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アメリカンレース

  • 2020/10/23
  • IMSA

マツダUSAモータースポーツ、プチ・ルマンで不運に見舞われる

レースを成功させるためには、非の打ちどころのない準備、並外れた実行能力、そして運という3つの要素が必要だということは広く知られています。マツダUSAモータースポーツにとって、その3つ目の要素である運は、2020年プチ・ルマン10時間レースでは全く作用していなかったと言えます。ちょうど1ヶ月前に同じコースで行われた6時間レースで2位に入賞したこともあり、誰もが良い結果を期待していました。クラシックなコースレイアウトは、俊敏なマツダRT24-Pとは相性が良く、勝利の可能性があるとの見方が強かったのですが、結果としてハリー・ティンクネル、ジョナサン・ボマリート、ライアン・ハンターレイの55号車が6位、オリバー・ジャービス、トリスタン・ヌネス、オリビエ・プラの77号車が7位でチェッカーを受けることとなりました。

チームを運営するマルティマティックのラリー・ホルト副社長は次のようにコメントしています。「運がこれほどに結果を左右したレースは記憶にありません。ピットを出たときの#63フェラーリと#77の接触は、百万分の一の確率だったでしょう。フェラーリには目に見えるダメージはありませんでしたが、私たちのマシンはウォールに突っ込んで大きく損傷しました。 その上、#55のブレーキローターのトラブルは、レース開始からわずか10周目に発生しています。このふたつの出来事を除けば、チームは完璧な走りをしていて、レース中ずっとトップを上回るスピードで走っていました。ただし、20周遅れだったので意気消沈してしまいました」と語っています。

ヌネスによる#77は、スタートからすぐに順位を上げて5位に浮上。一方のティンクネルは、激しい競争の中で4位をキープすることに成功しました。 プチ・ル・マンは10時間のレースであるにもかかわらず、DPiマシン群はいつものように猛烈なペースでスタートし、エキサイティングなレースを展開しています。

10分を過ぎたところで#55は、サーキットの中で最も厳しいブレーキングゾーンである10aコーナーをオーバーシュート。ティンクネルは素早い反応で2台の先行車の間をすり抜け、大クラッシュを回避しています。ティンクネルは、「ブレーキをかけたときに右前で大きな音がして、クルマはなかなか減速しませんでした。僕が走っていたラインでは、LMP2のマシンにぶつかりそうだったので、ブレーキをリリースして、LMP2と#31 DPiの間をすり抜けることができました。しかし、グラベルトラップ進入の衝撃は予想以上であり、それがレースの後半に影響を与えてしまったと考えられます」

#55の修理が行われている間#77のヌネスは順調に走行を続け、レースが2時間目に入って3位に浮上しました。その後、ピットインしてジャービスにマシンを託すと、ジャービスはこの勢いを維持し、先行車を交わして2位に入り、そのポジションをキープしました。 その後も#77はトップ3を走り続けてピットイン。交代したプラはダブルスティントを行っています。4時間が経過した時点で、両マツダ車は落ち着いて安定した走りをしていました。唯一残念だったのは、#55がブレーキ修理のため5周ラップダウンしていたことですが、もうすでにコーションラップを利用して遅れた周回を少し取り戻していたため、その時点ではまだ希望を持っていたことです。しかし、その後ボマリートはギアボックスオイルのリークにより#55をピットイン。序盤のグラベルトラップでの衝突が原因だったようです。チームは問題を修復しましたが、20周遅れの挽回は望めない状況となっていました。

レース終盤に差し掛かったところで、ヌネスがピットインし、ジャービスに77号車を託します。しかし、オリバーはピットを出たところでGTDのフェラーリと接触し、ウォールに激突して大きなダメージを負うことになります。ダメージを受けたマシンは、1周回ってピットイン。マツダUSAチームは作業に取り掛かり、わずか30分で#77のノーズ、フロントスプリッター、リアデッキ、ウイング、右リアサスペンションのセクションを一新しました。残り4時間を切ったところで、2台のマツダは15秒差で同じラップを走っていたが、トップとの差は19周遅れとなってしまいました。 この時点で#55はクラス6位、#77は7位となり、このままチェッカーフラッグを受けることとなりました。

「失った周回数を補うだけのイエローコーションが出るとは思えませんでした」とティンクネルは語っています。「しかし、再び走り出してからは速かった。レース中に2度も優勝車をパスしたので、悔しいですね」。

このレースは、チームにとっては過酷なイベントとなり、55号車のハリー・ティンクネルとジョナサン・ボマリートは首位と18ポイント差。彼らには厳しい仕事が待ち受けているが、チームにはまだあきらめる気配はありません。

Text and Photos by Mazda USA

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