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  • 2025/10/31
  • S-Tai

12号車MAZDA SPIRIT RACING RS Future concept、Gr.2総合5位

10月25日(土)・26日(日)に岡山県美作市の岡山国際サーキット(1周3.703km)にてスーパー耐久シリーズ2025 Empowered by Bridgestone第6戦「SUPER TAIKYU in OKAYAMA」3時間レースが行われ、ST-Qクラスに出場した12号車MAZDA SPIRIT RACING RS Future concept(川田浩史/堤優威/関豊)は、31台が出走したGr.2の総合13位から決勝レースをスタートし、総合5位でフィニッシュしました。また、今回が今シーズン最終戦となるST-5Rクラスにエントリーした120号車倶楽部MAZDA SPIRIT RACING ROADSTER(上田純司/吉田恭将/久米田昴/南澤拓実)は、クラス6位で完走を果たしました。

晩秋の岡山は、日中はまだ暖かさが残るものの、朝晩は冷え込みます。このレースウィークも金曜日までは穏やかな天候でしたが、土曜日から厚い雲が垂れ込めるようになり、特に決勝レースは不安定な路面状況に祟られることとなりました。土曜日は午前中にドライコンディションで練習走行が行われ、日曜日の決勝レースがドライとなることを想定し、各チームともマシンのセットアップを行っています。12号車RS Future conceptは、第3戦富士24時間以来のレースです。長いインターバルの間に、チームは12号車のアップデートを実施し、競争力を上げての登場となりました。具体的には、フロントバンパー下にカーボン製スプリッターを装着し、これまでより強いダウンフォースが得られるようになっています。カーボン素材は前例に従いSUBARU航空宇宙カンパニーから提供を受けたものとなります。また、増大するフロント部のダウンフォースとバランスさせるためリアウィングのステーを改良し、リアにも相応のダウンフォース負担を掛けています。また、車体各所にセンサー類を追加して走行データ解析をより緻密に行い、セットアップの効率向上を実現しています。練習走行時にルーフに取り付けていたピトー管(空気の流速を計測するセンサー)やシャシーの前後左右に取り付けた車高センサーなどがそれです。ドライバーの川田は、「空力セットアップの幅が広がり、コース特性に合わせた前後空力荷重の適正化が図れるようになりました。これによって、12号車は見違えるように速くなっています」、と語り、担当エンジニアの柏昇吾は、「これまで12号車はフロントがややリフト気味だったので、今回の仕様はドライバーからも好評を得ています。中高速コーナーでの安定感・安心感が高くなっているはずです」、と頬を緩めていました。土曜日午後に行われた公式予選は、曇り空ながら時折弱い雨が路面を湿らせるコンディションとなりました。それでもBドライバーの堤は、格上のST-2クラストップグループと同等のタイムで走り、Aドライバー川田のベストタイムと合算し12号車は総合13番手のグリッドを手に入れています。一方、120号車はAドライバー上田とBドライバー吉田のベストタイム合算により、クラス7番手から決勝レースを走ることとなりました。

日曜日は朝から雨模様。ピンポイント天気予報では、レーススタート予定の朝8時半前後に雨は止み、次第に気温も上がっていくということでしたが、実際にはスタートしてもしばらくは弱い雨が降り続け、路面状況はなかなか好転しません。競争力が上がった12号車は、「Gr.2レースをトップフィニッシュすることが目標です」(川田)と話すように、特別な作戦を取りました。スタートドライバーの堤が、2回以上義務付のピットインの1回目を早期に終え、終盤に再度乗り込んで挽回を期すこととしました。決勝レースはセーフティカー(SC)スタートとなり、路面を覆う雨量が多くSCランは長引くかと思われました。そのため、堤は1周目にピットインして交代しています。しかし、意外にも2周終了時にSCはピットレーンに戻ってきています。そのため、川田はST-5RとST-5Fの車両を順番にパスしていく必要がありました。序盤タイヤが温まっていない間は、コースアウトしそうになりながらも川田はプッシュ。順位を上げながら快走し、47周目にピットイン。スリックタイヤに交換して再び堤がコースインしました。残る48周を攻め続けた堤は、ST-2クラスの上位陣をも脅かし、95周目に総合4位に0.9秒差の5位でレースを終えています。

チーム監督の木田努は、「今日は文字通り最後尾からの追い上げでしたが、ウェットからドライに変わる難しいレースに上手く対応できたと思います。チャレンジ目標としてGr.2トップチェッカーを掲げていましたが、本当にもう少しのところまできましたので、ファンの皆様にも楽しんでいただけたのではないでしょうか。2.0L NAエンジン搭載車がこの岡山で1分39秒台(予選)を記録するのは驚異的なことだと思います。振り返ると、今シーズン導入させたものが全て上手くかみ合ってタイムアップにつながっています。レース用ABSシステム、リア・ブレンボブレーキの採用、エアロデバイスのアップデート、エンジン出力アップや今回の走行データ計測システムなどです。それぞれの担当が素晴らしい仕事をしてくれた結果です。最終戦ではどんなパフォーマンスを見せてくれるか、今から楽しみです」、と語っています。 120号車のドライバーラインアップは、このレースで一旦解散となります。そのため、今回ドライバー登録している4名のほか、加藤達彦、松原泰世のふたりもサポートスタッフとして参加していました。決勝レースは、今回初めてBドライバー登録となった吉田です。雨量が多く、視界確保もままならない序盤から吉田は積極的に上位車を追い、30分後にはクラス4位に、1時間後には同2位に上がる活躍を見せました。48周を走って久米田にバトンタッチ。久米田はタイヤを短時間に温めてAドライバーの上田に交代すると、アンカー上田もハイペースで周回を重ねます。しかし、2位表彰台を確信していたチームに競技団から2周減算ペナルティが告げられました。Bドライバー吉田の乗車時間が規定を3分間オーバーしているのがその理由であり、この時点でポディウムフィニッシュの願いは水泡と化してしまいました。クラス優勝した88号車ロードスターから1周離されたものの、2番手でチェッカーフラッグを受けた120号車でしたが、最終リザルトは6位と記録されています。

副監督の廣田賢興は、「吉田で引っ張る予定はなかったのですが、読めない天候の中、ウェットタイヤでギリギリまでタイヤ交換を遅らせてドライタイヤに交換する作戦を取りました。路面温度も低くラインを外すとまだ危ない状況だったので、久米田は上田のためにタイヤをしっかり温めてくれました。スタート担当の吉田は、7位スタートで2位まで押し上げただけでなく、雨の中他車のオイル漏れや前の週にあったフォーミュラドリフト大会のラバーが路面に残る中、完璧な仕事をしてくれました。ピットストップタイミングもパーフェクトで、一時はクラストップを走行していただけに乗車時間3分超過のペナルティは本当に残念なミスとなりました。大いに反省しています」、と語りました。120号車は、開幕戦茂木ではマシントラブルでリタイヤだった他は、第2戦鈴鹿は4位、第3戦富士では初の表彰台3位を獲得。第4戦SUGOで初のクラス優勝を遂げることができました。最後はリザルトこそ残念な結果ではありましたが、走りのクォリティは相当レベルが高かったと言えるでしょう。6名のドライバーたちの表情は、決して悲観的ではなく、達成感に満ちているように見えました。

今回12号車のヘルパーメカニックとして、地元岡山マツダ豊成店サービスエンジニアの亀川博史さんがチームに参加しました。亀川さんは、「これまでスーパーGTなどの観客としてサーキットに来たことはありましたが、ピットの内側からチームの一員としてレースに直面する機会がやってくるとは夢にも思いませんでした。しかし、プロのメカニックさんたちの仕事ぶりを見ていると、安全に確実にを心掛けて動作しているのが手に取るようにわかり、私たちもお客様のおクルマに対し日々真剣に安全と確実を意識しているので、プロの仕事の本質はいずれも変わらないものだ、と感じました。私の中で、社会人として大きな一歩を踏み込む経験になったと思いますし、改めて私もクルマが大好きなんだと認識し直しました」、と感想を語っていました。


Text and Photos by MZRacing

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