まりましたが、雨量が多かったためセーフティカー(SC)の先導によるSCラップが5周続きました。55号車は第2グループ6番目グリッドから水飛沫をあげて走り始めましたが、2周目のホームストレッチには戻らず途中で止まっているらしい、との情報が入りました。ドライブしていた阪口はのちに、「SCラップ1周目の300Rあたりで急にパワーダウンし、Bコーナーから先は勾配がのぼれず減速し停車してしまいました。リペアエリアに牽引されていきましたが、パワーユニットごと交換することになりピットまで戻されることになりました」、と語っています。ノートラブル完走を目指していたチームは落胆する暇もなく、リペアしてマシンをコースに戻す決断を下しています。
6周目にSCがコースを離れると各車スロットルを開けて加速し、日曜日午後3時のゴールを目指します。その後雨足は急激に弱まり、約1時間後にはどのチームもレインタイヤからスリックタイヤに交換しています。12号車は堤がスタートし、途中タイヤ交換と給油した後も交代せず、2時間50分後に佐藤にバトンタッチ。120号車は、24時間レースを経験している吉田がスタートし、上田、松原と繋いで序盤戦で堅実に周回を重ね、順位をひとつあげてクラス4位でナイトセクションに入りました。周囲が暗くなった午後8時に恒例の花火が打ち上げられましたが、花火の煙がコース上に滞留して視界を遮ることとなり、SCが出動することに。その後、代わって霧が充満することとなり、再びSCラップになります。8時50分に55号車はようやくコースに戻ることができました。午後12時には、総合39番手スタートの12号車は総合29位に上がり、120号車はクラス2位に浮上しています。さらに夜半過ぎには視界不良の中、Aコーナー手前で大きなアクシデントがあり、施設補修のため赤旗レース中断に発展。その後はレース再開してはFCY(フルコースイエロー)またはSCが発動され、レースは停滞します。早朝4時50分には濃霧となり、ついには2度目の赤旗中断となりました。しばらくの間、主催者は様子を見ていましたが7時まで状況は変わらず、2時間以上にわたり全車ホームストレッチ上に整列したままでした。その後暖機時間が設けられ、7時半になってSC先導による再スタートとなりました。その後の天候は安定しています。
安定したラップタイムを刻んでいた12号車でしたが、午前10時25分頃、川田が走行中の最終コーナーにて目の前でスピンしたマシンと接触。左ドアを壊してピットインしています。修復に30分を要したものの、ドア以外の部分にダメージはなく、交代した箕輪はすぐにペースを取り戻して周回を続けることができました。クラス2位を快走する120号車から降りた吉田は、「リアだけニュータイヤという組み合わせで走り出しましたが、アンダーステアがキツかったです。でもそういう状況はありうるので、練習しておくべきだと感じました」、と語っていました。次に乗った南澤は、「クルマは絶好調です」と伝えて最終ランナーの加藤にステアリングを託します。クラス2位をキープしていた120号車でしたが、気がつけば610号車KOSHIDO RACINGロードスターがヒタヒタと迫ってきました。ルーキー加藤と対峙しているのはGTドライバーの柴田優作です。ペースはほぼ同等。加藤は最後までポジションを守ることができるか、と思われましたが計算上の燃料が足らずピットインしてスプラッシュ給油を受けることに。その間に610号車に先行を許し、3位でフィニッシュラインを走り抜けました。
12号車は500周を走って総合27位、復活したのちはトラブルフリーで走り続けた55号車は最後尾の総合53位でフィニッシュ。2台並んでチェッカーフラッグを受けました。12号車は不可避のアクシデントを除けばノートラブルでした。レースを終えたチーム代表の前田育男は、「このレースウィークはいろんなことがありましたが、チェッカーを受けた後の感激はやはり格別です。みなさん、よく頑張ってくれました。ありがとうございました」、と3台のエンジニア、メカニック、そしてスタッフ全員に労いの言葉をかけていました。また、今回12号車チームのスタッフとして参加した静岡マツダ富士宮店サービス課の佐野健太さんは、「ピットクルー体験として参加しました。初めてでしたが、ピットボードを提示する役割を与えられ、責任も重くとても大変でした。しかし、想像以上の良い経験になりました」、と語っていました。

富士24時間レースでは、サーキットに来られたお客様にレース以外でも楽しんでいただけるよう、様々なイベントが開催されていました。マツダでは、グッズショップに加え、カーボンニュートラル科学館コーナーにて、「排気ガスからCO₂をキャッチ」というテーマで、エンジン付きラジコンを使って、排ガスに含まれる二酸化炭素、CO₂を吸着材で取り除く体験デモを実施。お子さんにもわかりやすい説明も好評のようでした。 この技術は実際に55号車MAZDA SPIRIT RACING 3 Future Conceptに搭載準備が進められており、シーズン後半で投入されるとのこと。期待しましょう。

Text and Photos by MZRacing

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