- 2017/11/08
太田智喜のダートトライアル奮戦記2017 その1
全国のマツダファンの皆さん、初めまして。ダートトライアルというモータースポーツ競技にデミオ15MBで参戦している太田智喜といいます。今回、全日本ダートトライアルに関して、2017年度の参戦レポートをさせて頂くことになりました。マツダ車を通じてモータースポーツ初心者の方でも、ダートトライアルに興味を持ってもらえるようなレポートをしていきたいと思います。
どうぞよろしくお願いいたします。
さっそくですが、「ダートトライアルって何?」と思われる方は少なくないと思います。人によっては「ラリーのことでしょ?」と思っている人がいるかもしれませんが、実はラリーとは大きく違ったモータースポーツです!ダートトライアルの概要を箇条書きで書いてみると、このようになります。
1.未舗装路の専用コースを走行する
2.基本一台ずつ、決められたコースを走行する
3.2分程度のコースを2回走行し、どちらか良いほうのタイムを競い合う
大雑把に書いてみると、このような感じです。この専用コースというのは全国各所にあり、私の参加する全日本ダートトライアル選手権は、北は北海道、南は福岡県まで開催されています。「未舗装(ダート)」という点がダートトライアルの難しいところで、それぞれのコースによって土質、傾斜、コース幅等々の様々な特徴があります!この難しいところは追々のレポートで語っていきたいと思います。
続いて私、太田智喜の紹介をしていきたいと思います。
大学時代に自動車部に入部し、ジムカーナ/ダートトライアル/ラリーを経験。大学の在学中にダートトライアル(以下ダートラ)中に、車両を4回横転させる経験をしたにもかかわらず、大学卒業後も全く懲りずにダートトライアル活動を継続。2012年より広島に就職し、中国地方のダートトライアル選手権にホンダのインテグラ TYPE-Rで出場していました。2014/2015年には中国ダートトライアル選手権SA1クラスシリーズチャンピオンを、2015年は全日本ダートトライアル選手権のSA1クラスでシリーズ4位を獲得しました。
この時に乗っていたインテグラは、社会人になって数か月で横転させてしまい、お金も余り持ち合わせていなかったため、素人板金で修復してそのまま走行していました。あまりのぼろぼろ具合と、自家塗装の艶消しブラックの色合いから「D51」(蒸気機関車の型式)なんてあだ名が命名されていました(笑)
ここまで他社の車両の話となってしまいましたが、ここからはマツダ車の話となります!
2016年には思い切ってダート車両を乗り換えるベース車として、デミオ15MBを購入しました。色はもちろんマツダのイメージカラー、ソウルレッド!あと、実は私はマツダ車の開発子会社で働いており、この15MBにも少し関わらせてもらったこともあったので、15MBを選びました。2016年のシーズン終了後に車両制作を開始し、2017年からはデミオ15MBに乗り換え、全日本ダートトライアル選手権と中国ダートトライアル選手権の2つを並行して出場しました。デミオ15MBで出場するダートラのクラスはPNというクラスで、改造範囲や排気量によってクラスが変わります。
どんなクラスがあるのかというと、ざっくり言うと以下のような感じです。
(細かい規定はJAFのホームページを見てもらうか、お近くのモータスポーツショップに聞いてみましょう!)
PNクラス:2006年以降に販売された車両(厳密には2006年にJAF登録された車両)で、LSD、シート(運転席のみ)、エンジンマウント、ダンパーユニット交換等が許されたクラス。1600cc以下とそれ以上でクラス分けされます。ギア比やエンジン内部および吸排気部品はノーマルでのみOK!
Nクラス:旧車でも出場OK。PNクラスからさらにファイナルギアの変更等がOK!Nクラスからは排気量によらず、二駆と四駆に別れます。
SAクラス:NクラスからさらにクラスミッションOK!吸排気部品の交換および改造OK!
SCクラス:一般車検を受ける必要無し。SAクラスからエンジン改造や内装部品の省略などOK!
Dクラス:安全装備がしっかりしていれば基本的にはなんでもOK。
※あくまでざっくりな説明です。上記で全ての規定が表せているわけではありません。
これだけのクラスがある中、私の出るクラスはPNクラスです。ライバル車にはスイフトスポーツやCR-Z、Fit等がいます。今話題のスイフトスポーツはターボが付いているため、排気量に1.7倍の係数をかけて排気量計算されるため、同じクラスではありません。ここでわかるように、デミオは1.5リッターに対し、スイフトは1.6リッターと100cc分のアドバンテージがあります。この差を埋めるにはとにかくコーナリングスピード等、デミオの軽快なフットワークを活かす他戦う術はないわけです!!
とはいえ、コーナリング特性を活かすといっても改造範囲が限られているので難しいものです。
今回、ロールバー、アンダーガードはキャロッセさんのものを選択し、エンジンマウントは純正加工品を地元の加工屋さんへ、ダンパーはITOオーリンズで製作をお願いしました。この時、こだわりといってはなんですが、ダンパーは純正形状バネを使用できるよう加工していただきました。これはストラットサスがストロークする際に発生する軸力をキャンセルするために選択しました。
この方がストロークがスムーズにでき、ダンパーの動きを使い切れると考えての選択です。その他の部品は特別に交換しておらず、あとは内装を剥いだりして軽量化を施したぐらいです。そのほかの部品が交換できないのは、前述のPNクラスの規定的なものです。
車両製作を一旦終え、まずやること、それはシェイクダウン!!早速、地元広島のテクニックステージタカタのダート練習会に参加です!テクニックステージに到着し、早速どんな感触なのか確かめるため、コースに入ります。1コーナーを過ぎ、2コーナーとそれなりのスピードでコーナー進入したりして試していると…文字通りシェイクしてダウン(横転)をやらかしてしまいます。(苦笑)正直言って、横転経験多数の私でも、この出来事はかなりの衝撃でした。とはいえ、すでに全日本ダートに出場する計画は立っていたので、車がへこんでいようが、心がへこんでいようが答えはただ一つです。
「直すしかない!!」
横転した際、全日本ダート開幕1ヶ月前だったため、急ピッチで修理を進める必要がありましたが、ボディショップタカタの皆さんに協力いただき、きれいに修理していただきました!仕上がったのも全日本直前でもなく、なんと1週間前には仕上げていただきました!板金作業が忙しい雪のシーズンに対応頂き、本当に頭が上がりません。この時、修理する際に塗った色はやはりソウルレッド!!とはいかず、普通の黒。そこは費用を抑えるためにもソウルレッドは選びませんでした。本音はソウルレッドが良かったですけど、塗装の工程に時間がかかることもあり、全日本出場が主目的であることからも、背に腹は代えられません!
みなさんの車のソウルレッド、手間暇がかかった良いものなのはアフターマーケットでも間違いない事なので、大事にしてくださいね。
さて、ここまで一旦私の自己紹介から、全日本ダート開幕戦直前までのお話をさせて頂きました。この先、全日本戦シーズン終了までの話を書くと、ボリュームがすごいことになるため、今回はここまでです。
初めての投稿で、最後まで読んでいただいた方、ありがとうございます(^^
次回は、全日本ダートのシリーズ戦とデミオ15MBの成長の過程を紹介していきたいと思います。
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