MZRacing マツダモータースポーツ情報サイト

アメリカンレース

  • 2021/02/01
  • IMSA

マツダRT24-P、デイトナ24時間で奇跡の3位入賞

2021年IMSAウェザーテック・スポーツカー選手権開幕戦のデイトナ24時間レースが、1月30日・31日にフロリダ州デイトナインターナショナルスピードウェイで開催されました。マツダUSAモータースポーツからエントリーした55号車マツダRT24-P(オリバー・ジャービス/ハリー・ティンクネル/ジョナサン・ボマリート)は、マイナートラブルのため一時トップから3周遅れとなりましたが、終盤に同ラップに追いつき、最終的には首位を争いながら3位でフィニッシュすることとなりました。

 前週のポールアワード予選レースで2番手タイムを出していた55号車は、この日15時40分のローリングスタートではポールポジションの31号車キャディラックとともにフロントロウからフラッグタワー下を駆け抜けることになっていました。しかしあろうことか、ドライバーのジャービスがフォーメーションラップに向けてスタートする際にギアセレクターが作動せず、マシンは動けませんでした。ピットクルーたちには最悪の事態がよぎったことでしょう。しかし、リセットしてシフトすると今度は正常に作動し、スタートすることができたと言います。しかし、すでにフォーメーションラップは始まっており、最後尾から追い上げることになったのです。しかし、GTクラスで混乱があり、レースがスタートした直後に早くもフルコースイエロー(FCY追越禁止のセイフティカー先導周回)が発動され、それに助けられて9周目には7位でDPiクラスに追いつきました。しかし、約40分後に行った最初の給油ピットインの際にピットレーンの速度違反が指摘され、ピットアウト後に再度ピットインレーンに向かうドライブスルーペナルティが課せられてしまいました。このように序盤につまづきがあったものの、速いペースで周回するうちに、2時間経過後には一時5位までポジションアップ。日没から深夜に至る時間帯はトップグループと同ラップを走っていましたが、日付が変わった2時過ぎ、テールライトが切れかかっていることが指摘され、ピットで修理することに。壊れた部分を補修し、テールピースをアッセンブリー交換したことで6分をタイムロス。トップグループとの差は約3周に広がります。

 深夜の時間帯は、非番のドライバーの疲労回復を促すため、ひとりが4ステイント約160分を連続走行するシフトに切り替えました。その間も3人のドライバー達はあきらめず、少しでも前車との差を縮めるべく速いペースを維持しました。また、コースのあちこちでクラッシュやコースアウトが相次ぎFCYが出動されるものの、トップグループとの間にバックマーカーを挟むためなかなか彼らに追いつくことができません。それでも明け方のスティントを担当したティンクネルはトップグループよりも時に2秒も速いラップタイムで走り、ついに3周差から2周差に縮めます。その後、ピットインの際にフロントブレーキアッセンブリーを交換すると、さらに速いペースで先行車にプレッシャーを与えました。

 午前10時、5位を走行していた31号車キャディラックがピットを離れ、修理のためガレージに戻っていきました。ギアボックスのトラブルとのことです。トップグループは例年以上に実力が伯仲し、トップから5位までが同一ラップにひしめき合っていましたが、気温が上がるこの午前中の時間帯にトラブルを抱えるマシンが出てきたようです。代わって5位に繰り上がった55号車は、ついにトップグループから1周差にまで上がっていきます。スピードウェイ上空は晴れ上がり、午後には20度を超えると予想されていました。各チームとも我慢のしどころです。その後、FCYが発動されると、2分以上あったトップとの差は約1分に縮まっています。10時29分のレース再開と同時にボマリートがコースインしていきました。

 日曜日のお昼を過ぎ、気温は既に24度。レースは残すところ3時間余りとなりました。12時19分にボマリートからジャービスにバトンタッチ。01号車キャディラックが60号車アキュラを交わしたため、5位を走る55号車の目下の標的はアキュラとなりました。両車同等のラップタイムなので、なかなか差は埋められません。トップは10号車アキュラ、11秒差に続く48号車キャディラックの最終ランナーは小林可夢偉が担当。続いて01号車、60号車、55号車というオーダーで終盤のクライマックスへと進行していきます。そして、01号車のタイヤバーストによって13時15分にまたしてもFCYが発動され、同一周回のトップ5は差が一気に縮まります。18分後にグリーンフラッグが振られた時、信じられない光景が見られました。55号車が4番手からスーパーダッシュで3番手にジャンプアップ。さらにその後、レースリーダーのアキュラ10号車の後ろにぴたりとつける2位のポジションを手に入れました。10号車も簡単に首位を譲るはずもなく、55号車のすぐ後ろには48号車キャディラックが迫っています。緊張感の高い攻防は、その後2時間にわたって展開され、レースフィニッシュを間近に控えた15時10分過ぎには各車最後のピットインを終えました。ここで、55号車マツダは10号車アキュラに5秒ほど間を空けることとなったため、先に給油を済ませていた01号車キャディラックを間に挟むこととなります。55号車のティンクネルは何度もオーバーテイクを挑みますが、その間に10号車はさらに先行しています。終了から6分ほど前に01号車が脱落し、55号車は再びトップを追いかけることに。そこに背後に迫っていた可夢偉駆る48号車が間隙をついて前へでると、そのままの体制で15時40分のチェッカードフラッグを受け、このドラマチックな24時間レースは幕を閉じました。2020年のマツダRT24-Pは、トップに65秒差の2位でしたが、今回は首位から6.5秒差の3位となっています。今回のデイトナ24時間レースは、まさに飽くなき挑戦に挑んだマツダUSAドライバーとチームクルーの奮闘のドラマとなりました。

2021 IMSAウェザーテックスポーツカー選手権「第59回デイトナ24時間レース」記録動画 (YouTube 4’35”)

Text by MZRacing

MAZDA MOTORSPORTS IMSAウェザーテック・スポーツカー選手権

PAGE TOP

©  MZRacing. All Right Reserved.

サイトマップ